日本一社員が幸せな会社を作った男
「こんなに給料をもらっていいのかなと思う」
「不満はまったくない」
「夢みたい」
社員が口々にそう語る会社、「未来工業」。
- 売上250億円
- 創業以来赤字なし
- 年間休日が約140日、有給休暇が最大40日の日本一休みが多い会社
- 残業なし
- 海外への社員旅行は5年ごと。旅費は全額会社が負担など
数々の「ありえないこと」を取り入れ、メディアにも取り上げられた異能の経営者、山田昭男氏。
カンブリア宮殿では村上龍氏が「Googleやアップルが取り入れてたことを40年前から実践していた会社」とコメント。
なぜ、山田氏はそんな会社を創り上げることができたのだろう?
元劇団員の経営者
元々、山田氏は劇団「未来座」を結成し、30名ほどのメンバーを率いていた。 ところが、34歳の時、劇団にのめりすぎ、父親の会社をクビになる。世間で言えば、遊び呆けていたボンボンだったわけだ。 食い扶持がなくなった彼がやむなく起こしたのが未来工業だった。
ちなみにこの経緯は、小説家を目指すも挫折した阪急電鉄 創業者 小林一三氏と瓜二つ。
クビになった山田氏は、父親の会社の経験を活かし、ジョイントボックスを作り始め、電気設備のメーカーを目指した。
徹底した差別化の追求
しかし、業界1位は天圧倒的なナショナルブランド、松下電工、今のパナソニック。
「何も違いがなければ、顧客はブランド商品を買う」
「しかし、”こっちのほうが便利”、”安い”となれば、買ってくれる」
そこで、大工たちが作業しにくかったジョイントボックスを改良し、「スライドボックス」を作った。スライドボックスの差別化を徹底することで、大ヒット商品を生み出し、シェア8割を実現した。
「一工夫を加える」
「常に考える」
これが、山田氏が考えた小さな会社の「勝てる作戦」だった。
社内で実践する差別化トレーニング
山田氏は、全国から演劇や展覧会のチラシを集めている。 そして、今日開催されるチラシだけを壁に張る。つまり、毎日チラシを張り替えるのだ。
「今日という日付にこだわって張ってる会社はないから」
「電気をつけない会社もない」
「人と違うことをやるという癖をつけることで、商品にも違いを作ることができる」
何でも差別化することで、「差別化の訓練」を日々行う。これは「才能が9割」で紹介した、超一流が実践するオフコートトレーニング。
未来工業では社員全員が働きながら「考えるトレーニング」が身につく仕組みがある。
たとえば、どんなアイデアにも500円の報奨金を出す。優秀な改善案を提出した社員には数万円の報奨金が出る。 会社が望む行動を奨励し、評価する仕組を作ることで、社員にも「差別化思考」の習慣がつくのだ。
ドケチ経営
「ケチが看板の会社」と山田氏は言い張る。
コピーは本社に一台。しかも、使うのは会社に届いたFAXの裏紙。
ドアには「開けずに通れ」の貼り紙。ドアのノブを回すと、すり減ってノブが駄目になるのでコストがかかる。だから、ドアは手で押して開けられるよう改造。
新築祝いにもらった壺はゴミ箱代わり。それもゴミ箱買ったらお金がかかるから。
電気をつけないので、廊は暗い。普通なら電気のない廊下 暗くて途中で嫌になる人もいるだろう。しかし、社員には不満がない。電気はなくても心は明るいからだ。
「徹底したコスト削減」。
それは小さな会社が生き残るための経営戦略の1つだったのだろう。
しかし、劇団員を率いていた山田氏をここまで駆り立てるのは、一体何があるのだろう?経営に対するこだわりは才能の源泉の反映。彼の「才能の源泉」はどこにあるのだろうか?
仕事以外の楽しみを持って欲しい。それが仕事に生きる。
「食ってるだけなら豚でもできる」
「仕事をして、帰って、飯を食って、寝る」
「人間はそうじゃない」
カンブリア宮殿で、山田氏はそう語った。劇団を率いていた山田氏は「人はパンのみにて生くるにあらず」と思っていたのではないだろうか。
劇はエンターテイメント。なくても、生きていける。しかし、それでは生きる楽しみはない。「豊かな人生がやる気を生む」と山田氏は語った。
山田氏の父親は会社の経営者。一般的に経済的に豊かな家庭で育った子供は、ビジネスや実業、お金ではなく、芸術に興味を持つ。物質的な豊かさが満たされれば、人は精神的な豊かさを求めるからだ。そういう視点で見れば、こういう推測が成り立つ。
「なぜ、工夫するのか?」
同じ劇は面白くないから。
「なぜ、そこまでドケチなのか?」
劇を楽しむには、お金がいるから。
人生を最も豊かにしてくれるもののためにお金と時間とエネルギーを使う。そのためのコスト削減は苦にならない。その先に、楽しみや豊かさがあるからだ。逆に、目的なくコスト削減や節約に取り組んでも、心は貧しくなる。
山田氏は人生という劇を自分自身も、社員にも楽しんでもらうために「差別化」「ドケチ」の経営戦略を取ったのではないだろうか。
劇団を率いていた山田氏は、「人が豊かさを感じるもの」を経験的に知っていたのだろう。 父親の会社は食い扶持を稼ぐため。メインは劇だった30代。やむなく創業した未来工業。しかし、それは会社という名の「劇団」だった。
豊かさの価値観が変化している今の時代。多くの人は「何をすれば人生が豊かになるのか?」わからずに迷っている。そんな時、「こんな働き方をすれば楽しいぞ!」と絵を見せるリーダーに人は集まるもの。
「人生の豊かさ」を経営に反映した山田氏から学べることはたくさんある。
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