モチベーションが続かない4つの原因|心理学でわかる“やる気の仕組み”と改善ステップ

モチベーションが続かない3つの原因と、心理学的に正しい高め方

「やる気が出ない」「続かない」「頑張っているのに報われない」──
これは、多くのビジネスパーソンが抱える共通の悩みです。

しかし、この悩みは、意志や根性の問題ではありません。モチベーションには“構造”があり、それを理解すれば再現可能になるからです。

私自身、6000人以上の才能開発の現場で多くの相談を受けてきましたが、モチベーションが続かない人には、4つの共通パターンがあります。

  1. 発見(Find):自分が何に内発的に動かされるかを知る
  2. 活用(Apply):モチベーションを仕事や環境に結びつける
  3. 維持(Sustain):モチベーションを長期的に保ち続ける
  4. 再発見(Re-Find):達成後に次の目標を再定義する

つまり、多くの人は「やる気がない」のではなく、モチベーションを生み出す構造を理解していないのです。

この記事では、この4パターンに対応する「モチベーションが続かない4つの原因」を明らかにし、それぞれを解決し、モチベーションを高め、維持するためのする実践ステップと心理学的アプローチを紹介します。

そのベースとなる心理学理論は「モチベーションとは何か?心理学で解き明かす“やる気”の仕組みと6つの理論」で紹介しています。あわせて読むことで、あなた自身のモチベーションを設計し、再現するための地図となるはずです。

目次

モチベーションが続かない4つの原因(心理学で解説)

「やる気が続かない」のは、“努力不足”ではなく“仕組みの問題”です。モチベーションが失速するのは、次のモチベーション構造のどこかの段階でつまずいているからです。

原因欠けている段階典型的な状態対応する理論
① モチベーションの源泉が見えていない発見(Find)何にワクワクするかわからないフロー理論・自己概念理論
② 仕事・環境に活かせていない活用(Apply)やりたいけど、現実が追いつかないジョブ・クラフティング理論
③ 継続の仕組みがない維持(Sustain)一度燃えるが、すぐ冷める自己決定理論(SDT)
④ 達成後にモチベーションが消える再発見(Re-Find)目標を達成した後、次の方向が見えない才能心理学

4つの原因のうち、今のあなたは、どの段階でしょうか?

次の章からは、それぞれの原因を順に取り上げ、「再現性のあるモチベーション設計」の方法を解説していきます。

① モチベーションの源泉が見えていない【発見:Find】

理論対応:フロー理論・自己概念理論

モチベーションの源泉が見えないと、努力はしても方向性のない頑張りになります。そこで次の2つの要素を探りましょう。

1つは心から湧き出るエネルギー(内発的モチベーション)が発揮されている瞬間、つまりあなたが「自然に没頭できる瞬間」。もう1つが、あなたの行動を支える「意義やありたい姿」です。

フロー理論・自己概念理論を活用すれば、この2つの両輪を特定することができます。

狙い: 自己理解を行動トリガーに変える。モチベーションの源泉がどこにあるかを特定し、「方向性のない頑張り」を解消する。

✅ ステップ1:時間を忘れて没頭した瞬間を3つ書き出す

どんな仕事・活動・会話で「集中していたか」「楽しかったか」を思い出す。

例:

  • 失敗事例を分析し、二度と同じ問題が起こらないための運用プロセスをゼロから設計している時
  • 難しい交渉で、相手の意見を引き出し、双方にとって納得のいく解決策を見つけられた会話
  • 個人的な趣味のウェブサイト制作で、深夜まで夢中になり、新しいデザインパターンを見つけた時

✅ ステップ2:理想の自分(ありたい自己像)を言語化する

「どんな自分でありたいか?」(行動の根本的な意義)という自己概念を言葉にする。
例:「挑戦し続ける人」「信頼されるリーダー」「支援する専門家」など。

✅ ステップ3:その2つの重なりから“モチベーションの源泉”を特定する

没頭(純粋な楽しさ)と理想(行動の意義)が重なる領域こそ、内発的モチベーションの源泉です。

💡事例:

