クリティカルシンキングとは。しっかり理解して正しく活用しよう

クリティカルシンキングとは。しっかり理解して正しく活用しよう

ビジネスには欠かせない思考法のひとつ、クリティカルシンキングを知っていますか?クリティカルシンキングとは、「健全な批判的思考」を指す言葉で検討内容の矛盾や漏れを排除したり、問題解決や意思決定の効果を高めたりするメリットがあります。そこで今回は、クリティカルシンキングの基本姿勢や重要性、ビジネスに役立てるための具体例などをお伝えします。

目次

クリティカルシンキングとは「批判的思考」の意味

クリティカルシンキングという言葉を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。たとえ聞いたことがない人でも、“シンキング”という言葉から“考え方”についての言葉だろうと察しはつくでしょう。注目すべきは、“クリティカル”という言葉。クリティカルは、“批判的”という意味の形容動詞です。つまり、クリティカルシンキング=「批判的思考」を意味します。

「批判的思考」と聞くと、“物事を批判的に考える”ネガティブなイメージに捉える人もいるかもしれません。しかし正しくは、物事に対し「本当に正しいのか?」という健全な批判的視点を持つことで、より正しい論理を導く思考法をクリティカルシンキングと言います。

健全な批判的視点で考えるとは、具体的にどのような考え方なのか具体例を挙げてみましょう。たとえば、「受注が減ってきている!売り上げ成績を上げるために、営業担当者の人員を増やすべきだ」という意見があったとします。受注が減っているから、売り手を増やす…一見、正しい論理にも思えます。しかし、この意見が適切かどうかを判断するためには、過去の成績と比べてどのくらい受注が減っているのか、売り上げをどのくらい上げたいのか、営業担当を増やしたことで必要となる人件費はどのくらいなのかなど、いくつもの検証が必要となります。

つまり、「受注が減ってきているから営業担当を増やす」という考え方に対し、「この考え方は本当に正しいのか?」「そもそも受注が減ってきた理由は何なのか?」「営業担当を増やすことのデメリットはないのか?」など、批判的かつ客観的な視点に立って検証することで正しい論理へと導く…この考え方がクリティカルシンキングなのです。

クリティカルシンキングの基本姿勢

一見ややこしいイメージのあるクリティカルシンキングですが、基本姿勢を把握することで実践できるようになります。物事を正しい論理へと導くための基本的な考え方を3つご紹介しましょう。

目的を明確に

クリティカルシンキングは、物事に対する考え方の“目的”をしっかりと把握しておく必要があります。なぜなら、“目的”の認識が間違っていたり、あいまいだったりすると、考え方に対して行う検証自体が意味をなさなくなってしまうからです。そのため、クリティカルシンキングには、目的や課題を明確にしておく姿勢が大切です。

「思考のクセ」を把握する

誰にでも先入観や固定観念などの「思考のクセ」があるものです。「思考のクセ」は決して悪いものではありませんが、それを把握せずに議論を進めるとバイアスがかかり、議論を正しい方向へ進めることが難しくなる場合があります。

そのため、議論に関わるすべての人に「思考のクセ」があることを認識することはもちろん、自身の「思考のクセ」を把握することもクリティカルシンキングの基本姿勢と言えるでしょう。自身の「思考のクセ」を把握するためには、自分の考え方に対して批判的思考を持つことも重要です。

問題への問いかけをやめない

議論に終わりはありません。正しいゴールを導き出せたとしても、時間はどんどん経過しているため、次の瞬間にはその議論が適切ではないものになっている可能性があるのです。そのため「なぜ、この結果にたどり着いたのか?本当に正しいのか?」など、常に問題への問いかけをやめない姿勢がクリティカルシンキングには大切です。また問題への問いかけを続けることで、新たな議論が生まれることもあるでしょう。

なぜクリティカルシンキングが重要なのか

なぜクリティカルシンキングが重要なのか

冒頭で、クリティカルシンキングはビジネスに欠かせないとお伝えしました。では、なぜクリティカルシンキングが重要視されるのでしょうか。その理由を2つお伝えします。

コミュニケーションに有用

以前の日本企業においては、人材の流動性が低いと言われていました。会社間や組織間での人の動きが少ない=組織内がほぼ同じ価値観を持った人間で構成されるため、積極的なコミュニケーションを取らずとも、議論が成立するというケースがあったようです。

