こんにちは、才能心理学協会・認定講師で二代目経営者の澤田浩一です。
データ的には少し古いのですが、平成19年度で日本にある資本金1億円以下の中小企業の割合は98.6%、その中小企業のうち、97%が同族企業、いわゆるファミリー企業です。
つまりそれだけ世の中には二代目、三代目の経営者が多いということ。
では二代目、三代目の経営者のみなさん、先代の父親との間にこんな経験したことないでしょうか?
「親父と会社のことで話すと、すぐに怒鳴り合いになってまともな話ができない」
「母親を通してしか話ができない」
「すぐにケンカ腰になる」
「親父の顔を見ると、何も言う気が失せて引っ込んでしまう」等々
かく言う私も経営を引き継いだとき、会社のお金のことで車の中で大ゲンカをしてしまい、怒りのあまり車から降ろしてそのまま走り去ってしまったことがあります(お父さん、ごめんなさい)
そもそも先代である親父と二代目、三代目では見る世界が違います。
親父は成功体験がすでにありますから、会社を守るために保守的になりがちです。本当に利益が出るのか、危ないリスクを抱えていないか、そういう目で見ます。口では「お前に任せた、やってみろ」と言いつつも、片方で反対します。
一方息子はこれまでに得てきた知識・経験を活かして会社を運営していきたいから、その会社にとって新しいことをやりたいと思う。だから親父から反対されると、「任せてくれるから社長にしたんだろ!」みたいになって、結果、上述した通り。
ある調査では、父親と息子の年齢の組み合わせが、父親が60歳から70歳で息子が33歳から40歳の間と、父親が75歳から85歳で息子が45歳から55歳の間のときが、仕事の関係の質に悪い関係になる年代だそうです。
二代目、三代目のみなさんも思い当たることないでしょうか?
じゃあ二代目、三代目が経営者として才能を発揮するためには、「どうしたら良いの?」、ということになりますが、それはお互いが相手の世界を理解していくことだと思います。
自分のやりたいこと、価値観を明確にした上で、父親の発言の裏にどういう意図があるのかを知る、その上で父親に発言する、その繰り返しです。
もちろん親子ですからやりとりは俄然、感情的にはなりますが、そういったことを練習していくしかないのではないでしょうか?
そうすれば親父への言い方も変わってくると思います。
「遠く空の向こうに(October Sky :1999年 ジョー・ジョンストン監督)」という実話に基づいた映画がありますが、この中に父親の気持ちも汲んだ上で、自分のやりたいこと、価値観をきちんと父親に伝えたセリフがあるので、ご紹介しましょう。
物語は1957年10月、ソ連が世界で初めてスプートニクという人工衛星を打ち上げた年。
舞台はバージニア州の炭鉱の町コールウッド。
高校生の主人公であるホーマー・ヒッカムは、日没後、町の上空を通過するスプートニクを見て感激し、アメリカ宇宙開発の父と言われるフォン・ブラウン博士に憧れてロケットを造りたいと思います。
そして友人たちとロケットを造り始めます。 最初のロケットはロケット花火の火薬30個分を筒に詰めただけのもの。 当然のことながら爆発して、家の塀を壊してしまいます。
当時のコールウッドの若者の進路は、スポーツで奨学金をもらって大学に進学するか、それとも高校を出て炭鉱で働くか道はありませんでした。
ロケットを造るホーマーを見て、周りの生徒は嘲笑の目で、校長先生は現実を見ろとホーマーを諭します。
彼の父親は炭鉱の監督者で、周りからの信頼も厚い人物。 父親もホーマーに、私の後を継いで炭鉱夫になれと猛反対します。
それでも彼はあきらめませんでした。
図書館でロケット工学の本を借り、理系科目に強いがクラスで除け者扱いされていた同級生を仲間に引き入れ、何度も何度も失敗してもロケットを造って飛ばし続けます。
紆余曲折を経てついにロケットを完成。サイエンス・コンテストに出品し、優勝してついに大学の奨学金を得て進学します。
そしてサイエンス・コンテストの優勝後、彼は対立する父にこのように言います。
「父さんと僕とでは見ている方向が違うんだよ。僕が求めるものは父さんのそれとは違う。僕はこの世界で人の役に立てる人間になれると思うんだ。
それは僕が父さんと違っているからじゃない。同じだからなんだ。
父さんと同じように頑固でタフだから、僕の目標は父さんみたいになること。
そりゃもちろんフォン・ブラウン博士はすぐれた科学者だけど、僕のヒーローじゃない。」
いかがでしょう?
私も父にこういう言い方が出来ていたらと、今更ながら思うのです。
最後にみなさんに質問です。
「親の七光り」と他の人に言われたら、みなさんはその言葉をどのように捉えますか?
嫌な言葉だと反発しますか? それともみなさんの財産だと思いますか?
私は今は財産だと思っています。