Aさんは「新しい仕組みを考える瞬間」に没頭し、「挑戦し続ける自分でありたい」と気づきました。
それ以降、Aさんは新しい仕組みやアイデアを提案。実現に必要な業務も担当し始めると、やる気が自然に湧くようになりました。

発見(Find)ワークシート:モチベーションの源泉を特定

ステップ質問と記入欄
Step 1【没頭体験の書き出し】
時間を忘れて没頭した瞬間(純粋な楽しさを感じた出来事)を3つ、具体的に書き出してください。
没頭体験 1: __________________________
没頭体験 2: __________________________
没頭体験 3: __________________________
Step 2【理想の自己像の言語化】
上記3つの体験に共通する価値観を踏まえ、「どんな自分でありたいか」という理想の自己像(行動の根本的な意義)を一言で言語化してください。
理想の自分(ありたい姿): __________________________
Step 3【源泉の特定】
没頭(楽しさ)と理想(意義)が重なるあなたのモチベーションの源泉を具体的に定義してください。
私のモチベーションの源泉: __________________________

ポイント

  • 報酬や義務といった外発的モチベーションに頼るのではなく、心から湧き出る内発的モチベーションを再発見する
  • 「楽しさ」(没頭)と「意義」(理想の自己像への貢献)が重なる領域を見つける

ステップ1から3に取り組めば、モチベーションの源泉を見つけることができます。

②モチベーションが仕事に活かせていない ― 活用Applyの実践

理論対応:ジョブ・クラフティング理論

ジョブ・クラフティング理論は、「仕事が自分に与える意味」を変えることで、モチベーションと幸福感を高める方法論です。環境(仕事内容)のせいにせず、今の仕事を能動的に「創り出すもの」に変えるアプローチです。

狙い: 「やりたいこと」と「現実の仕事」のギャップを埋め、やらされ感を「やりがい」に転換する。

✅ ステップ1:今の仕事を「やる気マップ」に分解する

あなたのエネルギーがどこで生まれているかを明確にするため、現在の仕事を以下の3つの要素に分解して書き出します。

  • タスク:具体的な作業内容(例:データ入力、会議、資料作成)
  • 人間関係:日常的に関わる人、相談する人、助ける人
  • 意味づけ:その仕事が誰のため、何のためにあるのか

✅ ステップ2:3つのクラフティング(工夫)を実行する

モチベーションの源泉(内発的動機)を満たすように、今の仕事を意図的に変えていきます。

クラフティングの種類焦点具体的な行動の例
タスク・クラフティング仕事のやり方や内容を変える報告書の作成順序を入れ替える、ルーティン作業に新しいツールを導入する。
リレーショナル・クラフティング関わる人や関わり方を変える尊敬する先輩には、こまめに相談し、フィードバックをもらう機会を設ける。苦手な先輩には、報告前に「相手が最も知りたい情報」をさりげなく聞き、結論ファーストで伝える練習をする。
コグニティブ・クラフティング仕事の捉え方(意味づけ)を変える「単なる電話番」を「顧客のニーズを聞き出すチャンス」と再定義する。

✅ ステップ3:「意味の再設計」を習慣化する

同じ業務でも、「これは誰の成長や価値に繋がるのか?」を常に意識する習慣をつけます。この小さなリフレーミング(捉え方を変える)の積み重ねが、「やりがい」につながります。

💡事例:報告書を“成長の証明”に変えた営業職

Bさんは報告書を「提出義務」(やらされ感)として捉えていました。しかし、コグニティブ・クラフティングにより、「報告書は提案力を高めるための客観的なフィードバックツール(成長の証明)」だと意味づけを再設計しました。その結果、報告の質が上がり、チーム全体の効率性や信頼度も向上しました。