しかし現代では、インターネットの普及により転職活動や他業種への参入などがしやすくなり、必然的に人材の流動性も激しくなっています。実際に、他の組織から来た人と一緒に仕事をしている人も多いのではないでしょうか。これらの人と議論を進める際に注意すべきは、物事に対する考え方や常識が異なる場合があるということ。自分にとっての当たり前が全く通用しないというケースも起こり得るでしょう。

このようなケースで役立つのがクリティカルシンキングです。相手の「思考のクセ」を把握する、自身の当たり前を疑う、議論そのものを客観的に捉えて考えることで、互いの思考をすり合わせ、健全に議論を進めることができるでしょう。

ビジネスチャンスの拡大

ビジネスにおいては、過去の成功体験が足を引っ張ることがよくあります。インターネットの普及やテクノロジーの進化などによって、ビジネス環境も劇的に変化しています。そのため、これまでの考え方や認識、価値観、単に前例に従ったやり方で仕事をすると、良かれと思ってやっているにも関わらず結果が出せなくなったり、競合に取り残されたりしてしまうでしょう。

このように変化の激しい現代のビジネス環境下において、クリティカルシンキングは有用です。健全な批判的思考、つまり「そもそもなぜ、そう考えるのか?」と前提を疑う意識や「どんな意味があるのか?」と物事に対して疑問を持つことで、より適切な選択や言動につなげることができ、ひいてはビジネスの拡大にもつながります。

たとえば、ボールペンの“消えない”という前提を疑って生まれた“消せるボールペン”、カラオケは“みんなで楽しむもの”という前提を疑って生まれた“ひとりカラオケ”など、前提を疑うことが成功につながった事例は数多くあります。

ビジネスに活用するための3ステップ

ビジネスに活用するための3ステップ

クリティカルシンキングをビジネスに活用するための3つのステップを具体的にお伝えします。

ステップ1:解決したい問題のゴールを意識する

クリティカルシンキングの第1ステップとして、以下の問いかけを通して頭の中を整理します。

・どのようなことをしたいのか?

・どのような状況でそれをするのか?

・それをすることに本当に意味はあるのか?

これらの事項を批判的かつ客観的に考えることで、検討内容の矛盾や漏れを排除し、解決したい問題のゴールが明確になります。

ステップ2:現状と目標の間にどれくらい差があるのかを理解する

次のステップでは、解決したい問題のゴール・目標に対して、現状はどうなのかを分析・調査します。

 ・何が足りないのか?

 ・どのくらい足りていないのか?

 ・不足分を補うためにはどうすべきなのか?

 ・その方法で本当に補えるのか?

現状と目標の間にどれくらいギャップがあるのかを理解することにより、問題解決までにやるべきことが把握できるようになります。

ステップ3:問題解決のための、次のアクションを決める

クリティカルシンキングの最後のステップは、解決に向けたアクションプランを作成すること。これまでの思考の積み重ねで見えてきた問題解決までの道のりを、より具体的にリスト化します。

・誰がするのか?

・何をするのか?

・いつどこでするのか?

・どんな方法でするのか?

1つ1つの事項を明確化することにより、最短距離でゴールまでたどり着くことができるでしょう。

まとめ

現代のビジネスシーンにおいて、クリティカルシンキングは不可欠なものです。クリティカルシンキングを活用することで、他者との議論をスムーズにし、最適なゴールを導き出すことができるでしょう。また、他者の「思考のクセ」を理解しようとする意識は、社員のマネージメントや新人教育などにも多いに役立ちます。ただし、思考法の知識を身に付けるだけでは意味がありません。得た情報を取捨選択し、自分自身の考え方や才能を見出だすことも大切です。

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この記事を書いた人

才能 プロファイラー/才能開発コンサルタント。
「クライアントを経済的・精神的に最も豊かにする才能開発」がモットー。
著書「才能が9割 3つの質問であなたは目覚める」、「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」(経済界)

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