マズローの5段階欲求をビジネスに!社員マネジメントへの活用法

この記事では、マズローの5段階欲求をマネジメントに活かす方法、注意点をご紹介します。

アメリカの心理学者である、「アブラハム・マズロー」による心理学理論、「マズローの法則」によると、人間の欲求は、ピラミッドのように5段階で形成されています。さらに、このマズローの法則には、6段階目もある、とされています。マズローの6段階欲求をしっかりと理解し、活用することで、社員のモチベーションは格段にアップしますので、ぜひ参考にしてください。

目次

マズローの5段階欲求、実は6つある!

まずは、マズローの5段階欲求及び、マズローが晩年に追加した、6段階目の欲求について、詳しく解説していきましょう。

生理的欲求

ピラミッドの最下段にある欲求が、「生理的欲求」。つまり、人間だけでなく、すべての生き物が抱いている「食欲・性欲・睡眠欲」など、生きていくために必要な最低限の欲求のことです。 「お腹がすいたから、何か食べたい」と感じることや、「疲れたから、横になって眠りたい」、「喉が渇いたから、何か飲み物を飲みたい」、さらには排泄や呼吸など、生命維持に欠くことができない、基本的な欲求、というわけです。

安全の欲求

生理的欲求が満たされたら、次に生まれるのが「安全の欲求」です。ここで言う「安全」とは、身体的な健康や、経済的安定も含まれます。 具体的には「経済的に不安がない生活がしたい」「食べ物に困ることのない環境で生活したい」「争いのない平和な世界で暮らしたい」という欲求です。これは「生理的欲求」と同程度に人間が強く抱いている欲と言われています。

社会的欲求

ピラミッドの3段目にある欲求が、「社会的欲求」であり、「所属と愛の欲求」とも呼ばれています。

これは、「友人が欲しい」「恋人が欲しい」など、自分を受け入れてくれる他人を求める欲求です。いくら生理的欲求や安全の欲求が満たされていても、この社会的欲求が満たされないと、孤独感にさいなまれ、社会から1人取り残されたような不安感を覚えるようになります。

承認欲求

社会的欲求が満たされると、次に「承認欲求」が芽生えてきます。たとえ、物質的に満足を得て安全な暮らしができ、集団に属することができたりしても、それだけでは満足できないのです。

承認欲求とは、さらにそこで認められたい、評価してもらいたいというものです。

SNSに料理や写真をアップして、「いいね!」が欲しいと思うのも、この承認欲求の表れのひとつと言えるでしょう。

この承認欲求は、さらに2つのレベルへと分類されています。

ひとつが、先ほどのSNSの例のような、「他者から評価されたい、注目されたい」という欲求。これは「低いレベルの承認欲求」に分類されます。

もうひとつは、「高いレベルの承認欲求」。これは、他人からの評価に惑わされることなく、自分自信を誇りに思えるようになりたい、自己評価が高い人間になりたいという欲求です。

つまり、承認欲求が完璧に満たされるには、自分自身と他者、両方から高い評価を得る必要があるというわけです。

自己実現の欲求

これまで挙げた4つの欲求が満たされた人は、さらに高い欲求が芽生えてきます。それが「自己実現の欲求」です。

これは、自分らしさを大切にしたい、自分自身しか成しえないことを実現させたいという欲求です。

たとえこれまでの段階の欲求がすべて満たされたとしても、自分自身が理想とする人間や生き様が実現していないと、むなしさを感じてしまいます。つまり、人間の欲求の最終ゴールは「自己実現を果たすこと」であるとも言えるのです。

自己超越の欲求

晩年のマズローが6段階目に置いた欲求、それは「自己超越の欲求」。これは、自分自身のエゴや損得勘定を一切取り払い、「他人のために、何か役に立つことをしたい」という欲求です。

身近なところで言えば、ボランティアや慈善活動がこの欲求に当たります。

しかし、ほとんどの人は、「自己実現の欲求」で満足してしまい、「自己超越の欲求」の域にたどり着くのは、全人類の中で、わずか2%程度。この欲求を目指すのは、非常にレアなケースなのです。

マズローは、下位の欲求が満たされることによって、自然にもう1段階上の欲求が生じてくる一方で、下位の欲求が満たされていないと、上位欲求は減退してしまうと提唱しています。

マズローの5段階欲求を社員のモチベーションアップに繋げるには?

マズローの5段階欲求は、うまく活用することで、社員のモチベーションアップに繋げることができます。

ここでは、その活用方法について詳しく解説していきましょう。

生理的欲求が満たされているか

現代の日本で、会社に属している人が、飲まず食わずということはあまり考えにくいでしょう。

しかし、休めず疲れが取れない、何か心配事があってなかなか眠れないという可能性はあります。

まずは、社員の体調管理をしっかりと行うと同時に、異変を感じた社員には、こまめに声をかけるなど、社員の様子を注意深く観察しておくことが大切です。

安全の欲求が満たされているか

「来年も会社は存続しているだろうか」「自分はいつクビになるんだろう」などと、ビクビクしながら働く人は、そう多くはないでしょう。しかし、コロナ禍においては、もしかしたらそのような心配をしている社員も少なからずいるかもしれません。