活用(Apply)ワークシート:仕事に活かすクラフティング計画

ステップ質問と記入欄
Step 1【今の仕事の分解(やる気マップ)】
あなたのエネルギーがどこで生まれているかを明確にするため、現在の仕事を以下の3つの要素に分解し、特に工夫したい、あるいは課題と感じる部分を一つずつ書き出してください。
タスク(具体的な作業内容)の課題: __________________________
人間関係(関わる人)の課題: __________________________
意味づけ(何のためにあるか)の課題: __________________________
Step 2【3つのクラフティング実行計画】
源泉で特定した楽しさと意義を取り戻すため、上記3つの課題を克服する具体的な行動を計画してください。
1. タスク・クラフティング(仕事のやり方の工夫): __________________________
2. リレーショナル・クラフティング(人間関係への働きかけ): __________________________
3. コグニティブ・クラフティング(仕事の捉え方の変更): __________________________
Step 3【意味の再設計の習慣化】
同じ業務でも、「これは誰の成長や価値に繋がるのか?」を常に意識する習慣を、いつ、どの業務で実践しますか?
習慣化するタイミングと業務: __________________________

ポイント

  • モチベーションは「与えられるもの」ではなく「つくるもの」
  • 小さなリフレーミングの積み重ねが「やりがい」を再構築する

ステップ1から3に取り組むことで、仕事の見方が変わります。仕事の主導権を握れば、日々の仕事は自己成長とやりがいを感じる時間に変わるでしょう。

③ モチベーションが維持できない ― 維持Sustainの実践

理論対応:自己決定理論(SDT)

内発的モチベーションを特定し、仕事で活かす方法を見てきました。しかし、モチベーションとは続きにくいもの。一時的にやる気が高まっても続かないのは、心理的エネルギーの充電が途切れているからです。

そこでモチベーションを充電する仕組みが必要になります。

自己決定理論(SDT)では、モチベーションを維持するには3つの基本的心理欲求を満たす必要があるといいます。

欲求欠けると起こる現象満たされると得られる状態
自律性やらされ感・反発主体性・目的意識
有能感無力感・停滞感成長実感・達成感
関係性孤立・不信安心感・一体感

この3つの欲求を満たすことで、モチベーションの持続性を高めることができます。

狙い: モチベーションの質の高い再充電サイクルを構築する。心から湧き出る心理的エネルギーの欠乏を防ぎ、活動への意欲を持続させる。

✅ ステップ1:3つの心理欲求を点検する

「最近、仕事や活動において、どの欲求が満たされていないか?」を自己診断します。不満やストレスを感じている出来事と照らし合わせ、原因となっている欠乏要素を特定します。

✅ ステップ2:欠けている要素を補う「充電習慣」を作る

特定した最も欠けている欲求を補うため、具体的な行動習慣を作り、実践します。

欲求補うための習慣例(具体的行動)💡 事例(行動と効果)
自律性「自分で選べるタスク」を毎日1つ増やす(例:日々のタスクの中から、着手順序や進め方を自分で決める)。Cさんの例: 報告書のフォーマット変更を上司に相談し、自分でやりやすい形に改善した結果、報告書作成への主体性が向上した。
有能感小さな達成体験を毎週記録する(例:成果だけでなく、困難を乗り越えたプロセス新しい学びを記録する)。Dさんの例: 「今週は苦手な〇〇について新しいスキルを習得した」と記録することで、無力感が消え、次の挑戦への意欲につながった。
関係性感謝やポジティブな関わりを言葉で伝える(例:毎日、チームメンバーに意識的にポジティブなフィードバックを1回行う)。Eさんの例: 貢献を認め合う習慣ができた結果、孤立感がなくなり、チームへの安心感一体感(帰属意識)が高まった。

✅ ステップ3:“週次バッテリー”を可視化する

週末に、3つの項目(自律性、有能感、関係性)を10点満点で評価し、エネルギーレベルを見える化します。点数が低い項目があれば、翌週の「充電習慣」の重点目標とします。

維持(Sustain)ワークシート:モチベーションの充電サイクル構築

ステップ質問と記入欄
Step 1【3つの心理欲求の点検】
現在、最も満たされていないと感じるSDTの欲求はどれですか?(一つ選択)
□ 自律性(主体性) □ 有能感(成長) □ 関係性(つながり)
Step 2【欠けている要素の充電習慣の設定】
特定した欲求を補うための具体的な「充電習慣」を一つ設定してください。
設定する充電習慣: __________________________
Step 3【週次バッテリーの可視化】
今週末に、3項目を10点満点で評価し、来週の充電習慣の重点目標とするために、目標点数を設定してください。
自律性(目標点): ________ 点
有能感(目標点): ________ 点
関係性(目標点): ________ 点

