才能心理学は、才能開花のメカニズムを心理学的に解明した理論体系です。
「才能とは”切望感”である」という仮説を立て、歴史上の偉人や現代の成功者、アーティスト、俳優、スポーツ選手、学者など、才能開花した人の人生を生い立ちからさかのぼり、才能分析を始めました。その結果、才能開花した人には2タイプの人がいることがわかりました。
1タイプは、私の立てた仮説通り、切望感をモチベーションに才能開花した人。もう1タイプは、好奇心や感謝、感動をモチベーションに才能開花した人です。
その研究成果を過去15年間にわたる、のべ6000人のコンサルティング事例と照らし合わせ、才能開花のメカニズムとして体系化したのが才能心理学です。
才能心理学が生まれた理由 ーどうして受講生の2割は人生が激変するんだろう?ー
私は二十歳の頃に心理学を学び始め、26歳で心理学のセミナー講師になりました。当時は才能開発ではなく、心理学のセミナーをしていたので、受講者は職場の人間関係やキャリアの悩み、結婚や子育ての悩みを持っている方々でした。
セミナーをしながら不思議だったのは、同じセミナーを受講した人の変化度合いの違いです。
受講者の2割ほどの人は「本当にやりたい仕事がわかりました!」「自分の才能に気づきました」「ライフワークが見つかりました」といってくれ、人生が激変していました。残り8割ほどの人は「悩みが解決しました!」といってくれ、幸せな毎日を過ごし始めました。
どちらのタイプの受講者も人生に変化が出ていたので、講師としては嬉しかったのですが、「どうして2割ほどの人は、才能やライフワークに気づいたのだろう?」「なぜ、残り8割の人にはそれが起きなかったのだろう?」という疑問が湧いてきました。
人生の幸福は一人一人が決めるべきものですが、「誰もが自分の才能やライフワークを見つける理論やメソッドがあれば、もっと人生が充実するのではないか」と思ったのです。
私自身、学生の頃、どんな仕事をしたいのか? 何を基準に会社を選び就職活動をすればいいのか? もっといえば、何のために勉強し、どの大学に行けばいいのか?わからなかったというのも理由の1つだと思います。
この疑問が才能開花のメカニズムを解明する旅への出発点でした。
あなたは「ある人」か「ない人」か?
才能開花した人には2タイプの人がいると書きました。これは才能開花の研究でわかった最大の発見でした。
世の中には二種類の人間しかいません。それは「ある人」と「ない人」です。
ある人の代表例を著名人でいえば、裕福な家庭で育ち、両親から愛されたソニー創業者の一人、盛田昭夫。明治維新の立役者、坂本龍馬など。
彼らは親を含め生まれた環境から、お金や愛情、支援、教養などをもらって育ちました。ある人は何かがあったことへの感謝や喜びから、受け取った良いものを広めようとする傾向にあります。
すでにあるものを広める。それが彼らの「才能の源泉」です。盛田昭夫は天才技術者、井深大が発明したソニー製品を広め、坂本龍馬は土佐藩の上士下士という身分制度を打破するため、アメリカから輸入された民主主義・選挙制度を広めました。
一方で、ない人の代表例を著名人でいえば、私生児だったレオナルド・ダ・ヴィンチ、養子に出されたスティーブ・ジョブズや夏目漱石、施設に預けられたココ・シャネルなど。
彼らは「家族・居場所」がなかった人。そのため、人生を賭けて居場所や賞賛を手に入れようとしました。彼らは人生でもらえなかったもの、奪われたものを、必死に手に入れよう、創り出そうとしたのです。
なかったからこそ、創り出す。それが彼らの「才能の源泉」です。彼らが誰も生み出したことのないクリエイティブな作品や製品を世に送り出せた理由です。
才能開花した人の才能分析をすると、
- ある人タイプ
- ない人タイプ
- ある人・ない人のハイブリッドタイプ
の3タイプにわかれます。
才能を開花させるには1万時間のトレーニングが必要とよくいわれますが、そのモチベーションを支えるのが「何があったのか」、「何がなかったのか?」という出来事から生み出された感情である才能の源泉です。
才能の元にあるのは「感じる力」
「見ちゃったものは仕方がない」
プロ野球選手を目指した理由を聞かれ、イチローは答えました。本田宗一郎が機械にとりつかれたのは、鍛冶屋の父親や車を見たからです。
才能開花のきっかけとなって出来事のことを才能心理学ではディープイパクトと呼びます。
電車でおばあさんに席を譲るのは、目の前におばあさんがいるからですし、ボランティアに行くのも、テレビで困っている人を見聞きしたからでしょう。
何かを見たり、聞いた時、感情が動く。だから人は行動し、行動し続けると能力が開花する。出来事→感情→行動のつながりの中に、あなたの才能が隠れている。つまり、感情が才能に変わるのです。
才能の定義
辞書を引くと、才能という項目には「物事を巧みになしうる生まれつきの能力」と書かれています。これが多くの人が才能は特別な人にしか与えられない特別なものと誤解し、自分には才能がないと思い込んでしまう一番大きな原因です。
才能心理学では才能を心を突き動かす感情を行動に移した結果、生み出される能力と定義しています。何かがあった感動を原動力に行動し続けた結果才能を手に入れた「ある人」。何かがなかった悲しみや怒りを原動力に行動し続けた結果才能を手に入れた「ない人」。
彼らは、心を突き動かす感情を行動に移した結果、才能を手に入れたのです。
「モチベーションの源泉」を見極める
ある人は何かがあった喜び、感動から行動します。ない人は何かがなかった悲しみや悔しさから行動します。つまり、それぞれモチベーションの源泉が違います。
世の中には色々な成功法則がありますが、なぜ万人に通用しないのか? 一生懸命、師匠や先生のいう通りに努力しているのに、モチベーションが上がらないのはなぜなのか?もわかります。それはあなたと師匠や先生のタイプが違うからです。
「ある人」はハングリー精神あふれるカリスマ的な「ない人」に憧れる。「ない人」は生まれながらに裕福で、洗練され、知的で、人から好かれる「ある人」に憧れる。あなたにもそんな経験があるかもしれません。しかし、根本的なモチベーションが全く違うにもかかわらず、方法論だけ真似ようとしても、なかなかうまくはいかないものです。
才能は続けることで開花するもの。ならば、自分のモチベーションの源泉を知っているか、知らないかで、結果は大きく変わるでしょう。
才能とはゼロから生み出されるものではありません。才能の芽は、すでに、私たちの過去の人生の中に隠されているのです。人生のルーツを探れば、誰でも、もっとも情熱的になれる「才能の源泉」を掘り当てることができるのです。
その「才能の源泉」を掘り当て、あなたの才能を引き出すメソッドが才能プロファリング™です。