「勇気づけ」で劣等感を克服!モチベーションをアップする声掛けとは

この記事では人が抱く劣等感と、その克服を手助けする「勇気づけ」について解説しています。アドラー心理学の「勇気づけ」を部下の指導に取り入れる具体例も紹介していますので、ぜひ今後の人材育成に役立ててください。

目次

人はなぜ「劣等感」を抱くのか?

劣等感とは、他人と比べて「自分は劣っている」と感じる感情です。身近な例として、学校の成績や収入などが挙げられます。では、人はなぜ劣等感を抱くのでしょうか。その原因について紐解いてみましょう。

劣等感を抱く原因は、その人自身の考え方や特性によることが多いようです。例えばネガティブ思考の人は、何かを始める前に最初から失敗することを考えたり、少しでも上手くいかない場合には、ひどく落ち込んだりする傾向があります。また、自分に自信がない人も、他人の目線が気になって積極的な行動が出来ず、そのような自分自身に嫌気がさして劣等感が強くなるようです。

では、どのようなきっかけで劣等感を抱くのでしょうか。きっかけは人によって異なり、ある人にとってはきっかけになり得ることでも、他の人にとってはそうではないケースがあります。

劣等感を抱くきっかけとなる主な理由のひとつが、理想の高さです。理想が高い人は現状に対して厳しく評価しがちで、自身の理想と現状がかけ離れている場合、自分に対する評価を下げてしまいます。また、理想が高い人は完璧主義であることが多く、自分がしてしまった失敗がたとえ些細なことだとしても、ダメな人間だと感じて劣等感が強くなるようです。

人より優位に立ちたいと思う気持ちも、劣等感を抱くきっかけになります。劣等感は他人と比べて「自分は劣っている」と感じる感情なので、自分の方が相手より優位に立っているかどうかによって劣等感が生まれる場合があるのです。他人のことを必要以上に気にして、自分が相手よりも劣位であると感じることで自信を失い、劣等感を抱くきっかけになります。

過去のトラウマが、劣等感を抱くきっかけになる人もいるようです。子どもの頃に親から出来の良い他の人と比べられたり、自分なりに頑張った受験で失敗したりといった経験がトラウマになることがあります。失敗した経験などを前向きに捉えることが出来ず、「頑張っても、またダメだろう」と、成功した人と自分を比べることで劣等感を抱くことがあるでしょう。

劣等感を抱くきっかけに共通することは「他人と自分の比較」にあり、自分自身の考え方が原因なのです。

劣等感の克服を手助けする「勇気づけ」とは

劣等感を抱くきっかけには、さまざまな原因があることが分かりました。劣等感を抱いている人は、出来れば克服したいと考えているのではないでしょうか。劣等感の克服を手助けする方法のひとつに、アドラー心理学の「勇気づけ」があります。

アドラー心理学は、精神科医アルフレッド・アドラーによって創始された心理学です。アドラー心理学は、対人関係の改善を始め、部下の指導や育成にも役立つとされています。ここでは、アドラー心理学の理論のひとつ「勇気づけ」について解説しましょう。

アドラー心理学における「勇気づけ」とは、「困難を克服する力を与えること」と定義づけされています。アドラー心理学において、人間は常に変化し成長し続けるものと考えられており、その変化や成長のためには困難を乗り越える必要があります。アドラー心理学では、人間が困難を乗り越えて変化や成長するために必要なエネルギーを「勇気」と名付け、困難を克服する力を与えることを「勇気づけ」と定義しているのです。

「勇気づけ」に似た言葉で「褒める」という言葉がありますが、このふたつの言葉は似ているようで明確に異なります。どちらも相手に対して与える行為ですが、「勇気づけ」は与えられる側(勇気づけされる側)の関心に基づいて、たとえ結果が失敗だったとしても与えるものです。対して「褒める」は、与える側(褒める側)の関心に基づいて、結果が成功である場合や期待通りの成果だった場合に与えます。つまり、「褒める」は成功という結果を評価しているのです。

