才能と強みの違いとは?才能が持つ4つの意味と才能発達の4段階で解説

この記事の結論:実は、才能という言葉の意味は、4つの意味で使い分けられています。強みは、才能の4つの意味の1つで、「この強みを使えば確実に成果を出せる」というレベルに達した、現場で発揮できる才能(能力)のことです。才能には4つの発達段階があり、それぞれの段階で、才能という言葉の意味が変わります。それぞれの意味を理解すれば、現時点の自分の才能レベルも判断でき、才能の見つけ方・磨き方もわかるようになります。

「才能と強みって、何が違うんですか?」

才能開発の現場でよく聞かれる質問の1つです。それぞれ違う意味だとはわかっていても、明確に違いを説明できる人は少ないものです。この記事では、「才能」という言葉が持つ4つの意味を才能心理学の視点で整理し、「強み」がそのどれにあたるのかを明らかにします。

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目次

才能の定義

まず、才能心理学での定義をお伝えします。

一般的には、「生まれ持った素質や能力のこと」だと思われています。

しかし才能心理学では次のように定義しています。

才能:心を突き動かす感情を行動に移し続けた結果、生み出される能力。

歴史上の偉人や現代の経営者、科学者、アーティスト、俳優、スポーツ選手など、才能を開花させた人を生い立ちから心理分析。4年かけて研究し、発見した共通点をもとに作った才能の定義です。

彼らは「出来事→感情→欲求→思考→行動→結果」というサイクルの積み重ねの結果、才能を開花させています。何かが起き、感情が動き、欲求が生まれ、それに沿って考え、行動する。その結果がまた次の出来事を呼び込み、サイクルが繰り返されるほど、能力は磨かれていきます。

例えば、友人の相談に乗ったら喜ばれた(出来事)→役に立てたことが嬉しかった(感情)→もっと人の力になりたいと思った(欲求)→どうすれば力になれるか考えた(思考)→人の話をよく聞き、解決策を考えた。わからないことは本を読んだ(行動)→それを伝えると、また感謝された(結果)。この結果がまた次の「相談に乗る」出来事を呼び込み、サイクルが繰り返されるほど、傾聴能力や問題解決能力は磨かれていきます。

ただ、日常で「才能」という言葉が使われる場面を見ると、この定義そのままではなく、才能の発達段階に応じて4つの異なる意味で使い分けられています。1つずつ見ていきましょう。

「才能」という言葉が持つ4つの意味

1つ目 可能性という意味

少年野球の監督が「あの子にはバッティングの才能がある」と言うとき、まだ確実にヒットを打てるわけではないけれど、練習を積めばそうなれる可能性を感じている、という意味で使われます。

才能を開花させた人は、全員この少年と同じ段階からスタートしています。才能とは「心を突き動かす感情を行動に移し続けた結果、生み出される能力」だからです。この少年の場合、野球に心が突き動かされています。「野球が好き」「もっと上手くなりたい」という感情を行動(練習)に移し続ければ、能力が開花する可能性がある、ということです。

ただし、この段階はあくまで可能性です。開花するかどうかは、行動を続けられるかどうかにかかっています。

2つ目 一般的な基準よりも上回っている能力という意味

作ったウェブサイトのサンプルを見た上司から「才能あるね」と言われるようなケースがこれにあたります。多くの人が難しいと感じたり、苦手意識を持つことを、苦もなく自然にできてしまう状態です。

このウェブデザイナーも、出発点は先ほどの少年と同じです。何かのきっかけで「作る」ということに心が動き、その感情に沿って行動(制作)を続けてきたからこそ、周りより高いレベルに能力が育ちました。本人は「これくらい誰でもできる」と思っていても、その裏には積み重ねてきた行動の量があります。ただ、この水準はまだ「誰にも真似できないレベル」には届いていないため、大きな評価や報酬につながるとは限りません。

3つ目 強みという意味

「私の武器は提案力です。私に提案させてもらえれば、2人に1人は契約してくれます」
「私の武器はプログラミングです。今の業務を1/10の時間でできるプログラムを作ります」
現場で「この強みを使えば確実に成果を出せる」というレベルに達した才能(能力)のことです。

これは才能発達の4段階の3つ目に当たります。何かに心を動かされ、行動を続けた結果、現場で成果を保証できるレベルにまで育った状態です。世の中で「強み」と呼ばれているものの正体は、才能がここまで育った段階のことです。だからこそ、強みがはっきりすれば、それを材料に商談や転職活動、給料アップの交渉がしやすくなります。強みに達した才能があるのにお金に変えられないのは、自分の才能を「〇〇な成果を保証できる能力」として上手にプレゼンできていないケースがほとんどです。

