才能開花の研究からわかった「才能を線で見つける6つの方法」をご紹介します。
1)子供時代にあったもの、なかったものを思い出す
あったものは好きだったこと、嬉しかったこと、楽しかったこと、感動したこと、熱中したことなど、ポジティブなこと。 なかったものは、悔しかったこと、嫌だったこと、悲しかったこと、寂しかったこと、怒りを感じたことなど、ネガティブなことです。 クリスチャン・ディオールは裕福な美に触れる機会があり、シャネルには頼れる親や自由がありませんでした。
才能は「才能=感情×行動×能力」この3つ掛け算です。そう考えると、「子供時代、好きだったことを思い出す」は感情レベルの才能の見つけ方、「昔、熱中したことを探す」は感情と行動レベルの才能の見つけ方だということがわかります。
ずっと昔から抱いている感情は強く、深い感情。才能開花の爆発力を秘めています。クリスチャン・ディオールはずっと好きだったからこそ親に反対されても続け、才能を磨き続けました。シャネルはずっと自由が欲しかったからこそ、あれほどこだわって作り続けました。
1つわかりやすい事例を紹介しましょう。
あるビジネスパーソンは学生時代バスケットに熱中していました。バスケットの楽しみは戦略思考とスピード感。「勝つ方法を考え、スピーディーに実行する」それが彼の好きなことであり、強みでした。彼は今IT企業でバリバリ働いていますが、以前勤めていたのは典型的な日本企業。当時は企画書を提出しても稟議書を回し、決定するまでに時間がかかる。その遅さに耐えられなかったと言っています。
今のIT企業は以前に比べると忙しく、求められるスキルも結果もハードルが高い。周りからは激務で忙殺されているようにしか見えません。しかし彼は戦略思考とスピード感を活かせる今の仕事の方が、何倍もやりがいがあるといいます。
「なかなか昔のことを思い出せない」という人もいるかもしれませんが、隠れた才能を開花させたいなら、時間をかけて見つけましょう。
2)気になることをチェックする
昔の感情を思い出すのは難しくても、今の感情をチェックするのは簡単です。電車の中で自然に目につくつり革広告や見出し。街を歩いていて気になるお店や人。そういったモノや人があなたの隠れた才能を教えてくれます。
大手企業でマニュアル作成をしているビジネスパーソンがいます。彼は1時間街を歩き、気になることをメモしました。彼が手帳に書いたのはすべて標識やサインばかりでした。彼が気になるのは標識やサイン。そして仕事はマニュアル作成。この3つに共通するものといえば何でしょうか?
標識やサインは目的地に導くための正しい方向を示すもの。そしてマニュアルとは、正しい結果に導くための手順を示すものです。彼は「正しい場所に導きたい人」。マニュアル作成という仕事を通じて、「正しい場所に導く能力」を無意識的に磨いていたのです。
マニュアル作成能力だけではなく、コミュニケーション能力、人間関係力、リーダーシップ能力を身につければ、彼が才能を発揮できる範囲は格段に広がります。
3)手帳をチェックする
もう1つ、今の感情から才能を見つける方法があります。それは手帳をチェックすることです。手帳を開いて、ここ数ヶ月の予定を見てください。予定を「これは楽しかった!」「これは退屈だった」など、感情別に分類すれば、あなたの才能が見えてきます。
あるビジネスパーソンがこの方法で予定を分類するとクライアントと打ち合わせをしている時が最もテンションが上がることに気づきました。その中でも特に、商品企画や販売戦略のアイデアを出し合い、考えている時が一番楽しい時間でした。彼の仕事は営業。この才能を活かせば提案営業のスキルを伸ばし、クライアントに喜ばれながら売り上げも伸びる営業マンになれる可能性が高いでしょう。
4)他人に聞いてみる
他人に聞くのは、簡単に自分の才能を見つける方法です。自分を客観的に見るのは難しいですが、他人のことは良く見えるもの。他人はあなたの無意識の行動や、使っている才能をよくわかっているものです。
他人に聞いてみるもう1つのメリットは「これはできて当たり前」とあなたは思っていても、実際には、できない人がたくさんいると気づけることです。
出産を気にうつになった女性がいました。1年間、ずっと家に引きこもっていたのですが、その間、彼女は海外ドラマをつけっぱなしにしていました。すると英語が話せるようになったのです。
それを知った友人から「英語を教えて欲しい」と言われたのですが、「こんなこと誰でもできるよ」と思い取り合いませんでした。しかし、「教えて欲しい」とリクエストがたくさん来たので英語を教え始めると大人気に。今では本も出版。英語トレーナーとして活躍しています。
才能とは、あなたにとって常識でも、他人にとっては非常識なこと。それに気づけば才能を活かすチャンスを手に入れることができます。
5)過去の実績を棚卸しする
