「自分にはどんな才能があるんだろう?」
「才能がわかればもっと活躍できるのに」
「才能を発揮できれば、人生はもっと豊かになるはずだ」
そんなふうに思ったことはありませんか?
実際、才能を活かしている人は、そうでない人に比べて仕事のやりがいも収入も高いもの。しかし、「いざ才能を見つけようと思っても、その方法がわからない」という人はたくさんいます。
才能は誰にでもあります。もちろん、あなたにも。せっかく才能があるのに、見つけ方を知らないとうだけで、才能を伸ばすことも、活かすこともできていないとしたらもったいないと思いませんか?そこで、このページでは16年間の経験と研究からわかった才能の見つけ方を紹介します。
<目次>
- よくある才能の見つけ方では、才能は見つけられない!?
- 才能を見つけられない4つの理由
- 才能って何?
- あなたはどちらのタイプ? 才能を開花させた2つのタイプ
- 感情が違えば才能も変わる
- 才能開花の7タイプ
- 人は71%の確率で感情をきっかけに才能に目覚める!
- 才能を見つける3つのポイント
- 才能を見つける具体的な6つの方法
- 才能が見つかっても嬉しくない!? その理由とは
- 今のレベルから才能を伸ばせばいい!
- まとめ
よくある才能の見つけ方では、才能は見つけられない!?
才能の見つけ方といえば、よくこんなアドバイスがあります。
- 子供時代、好きだったことを思い出そう
- 昔、熱中したことを探そう
- 他人に聞いてみよう
- 新しいことにチャレンジしよう
あなたも聞いたことがあるかもしれません。中にはこの方法で自分の才能を見つられる人もいますが、「いざやってみても自分の才能がわからなかった」という人もたくさんいます。
なぜ、この方法では才能が見つからないのでしょうか? それは才能の見つけ方の勘所を押さえていなければ、方法だけを聞いても見つけられないからです。
教師に勉強の仕方を教えてもらっても、上司に仕事のやり方を教えてもらっても、なかなか思うようにできないこともあります。自分では教えられた通りにやっているつもりなのに、結果が伴わない。それは勘所をつかめていないからです。
同じように、才能を見つけるにも勘所があります。その勘所を知らなければ、いくら方法を教えてもらっても、永遠に才能を見つけることはできません。
そこでまず才能を見つける勘所を押さえるために、逆説的ですが「才能を見つけられない4つの理由」を紹介します。正しい知識や方法を知っていても、ありがちな誤解やミス、見逃しがちなポイントを押さえておかなければ、いい結果は出ないからです。
才能を見つけられない4つの理由
1)教えてもらったことがないから
あなたは才能の見つけ方を親や教師から教えてもらったことはありますか?おそらくないでしょう。先ほどの初歩的な4つの才能の見つけ方を初めて知ったという人もいると思います。不思議なことに、私たちは誰からも才能の見つけ方を教えてもらったことがないのです。
その理由は、歴史的に見て、才能の研究が音楽やスポーツ、チェスなど、特殊な世界で行われてきたからだと思います。普通の仕事をする普通の人が「才能には縁がない」と思い込んでしまうのも、こうした背景が影響していると考えられます。
教えてもらったことができないのは努力不足かもしれませんが、知らないことができなくても当たり前。誰も才能の見つけ方を教えてもらったことがない。だから、人に教えられない。これが才能を見つけられない1つ目の理由です。
2)才能が何かよくわかっていないから
「才能って何?」
子供に聞かれたあなたは何と答えるでしょうか? 辞書を引くと「物事を巧みになしうる生まれつきの能力」と書かれていますが、そんなことを言われても「そんな能力はない・・・」と思う人の方が多いもの。そう、私たちは才能が何かをよく知らないのです。そして知らないものを見つけることはできません。
