こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者の澤田浩一です。
以前のブログ(2月17日)でも取り上げたことがありますが、中小企業の課題で大きなもののひとつは後継者問題です。
最近は社外の第三者や親族以外の役員・従業員が事業を継承するケースが全体の4割近くにも達しているそうです。つまり社長の子息が継ぐのを嫌がっているということ。
継がない理由はいろいろあると思いますが、理由の大きなものは「やりがいを感じない」ということ。
やりがいとは、仕事に対して「心が動く」ということです。
継がない人たちは後継者という与えられた環境では「心が動くもの」を感じることができないのでしょう。
ですが与えられた環境では人は本当に「心が動くもの」を見いだせないのでしょうか?
例えばピアニストのフジコ・ヘミング女史。
彼女は幼少のころ父母が別れ、母親と日本で暮らします。母親は実家からの仕送りとピアノを教えることで生計を支えますが、フジコ・ヘミングも母親からピアノを教え込まれます。
母親は生計を支えることで必死だったのでしょう。フジコ・ヘミングへのピアノの教え方もとてつもなくスパルタ式だったそうで、彼女は厳しいレッスンから逃げ出すために空想の世界を浮遊し、さまざまな絵を描くことで自由を求めたそうです。
ピアノは彼女が望んだ環境ではなく、いわば与えられた環境。
しかし与えられた環境の中で必死に練習をし、作品と向き合って自分らしく自由に弾くという演奏を身に着けて著名なピアニストになりました。
もう一人、例を挙げましょう。
女性向けの靴下専門店「靴下屋」を展開し、靴下のトップブランドとして有名なタビオの越智正直会長。
越智氏は11人兄弟の末っ子として生まれ、物心ついたときから甘えたい放題に育てられたそうで、子どもの頃はいわゆるガキ大将だったそうです。
そのため父親から「こんなやつは中学を卒業したら丁稚にやれ」と叱られ、奉公にでたのがたまたま大阪の靴下問屋でした。
ガキ大将であった彼は、奉公に出てわずか一週間で自分のような中卒は仕事には通用しないことを自覚します。
そして恩師の言葉を想い出し独学で中国の古典を勉強、自分の人生は自分で切り開くことを決意します。
その後独立し、一流の製品で世界一になることを目標に履き心地の良い品質重視の靴下を販売、タビオをトップブランドに育て上げます。
越智氏の場合も靴下という業界は望んで入った世界ではありません。
フジコ・ヘミング女史も越智氏もどちらも与えられた環境の中で自分の心が動くことを見いだし、それぞれの能力を高めていった人たちです。
自分の心が動くものが何かを言葉に表したものを才能心理学ではコア・コンセプトと言います。
才能を開花させるにはどのような環境に身を置くかということも選択肢のひとつですが、与えられた環境の中でどのように生きるかを考えるのも大切だと思います。
二代目、三代目で成功している経営者はいずれも与えられた環境でコア・コンセプトを見いだし、経営者としての能力を高めていった人たちです。
もしこれを読んでいる後継者の方で継ぐかどうかを迷っている人がいるなら、是非与えられた環境の中で心が動くものを見いだすことも人生の選択肢として考えてみてはどうでしょうか。