ポイント

  • 継続とは「モチベーションの維持設計」であり、偶然に任せるものではない
  • エネルギーは「行動量」ではなく、3つの「心理的充足」によって再生する。

いつもモチベーションが高い人は、モチベーションが低下しないのではなく、心理的エネルギーの充電や維持の仕組みを持っているのです。

あなたもステップ1から3に取り組むことで、心理的なエネルギーが途切れる原因を把握し、一時的なやる気に頼る状態から脱却し、日々の仕事や活動からエネルギーを得られる持続可能な仕組みを手に入れることができます。

④ 達成後にやる気が消えてしまう ― 再発見:Re-Findの実践

理論対応:才能心理学

ハイパフォーマーや成功した人が燃え尽きるのは、目標達成によって、それまでの行動を支えていた「意味の構造」が一度完結してしまうためです。これがモチベーションが消えるメカニズムです。

例えば、「最年少役員になる」という目標達成により、それまでモチベーションの源だった承認欲求や地位への欲求が満たされると、心理的な空白(目標喪失感)が生じます。

この時によくある失敗は、「次は最年少で社長になる」など、過去の延長線上の目標を再設定することです。この目標設定で、モチベーションが湧かない、やりがいを感じないのであれば、「意味の構造」を根本的に再構築する必要があります。

モチベーションの「再発見(Re-Find)」は、この空白を埋め、動機の源を次の段階へ自覚的に転換するプロセスです。心理学的には、自己概念(Self-concept)やビジョン、ミッションを次の次元へと再構築する局面です。

✅ ステップ1:達成によって「満たされた欲求」と「満たされなかった欲求」を言語化する

狙い: 過去の動機の特定と、最大の内発的モチベーションを特定する

目標達成時に最も強く満たされた心理的欲求(例:承認されたい、お金が欲しい、競争に勝ちたい)と、満たされなかった心理的欲求(例:父親には承認されなかった、最高のチームを作れなかった、お金は稼いだが、やりがいは得られなかった)を言語化します。

満たされた欲求は、次の段階ではモチベーションの源として機能しなくなります。一方で、満たされなかった欲求は、次の段階では最大の内発的モチベーションになる可能性があります。

例:

満たされた欲求:「年収1億円達成」という目標で『有能感と承認欲求』が満たされた → 次の原動力は別の場所に見つけなければならない。

満たされなかった欲求:「年収1億円」は達成できたが、「最高のチームは作れなかった」のであれば、「一人で成功するのではなく、メンバーとともに成功したい」が次の原動力の可能性があります。

✅ ステップ2:コア・コンセプト(一番大切な価値観)を明確にする

狙い: 行動を長期的に支える「一番大切な価値観(コア・コンセプト)」を言語化し、モチベーションに左右されない羅針盤を設定する。

コア・コンセプトは、何を達成したいかではなく、なぜそれをするのかという問いへの答えです。コア・コンセプトを明確にすることで、単なる行動が深い意味を持つようになり、モチベーションを外的要因(報酬や評価)から切り離すことができます。

日々数字と売上に追われていたWebマーケターは過去の経験を振り返り、自身のコア・コンセプト(一番大切な価値観)を見つめ直しました。気付いたのは昔から、武士道、禅、茶、日本酒などの日本文化が好きだったことでした。

彼は、売れるから、今流行っているから売るのではなく、時の試練を潜り抜けた「本物の価値」を広めるためにマーケティング能力を活かしたい気づきました。

彼の最も大切にしたい価値観、すなわちコア・コンセプトは、「本物の価値を届けること」でした。

例:武士道、禅、茶、日本酒などの日本文化 → 「本物の価値」というコア・コンセプトに凝縮

✅ ステップ3:コア・コンセプトを中心に据えた目標設定をする

狙い: ステップ2で特定した「コア・コンセプト(一番大切な価値観)」を、現実の仕事や行動に結びつけ、具体的な目標へと落とし込む。これにより、目標達成がそのまま自己の価値観の実現につながるよう設計する。

