こんにちは、才能心理学協会・認定講師の澤田浩一です。
J.K.シモンズがアカデミー助演男優賞を取った映画「セッション」
ジャズ・ドラマーにあこがれ名門音楽大学に入学したマイルズ・テラー演ずるニーマン。
彼は伝説の鬼教師・フレッチャー(J.K.シモンズ)のパワハラとも言えるようなしごきを受け続けます。
圧巻は最後のシーン。格闘技さながらの子弟対決の中からニーマンの才能は開花し、その中で二人の関係は対立から調和(セッション)が生まれます。
この作品を観てふと思ったのは、経営者としての才能を開花させるにも誰かとのセッションが必要だということ。
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井さんは雑誌のインタビュー記事で、これからの経営者はチームで仕事をする経営者だと述べています。
なぜなら変化が早く、膨大な情報の行き来が激しいデジタル化やグローバル化の時代には、一人の経営者がカリスマ的に経営するには無理があるから。
このような時代に新しい付加価値のある製品やサービスを生み出すためには、自社の持っている能力だけは限界があります。
企業内部だけではなく、外部からも様々な知恵やアイデアを取り入れることができるネットワークや、いろいろな才能を持った人たちからなるチームが必要です。
一言で言うとこれからの経営もオープンな時代に入ったということでしょう。
中小製造業の経営で言えば、例えば製品デザインを外部の工業デザイナーとコラボするとか、大学や他のメーカーと協業して新しい加工方法を生み出すとか。
私が先日見学させていただいた金型メーカーさんでは、3Dプリンターのメーカーと協業して新しい素材の金型を開発されていました。
もちろんいろいろな才能も持った人が集まるのだから価値観もそれぞれ異なります。時には激しい意見の対立を引き起こすこともあるでしょう。
例えば私の場合、品質保証の仕組み作りや、人事制度の構築、生産改善など、自社で不足している能力を外部コンサルタントの協力を得たりするのですが、お互いの仕事への価値観の違いから、時にケンカ腰になることもありました。
最初は穏やかに話し合っていきますが、こちらも会社の将来が掛かっていると思うから次第にエスカレートして口角泡飛ばして、みたいに。
そういう時、信頼関係がベースにないと「もうこんな奴、使わん!!」みたいになるんですが、そうではなく、さらに時間をかけて話し合うことで良いものを作りました。
実際にケンカ腰になるかどうかはともかく、価値観が異なる者同士が組むことで激しい意見対立が起こっても、そこから逃げず、また妥協することなく協働していくことで、未来に向けてのより良いものが出来上がります。
まるでニーマンとフレッチャーのぶつかり合いから、新しい音楽が生まれ調和(セッション)するように。