過去に出した実績はあなたに能力がある証拠。能力レベルの才能を見つけるには、この方法が一番速く、確実です。
まず過去の実績を紙に書き出しましょう。テストで1番だった、描いた絵が入賞した、スポーツで優勝した、自分がマネージャーになってからチームが勝ち出した、文化祭で過去最高の参加者を動員した、仕事で表彰されたなど、どんなものでもOKです。
次になぜ、そんな実績を出せたのかを考えましょう。その答えがあなたの能力レベルの才能です。
経営コンサルタントとして活躍している人がいます。彼はサラリーマン時代から、「あいつがいれば部署がまとまる」と言われていた人です。結果、部署が一丸となり目標達成を目指すので部署の売り上げも上位に。今は、その経験を元に社長と社員のつなぎ役として企業に入り、経営コンサルティングをしています。
同じ売り上げをあげるにも彼のようにチームワークで達成する人もいれば、コピーライティングが得意な人、売れる仕組みづくりが得意な人、人に直接会って営業をするのが得意な人もいます。実績で見れば結果は同じでも、使っている才能が同じだとは限りません。
「なぜ、そんな実績を出せたのか?」を考えれば、能力レベルの才能が見えてきます。
実績を書けない場合は、あなたの才能は感情レベルか行動レベル。現時点では、まだ実績につながる能力レベルにまで達していないということです。今から才能の磨き方を学び、才能を伸ばしてくれるメンターを見つければ、才能を能力レベルに引き上げ、開花させることができます。
新しいことをはじめてみる
才能開花した人に共通するのはある出会いをきっかけに才能が開花したことです。
クリスチャン・ディオールはたまたま裕福な家に生まれ、ココ・シャネルは修道院に預けられ、そこで裁縫の仕事をさせられました。イチロー選手は野球に出会い、三浦知良選手はサッカーに出会いました。本田宗一郎は車に出会い技術者を目指し、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツもパソコンに出会い、IT起業家になろうと決めました。
才能開花した人には、そのきっかけとなった感情を突き動かされる出会いがあります。私はこの出会いをディープ・インパクトと呼んでいます。
しかし、ディープ・インパクトはいつ、どこで起きるかわかりません。まったくの偶然だからです。この偶然の出会いの確率をあげる方法はたった1つ。それは新しいことを始めることです。
ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した二山治雄さん。彼は 4人兄弟の末っ子で、上はすべて姉でした。「3人のお姉ちゃんを守れる男らしい子にしたい」と思った父親は息子に空手を習わせることにしました。
ところが空手教室に見学にいく途中、二山さんは偶然あったバレエ教室で足を止め、「これを習いたい!」と父親に訴え、バレエを習うことができたのです。彼の才能開花も偶然の出会いから始まっています。
空手に興味はなくても、行った先でバレエに出会うこともある。その新たな出会いが、あなたの未知なる才能を開花させます。それはまだ誰も気づいていないあなたの中に眠る才能です。今の生活がルーチン化し、感情が動くような出会いがないなら、新しいことを始めましょう。
今のレベルから才能を伸ばせばいい!
6つの方法を試せば、どんな才能があるのか見えてきます。現時点で、自分の才能が感情レベルの場合もあれば、行動レベル、能力レベルの場合もあるでしょう。
一般的に「あの人には才能がある」と言われるときは、能力レベルが他の人よりすぐれている人のことを言います。しかし彼らもはじめからすぐれた能力があったわけではなく、すべてのレベルを時間をかけて大切に育ててきたのです。
才能を開花させた人は、感情・行動・能力の3つのレベルがすべて高い人のこと。
あなたが今どのレベルにいても、そこから3つを線につなげれば、才能を伸ばし開花させることができます。
才能を見つければあなたの人生は感情的にも、経済的にも豊かになります。
楽しいけれど今はお金になっていない場合は、能力レベルを高めることで。収入はあるけれどやりがいがない場合は、感情レベルを高めることで、才能も開花し人生も豊かになるからです。
才能を感情レベル、行動レベル、能力レベルで見ていば、必ずあなたの才能が見つかります。そして感情という才能の種に、行動という肥料をやり、能力という果実を育てる。現在地を把握して才能を伸ばしていけば、必ず才能は開花するからです。
その才能を仕事で使っても、プライベートで使っても構いません。大切なのはあなたの人生を豊かにすること。才能を見つけ、活かすことは豊かな人生への一番の近道です。
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