いつ会社や自分の仕事がなくなるかと不安に思っている場合は、「安全に暮らしたい」という安全の欲求は、満たされているとは言えません。もしそのような社員がいるならば、相談に乗り、安心感を与えてあげることが大切です。

社会的欲求が満たされているか

「職場に仲間がいない」「人間関係にストレスを感じている」という社員は、「他者から認められ、受け入れられたい」という社会的欲求が満たされていません。

えてして経営者や人を動かす立場の人は、「自ら考え、率先して動く」人材を求めがちですが、「主体的に働いていきたい」という欲求は、マズローの法則に当てはめると「承認の欲求」以上のもの。その手前の欲求が満たされていないと、生まれることはありません。

つまり、「主体的に動かない」「指示待ち族である」という社員は、社会的欲求が満たされていない可能性がある、ということです。職場の人間関係を見直し、チームワークを高めることが、上質なパフォーマンスを生み出す条件のひとつなのです。

承認欲求が満たされているか

社会的欲求までが満たされた社員は、「自分の才能や得意分野を活かせる仕事をしたい。そこで、高く評価されたい」と思うようになります。

「適材適所」という言葉があります。社員の得手不得手を把握し、また希望の部署ややりたいことをこまめにヒアリングすることで、それぞれの社員の「やりたいこと」と「できること」が合致したポジションが見えてくるはずです。

そこへうまく配置できれば、社員のやる気は目に見えてアップすることでしょう。

自己実現の欲求は満たされているか

ここまでの欲求がすべて満たされることで、社員はさらに、「仕事を通して自分らしさを追求し、会社のために最善を尽くす」段階に入ると言いたいところですが、実際はそううまくはいきません。

マズロー自身も「自己実現欲求レベルで生きる人は、そう多くはない」と言っています。

全社員が自己実現の欲求レベルで働くのは、難易度が高いですが、社内で1人でも、この域に達してくれる人が現れると、会社の雰囲気は大きく変わります。

最低でも、社員の承認欲求まではしっかり満たしてあげることが、社員のモチベーションアップに繋がると言えるでしょう。

マネジメントに活かす際の注意点

マズローの5段階欲求をマネジメントに活かす際は、大きく2つの注意点があります。それぞれ詳しく解説していきましょう。

社員のモチベーションが「内向型」か「外向型」かを理解する

マズローの5段階欲求をマネジメントに活かす際は、社員のモチベーションが「内向型」か「外向型」か、を正しく理解しておくことが大切です。

内向型モチベーションは、「仕事が楽しい」「この仕事が好き」と、自主的に仕事に取り組めるモチベーションです。内向型モチベーションに即効性は期待できませんが、個人の成長に繋がりやすい、というメリットがあります。

外向型モチベーションは、「頑張れば昇進できる」「結果を出したら上司に褒められる」など、外的要因によるものが大きいモチベーションのことです。

外向型モチベーションは、個人の成長には繋がりにくいものの、短期的なモチベーションアップは期待できます。 社員のモチベーションを理解することで、より効果的に活用することができるでしょう。

マズローの5段階欲求は誰にでも当てはまるわけではない

マズローの5段階欲求は、実証性や科学的根拠に欠けていると批判も寄せられています。たとえば安全の欲求が満たされなくても成長し成果を出す人材もいます。また現在の心理学はエビデンスベースの研究が主流になっていることも影響しているでしょう。

しかし、この説がビジネスに多大な影響を与えている点は否めません。

マネジメントに活かす際はまず、該当する社員にマズローの5段階欲求が適応するかどうかを分析する必要があります。また、すべてが当てはまらなくとも、ピンポイントで取り入れるのもひとつの方法です。

いずれにせよ、試行錯誤を重ねながら、自身と社員のベストな活用法を見出すことが大切です。

マズローの5段階欲求を活用した社員のモチベーションの見極め方

人は自分が欲しいものを相手も欲しがっているだろうと考えるものです。褒められたいと思う人は、「褒められたら嬉しい。だからきっとあの人も褒めてあげたら喜ぶだろう」と感じるものです。

ということは、マズローの5段階欲求の中で一番強い欲求は、一番他者貢献したいと思っていることでもあります。

たとえば社会的欲求が強い部下は、部署の中で一人ポツンとしている社員や和の中に入ってこれない後輩がいれば気になるものです。

そういう部下には社員に目をくばり、声がけしてもらうなどチーム内の潤滑油としての役割や仕事を与えれば、生き生きと活躍するようになります。

まとめ

マズローの5段階欲求は、うまく活用すればマネジメントに大いに役立ちます。そのためには、まず社員のモチベーションを的確に見抜くことが大切です。そのうえで、5段階の欲求がしっかりと満たされているかを、適宜チェックしていくと良いでしょう。しかし、知識やノウハウを知るだけでは、意味はありません。最終的には、知識をどのように活かしていくべきか、人の資質や才能を見抜き活用するスキルを見つけることが、大切なのです。

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この記事を書いた人

才能 プロファイラー/才能開発コンサルタント。
「クライアントを経済的・精神的に最も豊かにする才能開発」がモットー。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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