特定したコア・コンセプトを「どう実現するか?」と問いかけ、具体的な目標を設定します。目標は、「売上を○%上げる」といった数値目標や指標だけではなく、あなたの価値観に沿った目標や行動にします。

コア・コンセプトを軸にすることで、目標達成が内発的モチベーションとなり、困難に直面してもブレない情熱の源となります。

例: 前述のWebマーケターは、自身のコア・コンセプトである「本物の価値を届けること」を実現するため、既存の業務とは別に、新規プロジェクトを立ち上げました。

彼は、自身のマーケティングスキルを活かせば「日本酒の魅力を世界に広げ、酒蔵や米農家を支援できる」と考えました。このプロジェクトは、「本物の価値を届ける」という彼のコア・コンセプトを「世界に広げる」ことに直結するため、モチベーションが一気に回復しました。

再発見(Re-Find)の実践について、さらに詳しい解説と具体例は、次の記事の「成功事例3:自ら起業した会社に行くのも億劫だった社長が、組織変革に成功、売上を1.5倍に」した話を参考にしてください。

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✅ 再発見(Re-Find)ワーク:成長の方向性を再定義

ステップ質問と記入欄
Step 1【満たされた/満たされなかった欲求の言語化】
A. 達成時に最も強く満たされた欲求は何でしたか? (例: 承認欲求、有能感、経済的安定)
B. 達成時に「最も満たされなかった」欲求は何でしたか? (この後の動機の源泉となり得ます)
満たされた欲求: __________________________
満たされなかった欲求: __________________________
Step 2【コア・コンセプト(一番大切な価値観)の明確化】
満たされた/満たされないに左右されない、**あなたの行動を根源的に支える「揺るがない価値観」**は何ですか? (例: 本物の価値、挑戦、共存、創造性)
コア・コンセプト: __________________________
Step 3【コア・コンセプトに基づいた目標の再定義】
ステップ2の「コア・コンセプト」を中心に据え、次にあなたが**「具体的に何を実現するか」**を行動ベースの新しい目標として設定してください。
新しい「問い」(目標)の定義: __________________________

ポイント

  • 達成は「終わり」ではなく「問いの更新」:成功は、動機を次の高次元なレベルへとアップデートする機会です。
  • Re-Findは、キャリアを長期的に燃焼させる心理的リセットプロセス:動機の源を、外発的な報酬や小さな内発的モチベーションから、より大きな内発的モチベーションや「コア・コンセプト」へと切り替えるための設計図です。

実践ワーク:4ステップで作るモチベーション設計シート

下記は、記事で解説した全プロセス(発見→活用→維持→再発見)を網羅したワークシートです。記入すれば、あなたのモチベーション設計図が完成します。理論を日常行動に落とし込み、「再現可能なモチベーションの仕組み」を手に入れましょう。

I. 発見(Find):モチベーションの源泉を特定

ステップ質問と記入欄
Step 1【没頭体験の書き出し】
時間を忘れて没頭した瞬間(純粋な楽しさを感じた出来事)を3つ、具体的に書き出してください。
没頭体験 1: __________________________
没頭体験 2: __________________________
没頭体験 3: __________________________
Step 2【理想の自己像の言語化】
上記3つの体験に共通する価値観を踏まえ、「どんな自分でありたいか」という理想の自己像(行動の根本的な意義)を一言で言語化してください。
理想の自分(ありたい姿): __________________________
Step 3【源泉の特定】
没頭(楽しさ)と理想(意義)が重なるあなたのモチベーションの源泉を具体的に定義してください。
私のモチベーションの源泉: __________________________