4つ目 他の人には真似できないすごい能力という意味

大谷翔平選手のような二刀流の選手について「素晴らしい才能がある」と言うとき、この意味で使われています。あるレベルの成果を保証できる能力であり、なおかつ他の誰にも真似できないすごい成果を出せる、という水準です。

大谷選手も、出発点はこれまでの3つの段階と同じだったはずです。野球に心を突き動かされ、「もっと上手くなりたい」という感情を、来る日も来る日も行動に移し続けてきました。その積み重ねの量と年数が、誰にも追いつけない水準にまで達した結果が、この「すごい能力」です。

4つの意味を整理すると

強みの意味は、この4つの中の1つでしかありません。相手が「才能」という言葉をどの意味で使っているのかを意識するだけで、相手の真意を理解しやすくなります。

整理すると、才能は次の「才能発達の4段階」を経て開花します。

段階才能の意味状態具体例
レベル1可能性まだ開花前「あの子にはバッティングの才能がある」
レベル2平均より上回っている苦もなくできる「このサンプル、才能あるね」
レベル3強み成果を保証できる「私に提案させてもらえれば、2人に1人は契約してくれます」
レベル4誰にも真似できない誰も追いつけない大谷翔平選手のような水準

つまり、才能という1つの言葉が、可能性→平均以上→強み→誰にも真似できないレベルという、才能発達の4段階で使い分けられているのです。

才能開発の基本戦略は、これに沿った次の3ステップになります。

  1. 可能性・平均以上の段階にある才能を見つける
  2. その才能に現場で使えるスキルを掛け算し、強みの段階まで育てる
  3. 長期的な視点で、その強みを誰にも真似できない段階まで伸ばしていく

今、自分が才能発達の4段階のどこにいるかを把握することが、才能を開花させる出発点になります。

なぜ多くの人が、強み以上の段階を「才能」だと思ってしまうのか

理由はシンプルです。目に見えて、成果でわかりやすいのが強み以上の段階だからです。可能性や平均以上の段階は、まだアピールできるほどの成果として表に出ていないため、見過ごされがちです。

けれど、強みの中には、本当は好きではないのに、必要に迫られて努力で身につけたものが混じっている場合もあります。それを才能だと思い込んで仕事の中心に据えると、続けるほどに消耗していきます。まわりからは「向いてるね」と言われるのに、自分ではなぜか苦しい。感情とつながっていない「強み」や「できること」を、才能が育った段階だと勘違いしているからです。才能心理学では、この種の「強み」や「できること」の裏にある感情を「ノイズ感情」と呼びます。

逆のパターンもあります。あなたにとって当たり前すぎて「こんなの、みんなできるでしょう」と見過ごしていることの中に、可能性や平均以上の段階の才能が隠れていることもあります。当たり前にできるから、価値だと気づかない。他人が羨んでいるのに、本人だけがそれを才能だと思っていない。この場合、自分をどう定義するかという内側の感覚「セルフイメージ」の低さが原因です。

だからこそ、才能を見つける正しい着眼点は「今、成果を出せるかどうか」だけではありません。「何に感情が動くか」が大切です。できることの棚卸しをどれだけ続けても、感情とつながっていなければ、平均以上の才能にはたどり着きにくいからです。

才能とスキルの関係

スキルについても触れておきましょう。

一般的に、スキルと言われるのは、デザインスキルやプログラミングスキルなど、特定の分野の実務スキルのことです。

経営学者ロバート・カッツは、仕事に必要なスキルを「テクニカルスキル」(専門知識・技術)「ヒューマンスキル」(対人関係の技術)「コンセプチュアルスキル」(物事を概念化し本質をつかむ力)の3つに分類しました。

才能発達の4段階で言えば、スキルを習得している人は、レベル2(平均以上)からレベル3(強み)段階の人です。

これらのスキルは、訓練すれば誰でも一定のレベルまでは習得できると言われています。しかし、実際には同じ研修を受けても、さらに伸び続ける人と、途中で止まる人に分かれます。その差が、才能発達の4段階でいう、レベル2(平均以上)からレベル3(強み)へ進めるかどうかの分かれ目です。

スキルが本人の感情の源泉とつながっている場合、その人は自然とそのスキルを伸ばす努力をします。つながっていないスキルは、訓練で身についても、努力をやめた瞬間に伸びが止まります。どのスキルであれ、感情が動いていなければ、本当の意味で習得し、使いこなし続けるのは難しいのです。

