この記事では、才能診断「ストレングスファインダー」について理解を深めながら、マネジメントに活用する方法を紹介していきます。才能診断は、1人1人がもつ才能や強みを発掘して開花させる手段の1つです。これらの診断を上手に活用すれば、才能を活かした仕事の選択ができ、将来的な方向性を定めるときにも役立つでしょう。強みを活かして仕事をしていきたい人や才能を活かしたマネジメントをしたい人は、ぜひご一読ください。
才能診断の一種「ストレングスファインダー」とは
「ストレングスファインダー」は、米国のギャラップ社が開発した才能診断のツールです。「人間の強み」に関する40年にわたる研究から生まれた診断で、世界各国の企業や学校、コミュニティなどで幅広く活用されています。
診断はギャラップ社の公式サイト上で行うことができ、177個の質問に答えると34に分かれた資質の中からとくに近いとされる5つの才能が示されるというものです。この34の資質は大きく分けると、「実行力の資質」「影響力の資質」「人間関係構築の資質」「戦略的思考の資質」の4つに分類されています。
ストレングスファインダーで示される才能はその人が無意識に繰り返している思考や感情、行動パターンであり、意識しなければ表にはなかなか出てこないものです。これらを活用すれば意識してこなかった才能にも気がつけるようになり、仕事や日常生活にも活かせます。
実際に診断を行うときには、書籍『さあ、才能に目覚めよう 新版/トム・ラス著(日本経済新聞出版)』または『ストレングス・リーダーシップ/トム・ラスほか著(日本経済新聞出版)』を購入するか、ギャラップ社の公式サイトまたは同社公式アプリにてアクセスコードの購入が必要です。
才能診断「ストレングスファインダー」を活用するメリット
ストレングスファインダーは1人1人の才能を発掘する手助けとなるため、自分自身の強みに気がつけることはもちろん、組織をマネジメントする際にも次のようなメリットがあります。
社員1人1人に合ったマネジメントができるようになる
ストレングスファインダーを使うと1人1人の資質が分かるため、それぞれの社員のモチベーションが高まる依頼の仕方や仕事内容を与えられるようになります。
たとえば、「最上志向」の資質が高い社員は平均以上のことをさらに最高のものに昇華させるのが得意なタイプです。そのため、仕事を依頼するときには「これまでで1番良いものにしていこう」「ありきたりなものではなく特別なものにしよう」という声掛けをすると、モチベーションが高まりやすくなります。
このように、社員それぞれの資質が分かれば自分も相手も気持ち良く仕事を行うことができ、チーム力を高めるマネジメントもできるでしょう。
リーダーシップを発揮する際の参考にできる
リーダーシップのあり方は、時代と共に変化しています。ひと昔前であれば自分の過去の成功体験や実務経験に基づいてリーダーシップをとればスムーズに進んでいたことでも、SNSやIT技術の発達により、移り変わりが飛躍的に加速した現代では通用しないことも増えています。
そのため、いわゆる「俺についてこい」というような1人の価値観に固執したリーダーシップの時代から、社員それぞれの資質を理解して強みを引き出していくリーダーシップへと変化していく必要があるでしょう。
こうしたリーダーシップを発揮するときには、それぞれの資質に目を向けることが欠かせません。ストレングスファインダーを使えば、1人1人の強みを理解できるため、現代に合ったリーダーシップが発揮しやすくなるでしょう。
強みにフォーカスできるので、それぞれの強みを活かした組織作りができる
誰しも苦手とすることや弱点をもっていますが、それらはどれだけ努力して克服したとしても平均程度にしかならないことがほとんどです。一方で、強みにフォーカスすることができれば、チームとして平均以上の結果を出すこともできるでしょう。
たとえば部下に「他者に影響を与える社交性の資質が高いAさん」と「物事を論理的にとらえる分析思考の資質が高いBさん」がいた場合、Aさんにはプレゼンなどの社外的な交渉を、Bさんには情報やデータの分析を任せたほうがチーム力は向上するはずです。
しかし、それぞれの資質を知らなければ、Aさんに情報やデータの分析を、Bさんにプレゼンなどの社外的な交渉を命じるような采配をしかねません。RPGゲームにたとえるなら、魔法使いに剣をもたせて戦わせているようなものです。
このように強みとなる才能を知らずに采配をしていくことは、それぞれの資質を無視した非効率な生産体制を構築してしまう可能性を高めます。一方で、強みにフォーカスできればそれぞれの満足感やモチベーションも上がりやすくなるため、強い組織になりやすいでしょう。
ストレングスファインダーを、具体的にマネジメントに活かすには?
マネジメントにストレングスファインダーを用いる際には、まず部下に同診断を受けてもらう必要があります。その上で、診断結果を基にそれぞれの資質に合わせたマネジメントを意識していきましょう。具体的な方法としては、次のようなアドバイスが書籍や診断結果などに記されています。より詳しく知りたい人は、ぜひ確認してみましょう。
「自己確信」の資質が高いCさん
自己確信の資質が高い人は、自分の強みを理解しているため、新しい挑戦やリスクをとることができます。とくに重要な場面で成果を出すことができるタイプです。新規ビジネスやプロジェクトの立ち上げ時に力を発揮しやすいでしょう。このタイプの部下と働くときに大切なのは、自由裁量を与えることです。指導を望んでいない人であることを理解しておく必要があります。ほとんどの場合、判断を誤ることはありませんが、もし大きな判断ミスをしたときにはすぐに指摘しましょう。
「共感性」の資質が高いDさん
周囲の人の感情を敏感に察する能力に長けているのが、共感性の資質が高い人の特徴です。「指令性」や「活発性」の資質が高い人とパートナーを組ませると、相互に良い影響を与え合えるでしょう。社員や顧客からなかなか理解が得られないシーンでは、Dさんに協力を求めると上手くいきます。特定のプロジェクトに関与してもらう前には、そのことについて感じることやほかの人はどのように感じているかを聞いてみると有益な情報が得られるでしょう。
「戦略性」の資質が高いEさん
戦略性の資質が高い人は、乱雑な情報の中から最終目的に合った最善のルートを発見することに長けています。目標に対しては、関連するパターンや問題がはっきりするまで熟考する時間が必要なタイプです。冒険的な新規事業を興すときに、重要な役割を果たしてくれるでしょう。このタイプの部下と働く際には、計画立案から関与させることが大切です。また、業界内で有効な戦略を見聞きした場合にEさんと共有すると、思考を刺激することにつながります。意見を求めるときには、考えるための十分な時間を与えることも大切です。
「着想」の資質が高いFさん
着想の資質が高い人は、物事を上手く説明できる考え方をもっています。マーケティングや広告、商品企画などに向いているタイプです。このタイプの部下と働く際には、可能な限り創造的な仕事に取り組ませることが大切です。販売戦略やサービス設計の場面で能力を発揮しやすいでしょう。また、「分析思考」の資質が高い人とパートナーを組ませるとアイデアが形になりやすいことも特徴です。新しいアイデアを与えることがFさんを成長させるカギです。
まとめ
才能診断は、1人1人がもっている資質や才能を見出す1つの手段です。中でもストレングスファインダーは世界中で広く使われているツールで、自分自身の強みや才能を知れるほか、企業単位で活用すれば組織のマネジメントにも大きなメリットを与えてくれるでしょう。こうしたツールがあることや活かし方を知っていくことは大切ですが、まずは実際に試してみて自分の才能を理解していくことが大切です。この機会にぜひ診断を活用してみてはいかがでしょうか。