「ゼロサムゲーム」について理解を深めよう。意味や具体例を紹介!

経済記事などの結論にしばしば使用される、「ゼロサムゲーム」という言葉。これは「ゲーム理論」と呼ばれる、経済理論の用語の一つです。この記事では、ゼロサムゲームの意味や思考を詳しく解説するとともに、今マーケティングやビジネスの世界で広まりつつある「ノンゼロサムの考え方」について紹介していきます。

目次

ゼロサムゲームについて

まずは、ゼロサムゲームという思考について、基となる「ゼロサム」の意味と共に詳しく解説していきましょう。

ゼロサムの意味

ゼロサムとは、「合計するとゼロになる」という意味をあらわす言葉です。言い換えると、一方の利益が、他方の損失になること。プラスマイナスゼロ、と同じ概念である、と考えるとわかりやすいでしょう。

ゼロサムの語源となっているのが、英語の「zero-sum」。「zero」はゼロ、「sum」は合計・総和をそれぞれ意味しています。

お互いがゼロサムの関係にある状態が「ゼロサムゲーム」です。本来ゼロサムゲームとは、応用数学におけるゲーム理論の概念です。

つまり、一人のプレイヤーの利益と、もう一人のプレイヤーの損失がイコールになるため、全体の損失は常にプラマイゼロ、という場面で、参加者が自分の利益を最大にするために画策するゲームを「ゼロサムゲーム」と呼びます。

「ゼロサム」「ゼロサムゲーム」は、主に結果がプラマイゼロである場合や、経済関係の総和がゼロである場面で使用されます。主な例文は以下の通りです。

「たとえ給料が上がっても、こうも物価が上昇するようじゃ、ゼロサムだよ」
「人件費削減で利益を確保するだけでは、このゼロサムゲームから抜け出すことはできません」

ゼロサム思考とは

「ゼロサム」という言葉が用いられる表現の一つに、「ゼロサム思考」があります。これは、心理学的な認知バイアスの一種で、「白黒思考」「0か100か思考」「二分割思考」とも呼ばれます。

ゼロサム思考は、物事を白黒はっきりさせたい、全て完璧にできないとだめだ、という二者択一的な考え方に陥った状態です。

「やるならとことん完璧に」というゼロサム思考は、物事に対してストイックになれるというメリットがある一方で、ひとたび挫折すると悲観主義に陥るため、何もできなくなってしまうというデメリットがあります。 また、ゼロサム思考では、「自分が得をするためには、誰かが損をしないといけない」「さまざまな成績は、相対評価でつけられている」と考え、他人を競争相手とみなし、冷たい態度を取ったり、他人の失敗を喜んだりしてしまうこともあります。

ゼロサムゲームの反対語

ゼロサムゲームには、いくつか反対語があります。それぞれ解説していきましょう。

ノンゼロサム

ノンゼロサムとは、ある一人の利益が、必ずしも誰かの損失になるとは限らない状況のことを指します。ノンゼロサムは、「非ゼロ和」とも呼ばれ、他の誰を傷つけることなく利益を得られる状況や、一人の利益が他の誰かの利益に繋がる状況など、全体的に総和が増える状態を表現しています。

win-win

win-winは、特に取引の場面などで、交渉を行っている双方に利益がある状態を指します。この言葉は、スティーブン・R・コヴィーのベストセラー「7つの習慣」で使われたことがきっかけで、世間で広く認知されるようになりました。

著者はwin-winについて「人間関係の哲学であり、全ての人間関係において、相手に利益を出す結果を得ようとする姿勢を意味する」と述べています。

現在win-winは、経済用語の一つとして、主にビジネスシーンで使用されています。

ゼロサムゲームのわかりやすい例

ここでは、ゼロサムゲームについて、さらにわかりやすい例を提示しながら解説していきましょう。

囲碁や将棋など、参加者が2名のゲーム

ゼロサムゲームの最もわかりやすい例が、囲碁や将棋など、参加者が2名のゲームです。囲碁は、黒石181個、白石180個を使用し、相手よりも多く陣地を取った方が勝ちとなるゲームです。