たとえば「机の上にある車の鍵を持ってきて」と頼まれたとします。一生懸命、机の上を探しても鍵が見当たらない。すると「鍵は別の場所にあるだろう」と思います。ところが、頼まれたのはレクサスの鍵でした。実はレクサスの鍵は普通の車の鍵と違い名刺のようなカードキー。見つけられなかったのは、その鍵がどんな形で、どんな色をしているのか知らなかったからです。
知らないものは見つけられない。
同じように才能が何かわからなければ、見つけることはできません。才能を見つけられない2つ目の理由は、私たちが才能とは一体どういうものなのかよくわかっていないからです。
3)すごくなければ才能じゃないと思い込んでいるから
「才能がある人といえば、誰ですか?」と聞かれたら、あなたは誰を思い浮かべるでしょうか? イチロー選手、浅田真央ちゃん、本田圭佑選手、孫正義さん・・・。
おそらく思い浮かぶのは、社会的にある程度の成功や評価を得ている人だと思います。「あんなことをできるのは、あの人しかない」「だから、あの人には才能がある」世間ではそう言われるので無理もありません。すると「才能がある人といえばすごい人。自分の中のすごい所といえば・・・」「特にないな・・・」と、ほとんどの人はここで行き詰ってしまいます。
しかし、よくよく考えてみれば、彼らもはじめからすごい才能を持っていたわけではありません。はじめは小さかった才能の種を、他人が「すごい!」というレベルまで育てたのです。ところが、いざ自分の才能を見つけようと思うと「あの人と比べて自分には大した才能がない」と思いがち。結果、磨けば開花するかもしれない才能の種を「大したことはない」と見過ごしてしまうのです。
才能を見つけられない3つ目の理由は、「すごくなければ才能じゃない」と思い込んでいるからです。
4)才能を見出してくれる人が周りにいないから
学校で勉強ができなかった子供が塾に行き始めて勉強ができるようになった。学生時代、成績が悪かったのに社会人になってから活躍し始めた。監督が変わってから才能を発揮し始めた。あなたの周りにもそんな人はいませんか?
彼らの変化の理由は、才能を見出してくれた教師、上司、コーチとの出会いです。あなたが自分の才能を見つけられない4つ目の理由は、あなたの才能を見出してくれる人にまだ出会っていないからです。
こうしてみると4つ目以外は自分でできること。シンプルに言えば、才能が何かを知り、見つけ方を学び、思い込みを外せば、あなたも自分の才能を見つけることができるのです。
才能って何?
ほとんどの人は「才能=すごい能力」だと思っています。しかし16年の経験と才能開花させた人を分析・研究してわかったのは、才能は単にすごい能力ではないということ。では、才能とは一体なんなのでしょうか?
私はこう考えています。才能とはあなたの心を最も突き動かす感情を行動に移した結果、生み出される能力のこと。シンプルに言えば「才能=感情×行動×能力」です。
ファッション業界で活躍した2人のデザイナーを例に説明しましょう。
事例1)クリスチャン・ディオール
クリスチャン・ディオールは世界的に有名なデザイナーの一人です。
彼は裕福な家庭に生まれ、何不自由なく成長しました。子供の頃からデッサンが好きでカーニバルの様子や、ファッションのスケッチをしていたそうです。
お金持ちの出身で、本物の贅沢を知っていた彼が追求したのは、合理的・機能的なファッションではなく本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためのファッション。バストラインとウエストのくびれを強調。スカートのシルエットはふんわりとさせ、丈は長めの服をデザインしました。そのため贅沢が許されなかった第二次世界大戦中は物議を醸しますが、戦後、豊かになったアメリカで大ヒットします。
彼の理想はフランスの古き良き「ベル・エポック時代の美」。そのコンセプトを戦後のニーズに合わせてリニューアルしたデザインは「ニュー・ルック」と呼ばれました。
