こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者向けコーチの澤田浩一です。
みなさんはISO9001をご存知でしょうか?
ものづくりの企業や何かのサービスを提供する企業は、お客様に一定の品質を保証しなければなりません。製品でいえば、すぐに故障せず求められている機能を果たすことができる、サービスであれば一定の満足度を感じることができるなどです。
それらの品質を保証し、維持していくための仕組みをマネジメントシステムと言いますが、このマネジメントシステムの国際的な規格がISO9001です。
私はこのISO9001を導入するためのサポートも行っています。
先代から経営を引き継いだとき、当社のものづくりは職人さんの腕頼みで、技能が引き継がれていかないとまずい状況にありました。
そのためにISO9001を一から勉強し、社内に導入したのですが、今では他社にISOを導入するためのサポートをすることができるようになりました。
このISO9001について私が好きなところの一つが“是正処置”の項目です。
ものづくりもサービスの提供も、いつも一定の品質を提供できることが好ましい状態なのですが、どこかで予期せぬハプニングやミスが起きたりすることがあります。
そういうときになぜ失敗したのかを見つめ直し、二度と起こらないようにするのが“是正処置”です。
このことはみなさんが才能を発揮する上でも必要なことだと思います。
なぜならトップまで登りつめた経営者や素晴らしいビジネスマンに共通すること、それは失敗しなかったことではなく、失敗から多くを学んだことだからです。
例えば、わずか0.5ミリほどの大きさしかない藻の一種であるミドリムシを使った食品や化粧品の製造販売を行い、果てはミドリムシを使ったジェットエンジン燃料の展開まで計画している株式会社ユーグレナ。
代表取締役である出雲充社長は大学時代に訪れたバングラデッシュでの深刻な貧困のありさまやグラミン銀行のソーシャルな仕組みによる貧困層の救済プロジェクトなどを見て、「ビジネスを通して飢えに苦しむ人に栄養素を提供していきたい」と農学部へ行き、59種類もの栄養素を持つミドリムシに着目します。
ところがこのミドリムシ。出雲社長が着目した当時は、誰も大量培養に成功したことがありませんでした。
出雲社長は大阪府立大学の中野長久先生から研究を引き継ぎ、さらに全国のミドリムシの研究者を訪ね歩き、何度も何度も失敗しながら遂に大量培養に成功します。
ところが話はこれだけで終わりません。
大量培養には成功したものの、事業化にこぎつけるまでに500社もの会社を訪問してミドリムシの説明をしますが、どこの企業でも他社の採用実績を求められ採用されなかったそうです。
伊藤忠商事がミドリムシを買ってくれたことがターニングポイントとなり、ようやく事業化しますが、もし出雲社長が501社目を訪問しなかったら、もし大量培養の研究をあきらめて途中でやめていれば、現在のユーグレナはなかったでしょう。
失敗しても、そこから逃げることなく多くを学んで、続けられたからこそ成功されたのだと思います。
人は誰でも失敗します。
失敗しても、その失敗へのリカバリーだけを一所懸命して「やれやれ」と思うか、「二度と起きないようにするにはどうすれば良いか」を考えることとは大きな差があると思います。
もともと人は失敗からしか物事を学ぶことはできません。
私も韓国事業の失敗をはじめ、いろいろな失敗をしてきました。プレイベートでも失敗しています。
だからこそ今の私があるのだと思っています。
大切なのは失敗を直視して、二度と起きないようにすること。ISOで言うところの“是正処置”を行うことです。
そして失敗に向き合うときに大切なのは「自分にとって何が最も価値があることなのか」を知っておくことです。
ユーグレナの出雲社長の場合は「ビジネスを通して飢えに苦しむ人に栄養素を提供していきたい」ということに大きな価値を置いていたからこそ、何度も何度も失敗しても続けられたのだと思います。
「私の才能を見つけて活かしていきたい」という話になると、どの分野に身を置いて頑張ろうか、という話にどうしてもなりがちなのですが、その前に大切なのは何が最も自分にとって価値があることなのかということを知ることです。
そしてどの分野に身を置くかよりも、そこに軸を置いて行動すること。
そうすれば失敗から多くを学ぶことができるのではないでしょうか?