将棋は、双方が8種類合計20枚の駒を持って戦います。合計40枚の駒を2人で取り合い、より多く取った方が勝ちです。

このように、1対1で勝負するゲームは、ほとんどがゼロサムゲームである、と言えるでしょう。

また、4人ゲームの麻雀も、代表的なゼロサムゲームです。麻雀では、それぞれの参加者に、まず25,000点の点棒が配られます。上がった人の「役」によって得点は変動、上がりを振り込んだ人は、その役の得点分の点棒を、差し出さなければいけません。

麻雀は、25,000点×4人分の10万点の中で勝敗が決定します。つまり、勝者と敗者の得点を合計すると必ず10万点となる、ゼロサムゲームなのです。

外国為替取引

異なる通貨の売買を行う「外国為替取引」では、ドルやユーロ、円など、通貨の価値の差額によって利益を狙います。

例えば、1ドル100円のときにドルを購入したとします。2か月後、1ドルが200円になったなら、100円の利益になりますし、逆に80円に下がったら、20円の損失となります。

世界の通貨の価値は、相対的に決まっているため、ある通貨が上がれば、別の通貨は下がります。そのため、外国為替取引は、まさにゼロサムゲームの代表と言えるでしょう。

ちなみに、儲かる人がいれば損する人もいる「株式売買」もゼロサムゲームであると考えがちですが、実際は異なります。

もし、株式市場に変動がないのであればゼロサムゲームになるのですが、実際の株式市場は日々激しく変動しています。

株式を買いたい、という人が多ければ株価は上昇し、その結果市場全体の価値も上がります。反対に株式を売りたい人が多いと、株価は下落するので、市場の価値も下がってしまいます。このことから、株式売買は、ゼロサムゲームではなく、ノンゼロサムゲームにカテゴライズされるのです。

ビジネスは今や「ノンゼロサム」の時代へ

ビジネスシーンでは、企業間の競争が絶えず勃発しているため、ゼロサムの状況にあることがほとんどです。しかし最近では、「ビジネスをノンゼロサムで考えよう」という動きが広まっています。

ビジネスをノンゼロサムで考えることの最大のメリット、それは「全員が得をする状況を目指す過程において、企業間が協力関係を築きやすくなる」ことです。

ゼロサムな考え方の場合、どうしても企業間の陣取り合戦が発生するため、対立しやすくなってしまいます。しかし、ノンゼロサムなら、「全員でより大きな利益を得よう」という共通の目標があるので、自然と協力体制を取るようになるでしょう。

また、マーケティングや商品開発の際は「20代女性」「価格重視」「デザイン重視」など、特定のセグメントのみをターゲットにして商品サービスを提供する「ゼロサム」の考え方よりも、セグメントを分割せずに、市場そのものを大きくする方法を模索する「ノンゼロサム」の発想の方が、結果的にメリットは大きくなるでしょう。

つまり、ビジネスの持続的な成長を考える場合は、ノンゼロサムの考え方を意識しておくことがポイントなのです。

まとめ

経済理論の用語「ゼロサム」「ゼロサムゲーム」は、ビジネスシーンでも使用されることが多い言葉です。また、仕事で複数の人とかかわる場合は、必ず「ゼロサムで考えるか、それともノンゼロサムで考えるか」を判断しなければならない状況が訪れます。正しい判断を行うためにも、その意味や使い方をしっかりと理解しておきましょう。

才能の活かし方も同じです、自分も周りの人も含め全員に利益があるように使うことができれば、必ず良い結果に恵まれるでしょう。

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この記事を書いた人

才能 プロファイラー/才能開発コンサルタント。
「クライアントを経済的・精神的に最も豊かにする才能開発」がモットー。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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