こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者の澤田浩一です。
中小企業の経営者で、後継者教育を悩んでいる方は多いと思います。
特に自ら創業している場合、経営そのものが身体に沁みこんでいる人ばかりなので、後継者にいったいどういうふうに経営を教えていったら良いのか皆目見当がつかない。
その結果、研修会社が行う「後継者教育セミナー」なるものに送り出したりするのですが、教えることがマーケティングの話であったり、財務の話だったりするので、それはそれで良いのですが、もうひとつ経営者として「たくましく」なったと思えない。創業者が思うような経営者らしさがないなと思う。
そういう話が多いのではないでしょうか?
実は後継者の方でも、この経営者の「たくましさ」や「らしさ」については悩んでいます。
経営者として自分の何を変えていったらよいのか、どういうあり方であれば良いのか、と暗中模索なのです。
このことについて日立製作所の元会長である川村隆さんは、最終的な責任を取ること、最終的な意思決定を行うことという意味で、「ザ・ラストマンになれ」と述べています。
川村さんが社長になったのは69歳のとき。
当時の日立製作所は最終損益が7000億円の赤字になり、株式に売り注文が殺到、あちこちで「倒産か?」などとささやかれていました。
周囲からは「晩節を汚すから、やめたほうがいい」と心配して反対したそうです。
それでも川村さんが社長に就任したのは川村さんがハイジャック事件に遭遇したときのことを思いだしたからです。
1999年、川村さんは乗っていた飛行機がハイジャックに遭いました。
二階のコックピットに刃物を持った青年が押し入り、機長を残して副操縦士を追い出します。機長は包丁で刺され、犯人が操縦かんを握ります。
一部始終を見ていた乗客たちが何とかしようとコックピットの周りに集まりますが、CAはマニュアル通りに乗客に席に戻るよう、促すばかり。
そこに非番で乗り合わせていたパイロットが、墜落の危機を感じたため、CAを制止して追い出された副操縦士と乗客を説得し、コックピットになだれ込んで操縦かんを犯人から奪い返します。
川村さんが思い出したのは、身体を張って飛行機と乗客の命を守った非番のパイロットのこと。
彼の行為を、「それが組織に勤める者の覚悟であり、責任ではないでしょうか」と述べています。
そして日立製作所を再浮上させることが「ザ・ラストマン」として最後にできることだと決意を固められたそうです。
しかしながら経営者として二代目がそこまでの覚悟を持つのは並大抵のことではありません。
では「ザ・ラストマン」としての覚悟を持つにはどうすれば良いのか?
それは二代目が持つ最も大切な価値観、コア・コンセプトが何かを自覚することから始まります。
なぜなら自分の最も大切な価値観、コア・コンセプトを自覚することは、経営のモチベーションのエネルギーとなり、自分が進むべき指針となるからです。
自分のコア・コンセプトを知り、その価値観に従って経営を営んでいく、そのことが「ザ・ラストマン」になる覚悟を作っていきます。