才能を見つけられないのは無意識の「思い込み」のせい
才能開発の仕事をしていると、「自分に才能があるとは思えない」という方にたくさん出会います。その原因の1つは、才能という言葉に対する無意識の思い込みのせいです。
ほとんど人は「才能=生まれつきの能力、遺伝で決まる、特別な人に与えられた特別な能力」だと思い込んでいます。過去を振り返っても、これといった実績や強みは見当たらない。すると「自分には才能がない」と思ってしまうのです。
実績やスキル、能力だけを見ていては、ほとんどの人は自分の才能を見つけられずに終わってしまいます。
才能って何ですか?
才能は遺伝だけで決まるものではありませんし、特別な人にだけ与えられた特権でもありません。誰もが才能を持っています。なぜなら、才能は感情から生まれるからです。
私は世界中の才能開花した人を才能分析してきましたが、彼らが才能開花した理由は自分の感情に従って行動してきたからです。
好きこそ物の上手なれといいますが、サッカーの三浦知良選手など、好きなことを追求した人は才能開花する可能性が高くなります。アスリートやアーティスト、学者や専門家はこのタイプです。
一方で、嫌なこと(感情)を克服するために努力した人も才能開花します。たとえば、子供時代からアトピーに悩んでいたから食事療法を取り入れて治し、料理を教えている料理家。貧困から抜け出すために起業家やアスリートになった人。
ポジティブな感情か、ネガティブな感情かの違いはありますが、どちららも自分の感情(心)に従った結果、才能が開花しています。
つまり才能とは、感情に従って、行動した結果、開花した能力のことです。
才能開花という点からいえば、能力は結果論。才能開花の原因は、感情と行動です。自分の才能を見つける第一歩は、あなたがどんな感情に一番心を突き動かされるか?(どんなことにモチベーションが湧くか?)を見つけることです。
才能心理学では、あなたが一番心を突き動かされる感情のことを才能の源泉と呼んでいます。そして才能の源泉は大きく2タイプに分かれます。
才能開花した人は2タイプにわかれる
才能開花の研究をしてわかったのは、世の中には2タイプの人がいるということです。
1つは、ポジティブな感情を原動力にして才能開花する”ある人”。彼らは、サッカーに出会った、野球に出会った、素晴らしい先生がいた、親に工作を教えてもらったなど、ポジティブな出来事をきっかけに、ライフワークに出会い、才能を開花させていきます。
たとえば、ライザップを創業した瀬戸健氏は高校時代に付き合った彼女が太っているのを気にしていたので、一緒にダイエットを始めたところ、彼女がダイエットに成功し、自信満々に。その変化を見て「人が成長したり、変化する役に立ちたい!」と思いライザップをはじめました。
一方で、ネガティブな感情を原動力にして才能開花するのは”ない人”。親の愛情がなかった、健康ではなかった、お金がなかったなど、ネガティブな出来事をきっかけに、なかったものを手に入れるために努力をした結果、才能を開花させます。
たとえば、スターバックスのCEOハワード・シュルツは子供時代、父親が定職につけず、暗く貧しい家庭で育ちました。彼はスターバックスを「第三の場所」と位置づけ、「自分らしくくつろげる場所」を世界中に展開しています。子供時代、家庭でくつろげなかった彼が作ったのがスターバックスです。
ディープインパクトを見つけよう!
才能心理学では、才能を開花させるきっかけになった出来事をディープインパクトと呼んでいます。
ライザップの瀬戸さんで言えば、ダイエットで成功した彼女の変化です。スターバックスのハワード・シュルツでいえば定職につけず肩を落としていた父親や暗い家庭です。
ある人は、もらったものや出会ったものへの感動、感謝、好奇心から才能を開花させる人なので、分かち合う傾向にあります。
一方で、ない人は、なかったものを手に入れた後、自分と同じように何かがなかったせいで悲しみや辛さを感じている人を支援する傾向にあります。
一般的に、「ポジティブな感情はいい感情で、ネガティブな感情は悪い感情だから、あまり感じない方がいい」と言われますし、恵まれている人の方が羨ましがられますが、才能開花という観点からいえば、どちらでもいい。
大切なのは、あなたの才能を開花させる感情というエネルギーを見つけ、効果的に活かすことです。
才能開花した人は感情と行動がつながっている
こうしてみると、才能開花した人が自分の感情に従って行動してきたことがわかります。たとえば、サッカー選手の三浦知良選手なら、
- サッカーが好き→サッカーをしたい→サッカーチームに入る
- サッカーが好き→もっとうまくなりたい→練習する
- サッカーが好き→ブラジルに留学したい→留学する
- サッカーが好き→プロサッカー選手になりたい→プロになる
スターバックスのハワード・シュルツなら、
- 《子供時代》家が暗いのは嫌だ→家にいたくない→アメフトに没頭
- 《子供時代》貧しいのは嫌だ→大学に行きたい→奨学金を取って、特待生として大学入学
- 《成人後》家でも会社でもくつろげる場所がない人が多い→くつろげる場所を作りたい→スターバックス
- 《成人後》家でも会社でもくつろげる場所がない人が多い→くつろげる場所を作りたい→人材教育に力を入れ、スタッフを大切にする
など、感情に従って、行動した結果、才能を開花させたのです。
才能を見つける速道は「感情・行動・能力」のつながりを見つけること
つまり、才能を見つける速道は、感情→行動→能力のつながりを見つけること。
サッカーにそれほど興味を持たない子供は、三浦選手とは違う才能を持っています。ハワード・シュルツほどくつろげる場所を欲しいと思わない人は、違う才能があります。
「くつろげる場所より、賑やかな場所がいい」という人は、同じカフェでも別の形で成功する確率が高いのは少し想像すればわかるでしょう。飲食業で考えるならカフェよりもバー向きかもしれません。
もっとも大切なことは、
- 一番心を突き動かされる感情は、どんな気持ちか?
- その時、いつもどんな行動をとっているか?
- その結果、何が得意になったか? どんなスキルが身についているか?
感情、行動、能力のつながりを見極めることです。
才能プロファリングとは?
才能プロファイリングはこの3つのつながりを見つける自己分析法のことです。才能心理学をベースにした再現性のある技術で、私以外にも15名の才能プロファイラーがいます。具体的な進め方は、下記の動画をご覧ください。
詳しい方法は拙著「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」で紹介していますので、興味のある方は、参考にしてください。