彼は大好きだったデザインとベル・エポック時代の美しさ、エレガンスを追求し、デザイナーとして成功したのです。
事例2)ココ・シャネル
同じく、世界的に有名なデザイナー、ココ・シャネル。
彼女は10歳の時に母親が病死したため修道院に預けられ、孤児になりました。貧しさと不自由さから一刻も早く抜け出し、自立と自由を手に入れたかった彼女は修道院を出た後、仕立て屋で住み込みデザイナーとして働き始めます。
シャネルは女性がフランス人形のようなドレスを着ていた時代に、体をきつく縛るコルセットから女性を解放する斬新なデザインを発表。伝統的なファッションを一瞬で葬り去った彼女は「皆殺しの天使」と呼ばれたほどです。
彼女がデザインしたのは動きやすく機能的なデザイン。クリスチャン・ディオールとは真逆です。シャネルは「自立した自由な女性のためのファッション」を作り、男性のお飾りだった女性を目覚めさせ自立に導きました。
ちょうどその頃、第一次世界大戦が始まり男性は戦場へ。代わりに自立して働かなければならなくなった女性にとってシャネルのデザインはまさに求めていたものでした。
動きやすい機能的なデザインに美を施すのがシャネルの理想のスタイル。自立した自由な女性こそ、美しいと考えていたからです。
彼女は子供時代にもらえなかった自由と自立を追求し、デザイナーとして成功したのです。
二人が才能を開花させたのは、心を最も突き動かす感情を行動に移したからです。
あなたはどちらのタイプ? 才能を開花させた2つのタイプ
対照的な二人の事例を紹介しましたがいかがでしたか? クリスチャン・ディオールとココ・シャネルはデザイナーとして活躍し、世界的なファッションブランドを作り上げましたが、追求したデザインは真逆です。その理由は、生まれ育った環境が違ったために、才能開花や成功への原動力となる感情も全く違ったからです。
クリスチャン・ディオールは好きなことを追求することで才能を開花させ、ココ・シャネルは貧しさと不自由の中で孤独や寂しさを感じながら育ち、自立と自由を追求することで才能を開花させました。
シンプルに言えば、クリスチャン・ディオールは人生であったもの(スケッチや美)を追求し、シャネルは人生になかったもの(自由と自立)を追求した。
そこで私はクリスチャン・ディオールのように人生であったものを追求した人を「ある人」。シャネルのように人生になかったものを追求した人を「ない人」と呼んでいます。
あなたは人生であったものを追求してきたタイプでしょうか? それともなかったものもを追求してきたタイプでしょうか?
一般的にはクリスチャン・ディオールのような人は恵まれて幸せで、ココ・シャネルのような人はそうではないと考えられます。しかし、才能開花という観点からいえば、どちらのタイプも才能開花のポテンシャルを持っています。大切なのは感情を才能開花のパワーに変えることです。
「誰にでも才能がある」と言えるのは、人間であれば誰もが感情を持っているから。感情という才能の種に、行動という肥料をやれば、能力という果実が手に入る。だから、才能は「あなたの心を最も突き動かす感情を行動に移した結果、生み出される能力」なのです。
感情が違えば才能も変わる
クリスチャン・ディオールも、ココ・シャネルもデザイナー。二人とも素晴らしいデザイン能力を持っていました。しかし、それぞれのデザインや顧客はまったく違います。
クリスチャン・ディオールは合理的・機能的なファッションではなく本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためのファッションを作り、ココ・シャネルは自立したいと思う女性のために機能的で美しいファッションを作りました。
感情の違いがセンスの違い、能力の違い、商品や顧客の違いを生み出しています。才能ある人が独自のポジションを確保し、ファンから愛さるのはそのためです。
