こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者コーチの澤田浩一です。
中小企業の経営者が課題として抱える大きなトピックのひとつが「事業継承」です。
この事業継承については、
- 誰に継がせるのか、
- いつ継がせるのか、
- どのように継がせるのか、
という3つの課題に対処する必要があります。
例えば、「いつ継がせるのか」については、後継者に経営者になるための教育をどのように行うかということを考えなければなりませんし、また「どのように継がせるか」については株式の相続税の支払いや、会社が抱える借入金をそのまま後継者に連帯保証させるのかなどといった問題があります。
いずれの課題も現実的にはいろいろな問題が発生しますが、最近特に大きな問題は「誰に継がせるか」ということです。
経営者に子どもがいない、もしくは子どもが後を継ぎたくないという場合もあるのですが、最近耳にしたのが、「人材不足の中で、このまま事業を継承させて良いのか」という問題です。
少子高齢化の進展に伴い、中小企業では若手の確保が日々難しくなってきています。
事業規模が小さいほど、大学の卒業生はもちろん、高校の卒業生の確保さえも難しいのが現状です。
そのため世代交代ができずに社員の平均年齢だけが上がっていくなかで、果たして次の人に事業継承をして良いものかどうか、当然ながら悩んでしまうのではないでしょうか?
事業継承どころか、自分の代での事業継続さえも危ういと感じる経営者の方もいらっしゃいます。
そういうときに私がお勧めするのは、事業に対して社長が持っている、もっとも大切な価値観を周囲に伝えていきませんか」ということです。
もし社長が創業者であるなら、なぜこの事業を始めたのでしょうか?
例えば「機械を組み立てるのが好きだったから」とか、
「バイクや自動車が好きだったから」とか、
「美容の世界に憧れたから」とか、
あるいは「単に儲かると思ったから選んだ」といった理由もあるでしょう。
ではなぜ「それ」が好きだったのでしょうか?
なぜ機械を組み立てるのが好きだったのでしょうか?
バイクや自動車の何に魅かれたのでしょうか?
美容の世界のどこに憧れたのでしょうか?
お金が儲かることで、何をしたかったのでしょうか?
そこには社長がこれまで生きてきた人生の中で、最も大切にしてきた価値観が隠されているはずです。
例えば私の場合は製造業の二代目ですが、子どものころウルトラマンを見て、そこで動くメカがかっこ良いと思いました。
以来、メカニカルに動くものには興味が湧きます(笑)
でも何よりも一番心が動くことは、目の前で行き詰っている人を見ると助けたい、という気持です。
それは私が高校生のときに母を自殺で亡くした経験からきています。
私はそのときに母を助けられなかったという強い思いを未だに抱えて生きています。
だから目の前に行き詰っている人を見ると、先に身体が動きます。
そのことに気付いてから、私は経営のやり方を「部下に任せて、彼らが行き詰って困ったら、とことん助ける」というやり方に変えました。
部下に宣言して、一線を退き、次の経営者を助けることに専念しています。
おかげで業績も伸び、後継者も経営者として伸びてきています。
もし人材不足で事業の継続に不安があるのであれば、社長がこれまで生きてきた人生の中で、もっとも大切にしてきた価値観は何なのか、それをどのように現在の事業に活かしてきたのかを周囲に情報発信してみてはどうでしょうか?
それは皆さんが社長としての才能をどのように活かして事業をしてきたかという、会社や社長自身の魅力を伝えることにもなります。
そしてそのことに共感して皆さんの会社への入社を希望する人や、事業を一緒にやりたいという人が出てくるかもしれません。
そのように考えると、人材不足という日本が構造的に抱える問題の中でも、まだまだ打てる手は出てくると思うのです。
もっとも、「これまで生きてきた人生の中でもっとも大切にしてきた価値観は何ですか?」ということを聴かれても、はっきりと出てこない人もいると思います。
そういうときは私にご相談ください。