こんにちは、才能心理学協会・認定講師の澤田浩一です。
前回、経営理念は社長自身の才能を言葉に表したもの、ということを述べました。
例えば、パナソニックの経営理念は、
「私たちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」
この経営理念は、昭和4年に創業者の松下幸之助が制定したものです。
彼は裕福な家庭に生まれましたが、父親が米相場で失敗したため家が貧乏となり、丁稚奉公に出されます。
貧困を撲滅したいという思いから、低価格の良質な家電製品で暮らしを豊かにすることに生涯を捧げました。
1932年に行われた第一回創業記念式では、
「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。」と明確に述べ、その方針に併せて経営を行いました。
(参考:パナソニックHP 松下幸之助の生涯 50. 第1回創業記念式を挙行 1932年(昭和7年))
彼の「貧乏を克服したい」という思いは、「社会生活の改善と向上」という言葉に含まれています。そしてその思いはパナソニックを世界に名だたる大企業に育てました。
今でもパナソニックは創業者の経営理念を大切に守っています。
また世界規模でコーヒーのチェーン店を展開しているスターバックス。
スターバックスのミッション(経営理念に相当)は
「人々の心を豊かで活力あるものにするために-
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてコミュニティから」
です。
スターバックスの創業者・ハワード・シュルツも貧しい労働者階級用に建設された共同住宅で、充実感を持てない仕事に就いていた父の姿を見て、育ちました。
とりわけ彼の記憶に残っているのは、父がおむつ配送の仕事をしていたときに、仕事で足を怪我したときの光景です。
お父さん自身はその仕事を嫌っており、生活のために働いていたにも関わらず、足を怪我したその日に首になり、健康保険もなく、1カ月以上、足にギブスをはめたまま家に引き籠っていました。
彼はそのときの経験から、お父さんのような人でも落ち着くことができる、心が豊かで活力が起こる場所を作りたいと思いました。
それがシアトルの片隅から発展した企業・スターバックスです。
彼の思いは、スターバックスのミッションに反映されています。
経営理念は、社会のニーズに企業としてどのように応えるのか、を表したものであると同時に、トップがしたいことの反映だということがわかると思います。
そしてその欲求から生まれてきた能力が、経営者としてのその人の才能ではないでしょうか。