今回の記事では、英語の習得に必要な「グリット(やり抜く力)」の意味や、ビジネスシーンで応用できる要素などを紹介します。
グローバル化が進む中、小学校での英語の必修化や社内における公用語化など、さまざまなシーンで英語が必要になるシーンが増えてきています。英語の習得には、才能が必要と考えている人も多いのではないでしょうか。
ぜひ、今回紹介するグリットの意味や心理特性を把握し、英語習得や自己実現に結びつけましょう。
英語習得に必要な「グリット」とは?
まずは、グリットの意味や測定のしかたについてみていきましょう。
成功に導くグリットの意味
社会的に成功している人たちの共通心理特性として、挙げられるグリット。
グリットとは、アメリカのペンシルバニア大学の教授である、アンジェラ・ダックワース氏が提唱した「やり抜く力」、「粘る力」のことです。
グリットは、「度胸(Guts):困難なことに立ち向かう」、「回復力(Resilience):失敗しても諦めずに続ける」、「自発性(Initiative):自分で目標を見据える」、「執念(Tenacity):最後までやり遂げる」のイニシャルと、気概や闘志を表す「GRIT」をかけた言葉です。この4つの能力を鍛えることで、粘り強く困難に立ち向かい、目的を遂行することができるようになります。
アンジェラ・ダックワース氏は才能やIQ、学歴ではなく、このやり抜く力こそが成功を収めるうえで最も重要な要素であると説いています。失敗を恐れずチャレンジすることが大切であり、長期間、継続的に粘り強く努力することが重要だということです。モチベーションをどのように維持していくのかが、英語習得でも注目を集めています。
英語習得にグリットの心理特性を当てはめると、文法や発音の違いを恐れ、黙り込むのではなく、伝えようとすることが大切であり、毎日コツコツ英語学習に取り組むことが重要だということです。グリットを強化しながら、英語習得に向け日々努力を続けることが大切だといえるでしょう。
グリットは測定できる
アンジェラ・ダックワース氏は、やり抜く力を「グリットスケール」によって計測できるとしています。
計測のしかたは、10の質問に5段階評価で答えていくもの。それぞれの数値を足して、10で割った数字が「グリットスコア」になります。グリットが一番高いと5になり、低いと1になる仕組みです。
また、数値はあくまで現時点での状態。グリット強化する習慣をつければ、数値もそれに伴い向上します。
全く当てはまらない | あまり当てはまらない | いくらか当てはまる | かなり当てはまる | 非常に当てはまる | |
1.新しいアイデアやプロジェクトがでてくると、ついそちらに気を取られてしまう。 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
2.私は挫折してもめげない。簡単には諦めない。 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
3.目標を設定しても、すぐべつの目標に乗り換えることが多い。 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
4.私は努力家だ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
5.達成まで何ヶ月もかかるようなことに、ずっと集中して取り組むことができない。 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
6.いちど始めたことは、必ずやり遂げる。 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
7.興味の対象が毎年のように変わる | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
8.私は勤勉だ。絶対に諦めない。 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
9.アイデアやプロジェクトに夢中になっても、すぐに興味を失ってしまったことがある。 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
10.重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある。 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
出典:やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