人生経験の違いが、感情の違いを作り、才能の違いに変わる。
才能はたんに優れた能力ではなく、「才能=感情×行動×能力」この3つで決まるのです。
才能開花の7タイプ
「人生であったもの、なかったものは何か?」と聞かれても思い出せない人もいるので、別の切り口も紹介しましょう。
16年の才能研究からわかっているのは、才能開花した人は7タイプいるということです。
- 欲しいものを手に入れるために努力した人
- やりたいことを追求した人
- なりたい自分を追求した人
- 助けたい人がいた人
- 経験を追求した人
- 与えられた環境で努力した人
- もともと上手にできた人
1)自分が欲しいものを追求した人
シャネルのように昔もらえなかったものを手に入れるために努力した人のこと。昔、貧乏だった。欲しいおもちゃを買ってもらえなかった。ご馳走をお腹いっぱい食べたかった。だから欲しいものが買えて、食べたいだけご馳走を食べられるお金持ちになりたいと思い、ビジネスの才能を磨き経営者になったというのはこのタイプです。
2)やりたいことを追及した人
クリスチャン・ディオールのように好きなことを仕事にした人のこと。スポーツマンや芸術家、科学者などに多く見られます。たとえば、サッカーの三浦和良選手は46歳を過ぎても現役で活躍されています。「どうして続けられるのですか?」と聞かれて「好きだからです」と答えていました。彼はプレーを続けることがやりたいことなのです。このタイプの人は「やりたいこと」を追及した人です。
3)なりたい自分を追及した人
ソチオリンピックで金メダルを取ったフィギュアスケート男子の羽生結弦選手。彼はスケートを始めた子供の頃、自分の大好きな仮面ライダーの真似をしたくて、リンクの上でやってみたかったと語っていました。その後、羽生選手はロシアのプルシェンコ選手に心酔しました。
このタイプは、「あの人のようにかっこよくなりたい」「あの人のようにオシャレになりたい」と、なりたい自分を追及した人たちです。 たまたま出会った先輩がすごくかっこ良くて会社でリーダーだった。先輩に憧れて真似をしていたら、リーダーシップの才能が磨かれた。そんな人もいるでしょう。
4)助けたい人がいた人
母親が病気で医者から「この病気は治せない」と言われ、母親の病気を治したくて医者になった。親の会社が倒産した。会社がうまくいっていた頃は、父親も母親も元気で明るかった。もう一度、その顔を見たくて起業した。父親が甲子園を目指していたが挫折した。その夢を叶えたくて野球選手になった。このような人は「助けたい人がいた」タイプです。
5)経験を追及した人
学生時代、みんなで優勝を目指し、ブラスバンドの練習をして頑張っていた「あの時」が一番楽しかった。よくよく考えてみれば「ひとつの目標に向かってみんなで何かをする」という経験が好きだと気づいた。そのようなタイプです。今やっている仕事は、音楽とはまったく関係のない営業の仕事でも、職場で同僚や後輩と目標を立ててチームで仕事をするのが楽しいという人です。このタイプは「経験を追求した」タイプです。
6)与えられた環境で努力した人
親が商売をしていて生まれたときから継ぐことを期待されていた。就職できたのはこの会社しかなかったなど、選択肢のない環境で生まれ育った人です。彼らには自由に選ぶ選択権はありません。家業が好きな場合は、好きなことを追求したタイプになりますが、なかには親への反発や束縛感から家業を嫌った人もいます。しかし逃げることもできず、与えられた環境でコツコツ努力した結果、才能が開花した。やっているうちに仕事を好きになったタイプです。
7)もともと上手にできた人
最後は、もともと上手にできた人です。飲み込みが速い、手先が器用、話し上手、数学の天才、絶対音感のあるピアニスト、モノを分解する・作るなど、誰からも教えられていないのにできた人。いわゆる生まれながらの素質がある天才タイプです。
人は71%の確率で感情をきっかけに才能に目覚める!
