こんにちは、才能心理学協会・認定講師の澤田浩一です。
私は才能心理学協会で認定講師をしていますが、別に製造業の経営もやっています。
社員40名の中小企業で、昭和25年創業。私で2代目で、いわゆるファミリービジネスです。
事業内容は、液面計という計測器の製造販売を行っています。
(詳しくはこちらへ URL:http://www.sawada-obk.com )
この会社で、今年、新しい経営理念を策定しました。
経営理念とは、この会社はなぜ存在するのか、何をする会社なのかを明らかにしたものです。
経営理念を策定することは、社会に対して、この会社はどのようなお客さまに、どのようなことをするのか、それは他の会社とはどのように違うのか、どんな特徴があるのかを宣言することであり、また社内に対しては、「うちはこのような方針でこのようなことをするから、賛同してね、そして一緒にがんばろうね」、というメッセージでもあります。
私たちの会社の新しい経営理念は、
「私たちは、ありとあらゆる『中身をみたい』というニーズにお応えすることで、世の中に貢献します。
私たちの会社は人財で成り立つ会社です。私たちが最も大切にすることは、あきらめずに工夫する社員の力と、人と人とのつながりでお客さまの信頼を得ることです」
です。
前半の「私たちは、ありとあらゆる『中身をみたい』というニーズにお応えすることで、世の中に貢献します。」は、どのようなお客さまに、私たちは何をするのかを述べた部分、言ってみれば社会の中で私たちがどのようなニーズに応えるのか、私たちにはどのような使命があるのかについて述べたものです。
液面計という装置は、ボイラードラムやタンクなどの密閉容器の中にある液体の高さを目で確認する計測器の一種です。液体の高さを測る計測器は世の中に多くの種類がありますが、直接目で確認できるものは、私たちの造るこの製品のみ。
昔からある製品ですが、需要があるのは、五感(目)を使って容器の中身を見たい、確認したいというニーズが人にはあるから。そのようなニーズを持ったお客さまの要望にお応えしてくという、私たちの使命をここで謳いました。
そして後半は、私たちの会社の特徴、社内・社外を含めて人と人とのつながりを大切にすることでお客さまの信頼を得ていくということを述べています。
信頼を得るためにはお客さまの様々なニーズに対してあきらめずに工夫していく姿勢が必要です。
前半部分もそうなのですが、この後半部分は特に私の思いを込めています。
と言うのは、私がこの会社でしたいことは、「人を支援する」ということだからです。
私はある事情で母を少年期に亡くし、そのときに母を助けられなかった、という思いがあります。
そのような出来事から、私は人を「助けたい、支援したい」という強い欲求があり、その人に充実した人生を送ってほしいという気持ちがあります
そのことを私は「人財」という言葉に含めました。
私たちの会社は人材ではなく、人で成り立つ「人財(人が財産)」の会社であること、そしてあきらめずに工夫することが、充実した人生を送ることにつながり、社会の役にも立つこと。 そういう思いを後半に含めています。
私は社長というものは、特に中小企業の場合、「自分がこの会社で何をしたいのか」を経営理念に込めるべきだと思っています。
なぜなら数年置きに交代する大企業の社長とは異なり、中小企業の場合は、代替わりをするまではトップとして先頭に立ち、会社の行くべき方向を決めなければならないからです。
そして社長が何をしたいのかは、社長の過去の人生経験に基づきます。
才能心理学では、才能を「心を突き動かす感情を行動に移した結果、生み出された能力」と定義付けています。
「心を突き動かす感情を行動に移す」というのは、その人の人生経験から来た「~したい」という欲求を形にすること。
経営理念も同じだと思います。社会のニーズにお応えし、かつ社長の人生経験から来た「~したい」という欲求を形にしたもの。
言い換えるなら、経営理念は社長自身の才能を言葉に表したものだとも言えるのではないでしょうか。