無闇に、スキルや強みだけを足し算しても、自信や成果につながらないのはそのためです。感情という源泉に立ち返ることが、遠回りに見えて一番の近道になります。

まとめ

才能という1つの言葉は、可能性・平均以上・強み・誰にも真似できないという、才能発達の4段階に使い分けられています。強みは、その中でも「成果を保証できる」段階まで育った才能のことです。才能は感情から生まれ、行動を積み重ねるほど、この4段階に沿って開花していきます。

自分の強みが伸び悩んでいると感じるとき、あるいは「得意なはずなのに、なぜか苦しい」と感じるときは、スキルを足す前に、感情という源泉に立ち返り、「何に感情が動くか」を確かめてみてください。才能は特別な人だけのものではなく、感情を行動に移し続けた結果として、開花する能力。あなたの中にも必ずあります。

言葉の整理から、自分の才能を知る段階へ

言葉の違いが理解できても、「何に感情が動くか」を言葉にするのは、一人では難しいものです。才能の具体的な探し方は、才能の見つけ方完全ガイドで詳しく解説しています。

まずは、自分の感情の動きを客観的に知ること。その入り口として、才能心理学協会の無料動画セミナーをご活用ください。才能の見つけ方と、それを仕事に活かす考え方を、動画とメール講座でお届けしています。


よくある質問

才能と強みは、結局同じものですか、違うものですか?

根っこは同じですが、育った段階が違います。強みは、才能が「成果を保証できる」段階まで育ったときの呼び名です。同じ言葉でも、段階が違うと考えると整理しやすくなります。

才能と強みは、どちらを先に伸ばすべきですか?

強みは才能の3段階目に当たります。強みを磨けば、才能として開花します。まずは強みを伸ばしましょう。強みが明確でない場合は、まず才能の1段階目「何に感情が動くか」を確かめ、可能性や平均以上の段階を見つけてから、強みの段階まで育てるのが自然です。

診断ツールで出た「強み」がしっくりきません。なぜですか?

多くの診断は、結果としての強みをカテゴリに分類したものです。しっくりこないときは、その強みの源泉にある「感情の動き」まで立ち返ると、腑に落ちることがあります。分類名より、あなたの実感のほうが正確です。

才能心理学は、ストレングスファインダーと何が違いますか?

ストレングスファインダーは、あらかじめ用意されたカテゴリに強みを当てはめる方法です。才能心理学は、対話を通じて一人ひとりの感情の動きを分析し、個別の「なぜ」まで掘り下げて、才能を特定する技術です。目的とアプローチが違います。

スキルと才能は違うものですか?

違います。スキルは訓練で習得できる技術(テクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルなど)で、才能は「心を突き動かす感情を行動に移し続けた結果、生み出される能力」です。同じスキルでも、才能とつながっていれば伸び続け、つながっていなければ止まります。

才能はどうやって見つければいいですか?

あなたの心を突き動かす感情を見つけるのが、第一歩です。具体的な探し方は才能の見つけ方完全ガイドで詳しく解説しています。

才能は誰にでもあるのですか?

あります。才能は特別な人だけのものではなく、感情を行動に移し続けた結果として、誰の中にも生まれます。まだ自覚がない、言語化できていないから、自分の才能に気づいていない、というケースがほとんどです。

「好きなこと」と「才能」は同じですか?

同じではありません。好きなことは感情が動く対象のサインであり、才能を見つける入り口になります。ただし、好きなことがそのまま能力として開花するには、行動を続けるという過程が必要です。

才能を見つけたのに、うまく発揮できません。なぜですか?

才能を見つけることと、それを発揮することは別の課題です。大抵の場合、才能を発揮するには前提となる条件が必要です。例えば、「チームで取り組む」ときに才能を発揮できる人もいれば、「一人で集中」しているときに、才能を発揮しやすい人もいます。才能を発揮する条件を知ることが重要です。

「才能がある」と言われても、いまいちピンときません。なぜですか?

「才能」という言葉には、才能発達の4段階(可能性・平均以上・強み・誰にも真似できないレベル)があり、相手がどの段階で使っているかによって意味合いが変わるためです。少年野球のコーチが言う「君には才能がある」(可能性)と、大谷翔平選手について言う「才能がある」(誰にも真似できないレベル)はまったく意味が違います。文脈で見極める必要があります。



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この記事を書いた人

北端 康良のアバター 北端 康良 代表理事

才能プロファイラー/才能開発コンサルタント。
6000件のコンサルティング事例と15年間の研究をもとに才能心理学を体系化。3つの質問で才能診断を行う才能プロファイリングを開発。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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