あなたはどのタイプでしょうか? 複数当てはまる場合もあります。
1−5は感情重視タイプ。6は行動重視タイプ。7は能力重視タイプです。この7タイプを見ると7つの内1〜5は感情をきっかけに才能開花した人。つまり人は71%の確率で感情で才能に目覚めるといえます。
成功者のアドバイスが人によって違うのも、才能開花のタイプが違うから。自分のタイプを知り、何にフォーカスすれば才能が開花するのかを見つけましょう。
才能を見つける3つのポイント
自分の才能を見つけるポイントは感情、行動、能力の3つのポイントを押さえること。なぜなら、才能が開花した人とそうでない人の違いは次の2つだからです。
- 「感情、行動、能力」の3つがつながっているか
- 昔からずっとやっていることか(昔から続く感情、昔からやっている行動や能力か)
感情が強いから行動力につながり、行動するから能力も磨かれる。昔からずっとやっているから磨かれる。つまり才能とは点ではなく線でとらえるもの。
今、能力がある人でも感情(モチベーション)が弱ければ、3年後は能力が落ちる可能性が高くなります。逆に、今能力がなくても、感情(モチベーション)が強ければ、3年後は能力が伸びている可能性が高くなります。才能開花する人は感情、行動、能力が一本のつながっているからです。
シャネルにクリスチャン・ディオールと同じ服を作ってくれといえば、作ることはできたでしょう。しかし絶対に作らなかったと思います。そのデザインに感情が動かないからです。それはクリスチャン・ディオールも同じです。
才能は点ではなく、「感情→行動→能力」の線で考えるのがポイント。冒頭で紹介した4つの才能の見つけ方を試しても、自分の才能がわからないのは点で考えているからです。
では最後に才能を線で見つける6つの方法をご紹介します。
才能を見つける具体的な6つの方法
1)子供時代にあったもの、なかったものを思い出す
あったものは好きだったこと、嬉しかったこと、楽しかったこと、感動したこと、熱中したことなど、ポジティブなこと。 なかったものは、悔しかったこと、嫌だったこと、悲しかったこと、寂しかったこと、怒りを感じたことなど、ネガティブなことです。 クリスチャン・ディオールは裕福な美に触れる機会があり、シャネルには頼れる親や自由がありませんでした。
冒頭で紹介した「子供時代、好きだったことを思い出す」は感情レベルの才能の見つけ方、「昔、熱中したことを探す」は感情と行動レベルの才能の見つけ方だということがわかります。
ずっと昔から抱いている感情は強く、深い感情。才能開花の爆発力を秘めています。クリスチャン・ディオールはずっと好きだったからこそ親に反対されても続け、才能を磨き続けました。シャネルはずっと自由が欲しかったからこそ、あれほどこだわって作り続けました。
1つわかりやすい事例を紹介しましょう。
あるビジネスパーソンは学生時代バスケットに熱中していました。バスケットの楽しみは戦略思考とスピード感。「勝つ方法を考え、スピーディーに実行する」それが彼の好きなことであり、強みでした。彼は今IT企業でバリバリ働いていますが、以前勤めていたのは典型的な日本企業。当時は企画書を提出しても稟議書を回し、決定するまでに時間がかかる。その遅さに耐えられなかったと言っています。
今のIT企業は以前に比べると忙しく、求められるスキルも結果もハードルが高い。周りからは激務で忙殺されているようにしか見えません。しかし彼は戦略思考とスピード感を活かせる今の仕事の方が、何倍もやりがいがあるといいます。
「なかなか昔のことを思い出せない」という人もいるかもしれませんが、隠れた才能を開花させたいなら、時間をかけて見つけましょう。
2)気になることをチェックする
昔の感情を思い出すのは難しくても、今の感情をチェックするのは簡単です。電車の中で自然に目につくつり革広告や見出し。街を歩いていて気になるお店や人。そういったモノや人があなたの隠れた才能を教えてくれます。
大手企業でマニュアル作成をしているビジネスパーソンがいます。彼は1時間街を歩き、気になることをメモしました。彼が手帳に書いたのはすべて標識やサインばかりでした。彼が気になるのは標識やサイン。そして仕事はマニュアル作成。この3つに共通するものといえば何でしょうか?