では「勇気づけ」とは具体的にどのようなことなのか、「褒める」と比較しながら見ていきましょう。例えば、父親が子どものサッカーの試合を観て、子どもが放ったシュートについて言葉を掛けたとします。成功したシュートに対し「素晴らしいシュートだった!」と掛けた言葉は、成功したことに対する父親の関心に基づく発言で、成功と引き換えに与えられる「褒める」という行為です。

反対に失敗した場合に「あのシュートは、ミスキックだった。がっかりしたよ。」と結果に対して言葉を掛けるのではなく「シュートは外れたけど、角度とスピードは良かったね!」と、成功したかどうかに関わらず良かった点に着目して言葉を掛けたとしましょう。そのポジティブな言葉掛けこそが、失敗という経験を乗り越えて次に繋がる「勇気づけ」になります。失敗したとしても、行為やプロセス自体に対してポジティブな言葉を掛けることが大切なのです。

結果が失敗に終わったとしても、そのプロセスに対して「勇気づけ」が行われることで失敗を前向きに捉え、劣等感を抱くことなく良い方向へ進めるようになるのかもしれませんね。

部下の指導に「勇気づけ」を取り入れる具体例

アドラー心理学の「勇気づけ」は、実際に部下の指導を行う際に取り入れることが出来ます。大切なことは、単に結果だけを評価する「褒める」をしないことです。ここでは、部下の指導に「勇気づけ」を取り入れる具体的な活用例をご紹介しましょう。

まず、アドラー心理学では「仲間との繋がりや絆の感覚を高める」ことが必要とされています。そのための3つのポイントが、自分の居場所がある、存在を認められていると感じる「所属感」、部下の周囲や上司に対する「信頼感」、自分の仕事が誰かのためになっていると感じられる「貢献感」です。3つのポイントを押さえた声掛けを心がけましょう。

具体的には「〇〇さんに任せますので、よろしく」、「〇〇さんのおかげで助かりました」「この資料とても役立ちました」など、信頼感や貢献感を満たせるような上司からの言葉掛けです。誰かが自分のことを見てくれているという所属感を部下が抱けることが大切となります。

フィードバックを行うシーンにおいては、結果に対する評価ではなく「勇気づけ」を行うことが重要です。例えば何かのプロジェクトに関するフィードバックを行う際、成果に関わらず取り組む姿勢やプロセスについて肯定し、ポジティブな言葉を掛けます。目標達成にのみ着目するのではなく、目標達成に向けた日々の努力などに着目していることが分かると、部下からの信頼が厚くなるでしょう。

ポジティブな言葉を掛ける際は、テクニックではなく心からの言葉として伝えます。さらに「自分は出来ない」などと劣等感を抱いている場合には、部下の小さな成功体験に耳を傾けて引き出すことで、「出来るかもしれない」と前向きな方向に進むかもしれません。ポジティブな言葉で上司から「勇気づけ」をされることにより、部下が自ら行動するようになる効果もあるのです。

人は結果だけを褒められていると、褒められないことについて意欲を失っていきます。逆にプロセスに対して「勇気づけ」を行うことで部下が自発的に動き、上司をサポートする存在へと成長するのです。アドラー心理学の「勇気づけ」の活用は、会社での円滑な対人関係や部下との信頼関係を築くことに大いに役立つことでしょう。

まとめ

本記事では、劣等感の克服を手助けする、アドラー心理学の「勇気づけ」について解説しました。結果だけに着目せず、プロセスに着目することで、部下の才能や強み、弱みも見えてきます。両方を把握した上で勇気づけを行えば、より良い人材育成が可能になるでしょう。勇気づけを活用し、部下との厚い信頼関係を築いてください。

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この記事を書いた人

才能 プロファイラー/才能開発コンサルタント。
「クライアントを経済的・精神的に最も豊かにする才能開発」がモットー。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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