この記事では、カリギュラ効果の理解を深めながら、その実践方法を紹介していきます。カリギュラ効果はコピーライティングやマーケティングなどのビジネスシーンでも頻繁に使われており、この効果を活かすことができれば営業のスキルを高めることも可能です。自社の製品やサービスを広めていきたい人はぜひご一読ください。
カリギュラ効果について
まずはカリギュラ効果について理解を深めていきましょう。
カリギュラ効果の解説
カリギュラ効果とは、ある事柄に制限や禁止を加えられるとかえって興味を抱いてしまう心理効果です。あなたも「絶対に見てはいけない」「開けるには○○する必要がある」と言われると、見てみたいし開けてみたくなると思ったことはないでしょうか。この反応がまさにカリギュラ効果なのです。
カリギュラ効果は、学術的な名称では「心理的リアクタンス(リアクタンス)」とも呼ばれます。この効果を提唱した心理学者のジャック・ブレームは、人は自由を制限されると反発してより自由に執着する習性があると主張しており、人間は本能的に自分のことを自分で決めたい欲求をもっていると伝えました。禁止や制限は人間にとってストレスであり、あえて「ダメ」と言われた行動を取ることでその心理的ストレスから解放されるのだと言います。こうした本能的な人間の心の働きが、カリギュラ効果の源です。
「鶴の恩返し」や「浦島太郎」もカリギュラ効果の例
童話の中には、分かりやすくカリギュラ効果を伝える物語があります。たとえば「鶴の恩返し」もその1つで、機織りする姿を「絶対にのぞいてはいけません」と伝える鶴の気持ちをよそに、のぞいてしまうおじいさんの行動はカリギュラ効果による反応と言えるでしょう。
また、「絶対に中を見てはいけません」と手渡された玉手箱を思わず開けてしまう「浦島太郎」や「開けてはいけない」という約束を破り世界中に災いをもたらした「パンドラの箱」など数多くの神話や昔話にもカリギュラ効果は使われています。
カリギュラ効果をビジネスに活用
では、カリギュラ効果はビジネスのどのような場面で活かされるのでしょうか。ここからは、カリギュラ効果が活用されているビジネスシーンを紹介していきます。
マーケティングに活用して購買意欲をそそる
雑誌などに時折見かける袋とじなどは、カリギュラ効果を活用したマーケティングの例です。雑誌を購入しないと中身を見ることができないため、購買意欲がそそられて、つい買ってしまうという行動につながりやすいでしょう。
また、すぐに購買に結びつかなくても、見込み客としてつながりをもっておきたい場面では同様にカリギュラ効果が使われています。たとえば、Webで閲覧する記事や情報誌などでのマーケティングサイトが、個人情報を入力しなければ詳細なデータを閲覧できないようにしている手法もその1つです。
有益だと感じる情報であればあるほど個人情報を入力しても見たいという心理が高まるため、結果的にサイト運営者は入手したい情報を手に入れることができます。もちろん見込み客が増えれば、次の機会に購入へとつながる可能性も高まるため、結果的に購買意欲をそそるマーケティングと言えるでしょう。
営業やコピーライティングに利用して関心を集める
ビジネスを円滑に行うためには自社の製品やサービスを買ってもらうことが必要であり、営業やコピーライティングでどのように訴えるかも重要です。多くの場合は、自社製品を「買ってください」と依頼することが多いかもしれませんが、実はカリギュラ効果を使って「買わないでください」と伝えたほうが成約率を高める可能性があります。
たとえば、「自社の製品は○○にこだわっていて高い品質を誇ります。今が買い時でチャンスですので早めに決断してください」と言われるよりも、「自社の製品は品質にこだわっており、生産量も限られているため本当に価値を感じる人だけ手に取ってください。少しでも価値を感じられない場合は買わないでください」と言われたほうが、より欲求を掻き立てられるように感じませんか。
こうしたカリギュラ効果の手法はコピーライティングにも広く使われており、CMなどでも時折見かける「初めての人には○○化粧品はお売りできません」といった言葉もその1つです。禁止や制限を効果的に取り入れることで、営業やコピーライティングのビジネスシーンでも、クライアントの興味や関心を一層引き付けることができるでしょう。
禁止・限定させることで、商品の特別感を演出できる
通販番組などでは、「今から30分限定で○○が○○円で購入できる」などの呼びかけが行われていますが、これもカリギュラ効果の一種です。30分経てば同じ商品であっても値段が変わってしまうため、時間内の商品のほうがより特別なものであると感じやすくなります。その結果、視聴者の30分以内に購入しようとする心理が働きやすくなるでしょう。
また、「今日だけの特別価格」などといった呼びかけには、「明日からは通常価格でしか買えない」という暗黙の禁止も含まれています。パッと見た言葉では明確に禁止されていないものでも、裏を返せば制限されていることも数多くあるため、商品の特別感を演出したいときには活用できるでしょう。
バーナム効果も活用しよう
カリギュラ効果とバーナム効果の組み合わせは、営業の効果をより高めたいときに有効です。バーナム効果とは、どんな人にでも当てはまる内容であっても、自分のことだと感じてしまう現象のこと。たとえば、パーソナルジムが新規会員を集客をする際に「筋トレのすべてを理解している方は参加しないでください」と書いたとします。
この言葉には初心者はもちろん、プロとして活躍している人であっても「筋トレのすべてを理解している」とは言いきれないため、多くの人に当てはまる内容となっています。加えて、カリギュラ効果で「参加しないでください」と禁止を加えているため、参加したいという意欲が掻き立てられる可能性が高いのです。この2つの効果を組み合わせることで、より求心力のあるメッセージに変化させられるでしょう。
活用する際の注意点
カリギュラ効果を取り入れられるシーンはたくさんありますが、活用する際には次のことに注意しましょう。
禁止理由を明確に伝える
カリギュラ効果は、ただ闇雲に禁止すれば良いのかと言うとそうではありません。あくまでビジネスとして成立させるためには、なぜ禁止にしたのかを明確に伝える必要があります。たとえば、「たとえ美味しかったとしても絶対に人に教えないでください」というメッセージに「1日に作れる量が限られているため、口コミで買いに来る人が増えると困るからです」と添えると、メッセージを受け取る側も納得がいきやすくなるはずです。
カリギュラ効果の特性上、どうしても命令口調になりやすくなるため、禁止した理由を明確に伝えると反感をもたれることも避けられるでしょう。
禁止事項のハードルを上げ過ぎない
一定の禁止事項を設けることで興味や関心を増幅させるカリギュラ効果ですが、クライアントが少しでも違和感をもち、手続きや注文を面倒に感じてしまう場合にはその効果が半減します。そのため、設定する禁止事項のハードルは上げ過ぎないようにすることが大切です。
あくまで、カリギュラ効果は相手が買いたいと思い、行動に移すまでを誘導していくことが目的であり、最終的な判断は相手にゆだねられています。あまりにも禁止事項のハードルを上げて強要し過ぎると、本来取ってほしい行動を避けることにもなりかねないため注意しましょう。
まとめ
ダメと言われることほどやってみたくなる心の動きは人間の本能であり、カリギュラ効果を使えばより自社の製品やサービスを広めていける可能性も高まります。ただし、カリギュラ効果はあくまでも相手の興味や関心を引く1つの手法でしかなく、その先に自分の強み・才能を活かした何かがなければ相手との関係を深めていくことにはなりません。心理学の知識やノウハウの知識を深めながら、まずはあなただけの才能に目を向けてくださいね。