標識やサインは目的地に導くための正しい方向を示すもの。そしてマニュアルとは、正しい結果に導くための手順を示すものです。彼は「正しい場所に導きたい人」。マニュアル作成という仕事を通じて、「正しい場所に導く能力」を無意識的に磨いていたのです。
マニュアル作成能力だけではなく、コミュニケーション能力、人間関係力、リーダーシップ能力を身につければ、彼が才能を発揮できる範囲は格段に広がります。
3)手帳をチェックする
もう1つ、今の感情から才能を見つける方法があります。それは手帳をチェックすることです。手帳を開いて、ここ数ヶ月の予定を見てください。予定を「これは楽しかった!」「これは退屈だった」など、感情別に分類すれば、あなたの才能が見えてきます。
あるビジネスパーソンがこの方法で予定を分類するとクライアントと打ち合わせをしている時が最もテンションが上がることに気づきました。その中でも特に、商品企画や販売戦略のアイデアを出し合い、考えている時が一番楽しい時間でした。彼の仕事は営業。この才能を活かせば提案営業のスキルを伸ばし、クライアントに喜ばれながら売り上げも伸びる営業マンになれる可能性が高いでしょう。
4)他人に聞いてみる
他人に聞くのは、簡単に自分の才能を見つける方法です。自分を客観的に見るのは難しいですが、他人のことは良く見えるもの。他人はあなたの無意識の行動や、使っている才能をよくわかっているものです。
他人に聞いてみるもう1つのメリットは「これはできて当たり前」とあなたは思っていても、実際には、できない人がたくさんいると気づけることです。
出産を気にうつになった女性がいました。1年間、ずっと家に引きこもっていたのですが、その間、彼女は海外ドラマをつけっぱなしにしていました。すると英語が話せるようになったのです。
それを知った友人から「英語を教えて欲しい」と言われたのですが、「こんなこと誰でもできるよ」と思い取り合いませんでした。しかし、「教えて欲しい」とリクエストがたくさん来たので英語を教え始めると大人気に。今では本も出版。英語トレーナーとして活躍しています。
才能とは、あなたにとって常識でも、他人にとっては非常識なこと。それに気づけば才能を活かすチャンスを手に入れることができます。
5)過去の実績を棚卸しする
過去に出した実績はあなたに能力がある証拠。能力レベルの才能を見つけるには、この方法が一番速く、確実です。
まず過去の実績を紙に書き出しましょう。テストで1番だった、描いた絵が入賞した、スポーツで優勝した、自分がマネージャーになってからチームが勝ち出した、文化祭で過去最高の参加者を動員した、仕事で表彰されたなど、どんなものでもOKです。
次になぜ、そんな実績を出せたのかを考えましょう。その答えがあなたの能力レベルの才能です。
経営コンサルタントとして活躍している人がいます。彼はサラリーマン時代から、「あいつがいれば部署がまとまる」と言われていた人です。結果、部署が一丸となり目標達成を目指すので部署の売り上げも上位に。今は、その経験を元に社長と社員のつなぎ役として企業に入り、経営コンサルティングをしています。
同じ売り上げをあげるにも彼のようにチームワークで達成する人もいれば、コピーライティングが得意な人、売れる仕組みづくりが得意な人、人に直接会って営業をするのが得意な人もいます。実績で見れば結果は同じでも、使っている才能が同じだとは限りません。
「なぜ、そんな実績を出せたのか?」を考えれば、能力レベルの才能が見えてきます。
実績を書けない場合は、あなたの才能は感情レベルか行動レベル。現時点では、まだ実績につながる能力レベルにまで達していないということです。今から才能の磨き方を学び、才能を伸ばしてくれるメンターを見つければ、才能を能力レベルに引き上げ、開花させることができます。
新しいことをはじめてみる
才能開花した人に共通するのはある出会いをきっかけに才能が開花したことです。
クリスチャン・ディオールはたまたま裕福な家に生まれ、ココ・シャネルは修道院に預けられ、そこで裁縫の仕事をさせられました。イチロー選手は野球に出会い、三浦知良選手はサッカーに出会いました。本田宗一郎は車に出会い技術者を目指し、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツもパソコンに出会い、IT起業家になろうと決めました。
才能開花した人には、そのきっかけとなった感情を突き動かされる出会いがあります。私はこの出会いをディープ・インパクトと呼んでいます。
しかし、ディープ・インパクトはいつ、どこで起きるかわかりません。まったくの偶然だからです。この偶然の出会いの確率をあげる方法はたった1つ。それは新しいことを始めることです。
ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した二山治雄さん。彼は 4人兄弟の末っ子で、上はすべて姉でした。「3人のお姉ちゃんを守れる男らしい子にしたい」と思った父親は息子に空手を習わせることにしました。
ところが空手教室に見学にいく途中、二山さんは偶然あったバレエ教室で足を止め、「これを習いたい!」と父親に訴え、バレエを習うことができたのです。彼の才能開花も偶然の出会いから始まっています。
空手に興味はなくても、行った先でバレエに出会うこともある。その新たな出会いが、あなたの未知なる才能を開花させます。それはまだ誰も気づいていないあなたの中に眠る才能です。今の生活がルーチン化し、感情が動くような出会いがないなら、新しいことを始めましょう。
才能が見つかっても嬉しくない!? その理由とは
才能を見つける6つの方法を紹介しましたが、いかがでしたか? 1−2は感情レベルの才能を、3と4は行動レベルの才能を、4と5は能力レベルの才能を、そして6は未知なるポテンシャルとしての才能を見つける方法です。
ここまでやってみて「自分の才能はわかったけれど、それほど嬉しくない」ということもあるかもしれません。私の経験では、能力レベルの才能を見つけた人の中に、その傾向が強いように思います。
「能力はあるのは知っているし、評価もされいる」、「けれど、満足できない」「何か違う気がする・・・」と思うのは、感情が動かないから。つまり「やりたい!」と感じていないからです。そんな時は、「その能力を何に活かせれば楽しいだろう?」、「やりがいがあるだろう?」と考えてみてください。
以前、マーケティングの専門家が相談に来ました。彼はサラリーマン時代から集客やマーケティングの経験を積み、インターネット広告の専門家として独立。当時、すでに日本で5本の指に入るほどの実力者でした。しかし、その後、彼は仕事が嫌になり、会社を売却します。
理由の1つは、正月や夏休みに関係なく、クライアントから「どうしてうちの広告順位が下がってるんだ?」と連絡が来て、対応に追われ、普通の生活ができなくなかったら。平日、土日関係なく、仕事の連絡やクレームが来る。それでは嫌になるのも無理はありません。
しかし彼は当時まだ40代。「もう一度、仕事をするなら自分の才能を活かせる、やりがいのある仕事をしたい」と思いました。そこで過去の実績を棚卸ししてもらったのですが、やはり出てくるのはマーケティング能力。
「やっぱりこれか・・・」と思いつつ、感情レベルの才能を調べていくと、昔から面白い人やユニークな漫画、商品が好きだったことに気づきました。
と思った彼は面白そうな人を見つけると、自ら会いに出向き、意気投合した人とビジネスを始め、今は毎日楽しく働いています。
時には他人から言われた才能が嬉しくないことや、やりたいこととは違う場合もあるでしょう。そんな場合は、他人から言われた才能をやりたいことに活かす方法を考えましょう。能力レベルの才能にテンションが上がらなくても、感情レベルの才能とつながれば、才能を活かす道がきっと見つかります。
今のレベルから才能を伸ばせばいい!
6つの方法を試せば、どんな才能があるのか見えてきます。現時点で、自分の才能が感情レベルの場合もあれば、行動レベル、能力レベルの場合もあるでしょう。
一般的に「あの人には才能がある」と言われるときは、能力レベルが他の人よりすぐれている人のことを言います。しかし彼らもはじめからすぐれた能力があったわけではなく、すべてのレベルを時間をかけて大切に育ててきたのです。
才能を開花させた人は、感情・行動・能力の3つのレベルがすべて高い人のこと。
あなたが今どのレベルにいても、そこから3つを線につなげれば、才能を伸ばし開花させることができます。
まとめ
才能を見つければあなたの人生は感情的にも、経済的にも豊かになります。
楽しいけれど今はお金になっていない場合は、能力レベルを高めることで。収入はあるけれどやりがいがない場合は、感情レベルを高めることで、才能も開花し人生も豊かになるからです。
才能を感情レベル、行動レベル、能力レベルで見ていば、必ずあなたの才能が見つかります。そして感情という才能の種に、行動という肥料をやり、能力という果実を育てる。現在地を把握して才能を伸ばしていけば、必ず才能は開花するからです。
その才能を仕事で使っても、プライベートで使っても構いません。大切なのはあなたの人生を豊かにすること。才能を見つけ、活かすことは豊かな人生への一番の近道です。