II. 活用(Apply):仕事に活かすクラフティング計画

ステップ質問と記入欄
Step 1【今の仕事の分解(やる気マップ)】
あなたのエネルギーがどこで生まれているかを明確にするため、現在の仕事を以下の3つの要素に分解し、特に工夫したい、あるいは課題と感じる部分を一つずつ書き出してください。
タスク(具体的な作業内容)の課題: __________________________
人間関係(関わる人)の課題: __________________________
意味づけ(何のためにあるか)の課題: __________________________
Step 2【3つのクラフティング実行計画】
源泉で特定した楽しさと意義を取り戻すため、上記3つの課題を克服する具体的な行動を計画してください。
1. タスク・クラフティング(仕事のやり方の工夫): __________________________
2. リレーショナル・クラフティング(人間関係への働きかけ): __________________________
3. コグニティブ・クラフティング(仕事の捉え方の変更): __________________________
Step 3【意味の再設計の習慣化】
同じ業務でも、「これは誰の成長や価値に繋がるのか?」を常に意識する習慣を、いつ、どの業務で実践しますか?
習慣化するタイミングと業務: __________________________

III. 維持(Sustain):モチベーションの充電サイクル構築

ステップ質問と記入欄
Step 1【3つの心理欲求の点検】
現在、最も満たされていないと感じるSDTの欲求はどれですか?(一つ選択)
□ 自律性(主体性) □ 有能感(成長) □ 関係性(つながり)
Step 2【欠けている要素の充電習慣の設定】
特定した欲求を補うための具体的な「充電習慣」を一つ設定してください。
設定する充電習慣: __________________________
Step 3【週次バッテリーの可視化】
今週末に、3項目を10点満点で評価し、来週の充電習慣の重点目標とするために、目標点数を設定してください。
自律性(目標点): ________ 点
有能感(目標点): ________ 点
関係性(目標点): ________ 点

IV. 再発見(Re-Find):成長の方向性を再定義

ステップ質問と記入欄
Step 1【満たされた/満たされなかった欲求の言語化】
A. 達成時に最も強く満たされた欲求は何でしたか? (例: 承認欲求、有能感、経済的安定)
B. 達成時に「最も満たされなかった」欲求は何でしたか? (この後の動機の源泉となり得ます)
満たされた欲求: __________________________
満たされなかった欲求: __________________________
Step 2【コア・コンセプト(一番大切な価値観)の明確化】
満たされた/満たされないに左右されない、**あなたの行動を根源的に支える「揺るがない価値観」**は何ですか? (例: 本物の価値、挑戦、共存、創造性)
コア・コンセプト: __________________________
Step 3【コア・コンセプトに基づいた目標の再定義】
ステップ2の「コア・コンセプト」を中心に据え、次にあなたが**「具体的に何を実現するか」**を行動ベースの新しい目標として設定してください。
新しい「問い」(目標)の定義: __________________________

まとめ:やる気を“再現できる人”へのロードマップ

モチベーションは、個人の根性論で解決できるものではありません。「発見活用維持再発見」という循環構造です。あなたが「やる気が続かない」と感じるのは、“意志の弱さ”ではなく、この循環構造のどこかに欠落があるからです。

フロー理論ジョブ・クラフティング自己決定理論(SDT)、才能心理学の原理を実践することで、あなたは心理構造を深く理解し、自ら設計する力を身につけられます。この設計力こそが、一時的ではない「再現性のあるやる気」を生み出す鍵となります。

明日からできる3つの行動ポイント

  • 自分の「やる気構造」を1日1回見直す:SDTの3つの欲求充足度(バッテリー残量)を確認し、欠損を補う行動を意識しましょう。
  • 達成後こそ「次の問い」を立てる:成功で満たされた欲求を確認し、新しい成長の方向性(Re-Find)を自覚的に設定しましょう。
  • モチベーションを“感情”ではなく“構造”でマネジメントする:感情に流されるのではなく、設計シートに基づき、論理的・計画的にエネルギーを管理しましょう。

本記事では、実践的な観点からモチベーションを扱いました。より深く理解したい方は、心理学の主要理論を整理した理論編を読むことで、「なぜこの方法でうまくいくのか」が明確に理解できるでしょう。

👉 モチベーションとは何か?心理学で解き明かす“やる気”の構造と3つの理論【理論編】

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この記事を書いた人

才能 プロファイラー/才能開発コンサルタント。
「クライアントを経済的・精神的に最も豊かにする才能開発」がモットー。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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