著者:アンジェラ・ダックワース
訳者:神崎朗子
英語習得のために必要な「グリット」とは

ここでは、英語習得のために必要なグリットの鍛え方についてみていきましょう。
目標を設定する
英語習得のためには、はじめに目標設定をすることが大切です。この目標設定で大切なのは、期間を決めること。この期日までは続けるという条件をつけることで、やり抜く力が高まります。
また、「英語をマスターして、~を実現したい」という目標をたて、区切りを決めた期限までにやり抜いたことを、自分できちんと評価し、次の挑戦につなげましょう。毎日コツコツ続けられなかった場合は、何が要因で続かなかったのか、自分に何が足りなかったのかを見極めることが重要です。
目標設定をするときには、自分では少し難しいかもと思うレベルに設定しましょう。できないという先入観にとらわれず、できるかもと前向きに考えるクセをつけていくことでグリットの能力も鍛えられます。
興味を持つ
興味を持てないことに粘り強く取り組むのは、誰でも難しいですよね。英語をはじめ、語学を習得するためには、その言語に興味を持つことが大切です。自分が好きな映画を英語で観たり、興味のある分野の本を読んだりするなど、英語学習が苦痛にならない環境を自分でつくりましょう。学習方法をよりよくしようという視点を持ち、柔軟に英語学習に取り組むことが大切です。
また、同じ目標を持つ仲間と行動を共にし、いっしょに挑戦し続けると、グリットも鍛えられます。職場以外でも英語に関心を持つ人が集まる環境を探して、その場に飛び込むのも効果的です。
意図的に学習する
出社前の朝の時間やスキマ時間に、意図的に学習することでグリットを高め、英語習得に励むのもよいでしょう。やる気に頼らない仕組み化で継続的に学習しましょう。スキマ時間に何を勉強するかを決めておくことでも、意図的に学習する習慣を身につけられます。
グリットを強化し、継続的に学習するためには、やり抜いたという達成経験が必要です。たとえ、毎朝30分学習するという短時間の目標でも毎日達成していけば、モチベーションを保つことにもつながります。友人や家族にスピーチやプレゼンテーションの相手をしてもらって、最後に評価をしてもらうのもよいでしょう。
やり抜く前に心が折れてしまわないよう、小さな成功体験を積み重ね、自分ならやれるという自信につなげることが大切です。
ビジネスにも応用できる4つの要素

ここでは、英語学習にはもちろん、ビジネスにも応用できるグリットの4つの要素を紹介します。
集中力が高まる
集中することは、グリットを高めるうえで最も重要な要素です。そのため、英語学習において、やり抜く力であるグリットが鍛えられると、ビジネスにおいても集中力が高まります。
集中することにより、業務も効率的にスピーディーに行えるようになるはずです。また、新企画など新しいアイデアのひらめきにもつながるでしょう。
没頭できる要素を見つけられるようになる
グリットが身につくと、没頭できる要素を見つけられるようになります。ビジネスにおいても、自分が今できていないことを挙げ、達成していくことができるようになるでしょう。自分が何に力を入れるべきかを明確にできれば、仕事においても成果を上げられるようになるはずです。
フィードバックを集め、今後に活かすことができる
努力を継続しグリットを鍛えるためには、他者と関わる機会を持つことも大切です。自分の成果について、周りからフィードバックをもらうことも、必要不可欠な要素といえるでしょう。
これまで、なかなか周囲に意見を求めることができなかった人も、客観的なフィードバッグを集められるようになると、ビジネスにおいても今後の取り組みに活かせるようになります。
自分だけの強みを作れるようになる
強みや才能が開花するには1万時間のトレーニングだと言われています。グリットを養うことができれば、他の人にはできない自分だけの強みや才能を伸ばすことができます。
ビジネスで成功した人に「あなたの成功の秘訣は何ですか?」と尋ねると、「続けてきたこと」「はじめは競争相手がいたけれど、気がついたら、みんな途中で投げ出して、私だけが続けていた」「だから、最後に残った私に仕事の依頼が集中して来る」という人がたくさんいます。これはまさにグリットが成功に寄与したということ。
「やり抜く力」と「粘る力」を養い、あなただけの強みや才能を伸ばしていきましょう。
まとめ
英語の習得に必要なグリットの意味や鍛え方、ビジネスに応用できる要素などを紹介しました。グリットの心理特性を英語学習に活用すれば、目標達成に大いに役立ちます。 しかし、知識やノウハウを知るだけでは、成果は現れません。最終的には、知識をどのように活かしていくべきかを考え、継続的に自分でやり抜く力を磨いていくことが大切です。