こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者の澤田浩一です。
才能心理学では才能を「あなたの心を最も突き動かす感情を行動に移した結果、生まれてくる能力」と定義しています。
例えばココ・シャネルは、幼いころ母親が亡くなり孤児院に入れられ不自由な環境に置かれたことから、自由になりたいと希求し、それがファッションの形で才能が発揮されました。
経営者の中にも、子供のころに何かのきっかけで社長になりたい、と思った人が事業家としての能力を身につけて社長になった、という人もいます。
特に経営者の二代目、三代目は多くの人が「お前は将来、社長として後を継ぐのだよ。」と言われるもの。
なので、社長になることに何の違和感もなく収まる人もいます。
ですが、「社長」や「事業家」というのは、社会の中でのひとつのポジション、役割でしかありません。
社長という役割を通して、何をしたいのかがわかっていないと思わぬ問題が生じることがあります。
「社長になる」という強い思いは、事業への推進力になり、業績も伸びます。
ですが目的が「社長になる」ことなので、事業を伸ばすことだけに集中し、反面、働いている社員との間に不協和音が生じたり、夫婦や親子関係に問題が生じたり、また健康を害してしまうなどの話をよく聞くのです。
例えていうなら、子どもが親元を離れ自立するときのようなものです。
子どものころは親や学校など周りの環境に依存していますが、成長して親から自立する段階では、自分がしっかりしなければと頑張ります。
その分、能力を身につけ、一人でやっていく自信もつくのですが、そのことだけに捉われすぎると、自分で100%完璧にしなければいけないと思うもの。
そういう思いが強すぎると、何か問題が生じると自分だけで問題を解決しようとして、それがうまくいかなければ、
「自分のせいで問題が生じた」
「自分のせいでうまくいかなかった」
「もっと自分ががんばらなければ」
などと思い、悪循環に陥ったり燃え尽きてしまったりすることがあります。
この場合、「社長になること」が自立すること、そして周りを見ずに100%完璧に自分だけで問題を解決しようとして、反っていろいろと問題を抱えることが、社員や家族との間や自身の健康などに起こる問題です。
例えばソフトバンクの孫正義さん。
彼は、中学生のときに父親が吐血して入院し、1歳年上の兄が高校を中退して働かなければいけないような家族の危機に陥ったとき、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読み、這い上がるために事業家になろうと決心し、アメリカに渡りました。
そして帰国後、日本ソフトバンクを立ち上げるのですが、そのときのビジョンは
「売上高は5年で100億円、10年で500億」
「いずれは豆腐のように一兆、二兆と数えるようにする」
でした。
そして1年後には年商は30億円を超えるほどに成長させますが、そんな矢先に大病になり、死ぬかもしれないと宣告されます。 そして創業当時からの仲間たちも去っていきます。
そのときに思ったのは金も、地位も、名誉もちっぽけなものに思えてきたこと。
そして彼は「人に喜んでもらえる仕事がしたい」と志も新たに事業を展開していきました。
人は成長するに従い、「自立」から「相互依存」のステージに向かいます。
自分自身ですべてを100%こなそうとするのではなく、周りの家族や社員との関係を大切にしながら、共に歩めるビジョンを描くことで、事業も成長します。
そのときに大切なのは自分の心を豊かにすることで自分自身が幸せを感じること。
それが人間関係を良くし、良い人間関係が仕事を成功させていきます。
最初に述べましたが、「社長になる」は役割を述べているにすぎません。
社長という役割を通して、みなさんはどのように心を豊かにし、より良い人間関係を築いていきますか?
そのことを考えた時に、「社長になる」という思いの裏にほんとうに自分が望んでいることが見えてきます。
ちなみに2010年に作られた創業30年のソフトバンクの新しい理念は
「情報革命で人々を幸せにしたい」
でした。
それは孫さんがいつも聞かされていたおばあさんの言葉、「人様のおかげじゃけん」からきている孫さんの思いです。
みなさんの場合、これから心豊かな人生を送るために思い出すことは何でしょうか?
そこから本当にやりたいこと、コア・コンセプトを見出いだし、事業に活かしてみてはいかがでしょうか。