前回、対照的な二人の事例を紹介しましたがいかがでしたか?
クリスチャン・ディオールとココ・シャネルはデザイナーとして活躍し、世界的なファッションブランドを作り上げましたが、追求したデザインは真逆です。その理由は、生まれ育った環境が違ったために、才能開花や成功への原動力となる感情も全く違ったからです。
クリスチャン・ディオールは好きなことを追求することで才能を開花させ、ココ・シャネルは貧しさと不自由の中で孤独や寂しさを感じながら育ち、自立と自由を追求することで才能を開花させました。
シンプルに言えば、クリスチャン・ディオールは人生であったもの(スケッチや美)を追求し、シャネルは人生になかったもの(自由と自立)を追求した。
そこで私はクリスチャン・ディオールのように人生であったものを追求した人を「ある人」。シャネルのように人生になかったものを追求した人を「ない人」と呼んでいます。
あなたは人生であったものを追求してきたタイプでしょうか? それともなかったものもを追求してきたタイプでしょうか?
一般的にはクリスチャン・ディオールのような人は恵まれて幸せで、ココ・シャネルのような人はそうではないと考えられます。しかし、才能開花という観点からいえば、どちらのタイプも才能開花のポテンシャルを持っています。大切なのは感情を才能開花のパワーに変えることです。
「誰にでも才能がある」と言えるのは、人間であれば誰もが感情を持っているから。感情という才能の種に、行動という肥料をやれば、能力という果実が手に入る。だから、才能は「あなたの心を最も突き動かす感情を行動に移した結果、生み出される能力」なのです。
感情が違えば才能も変わる
クリスチャン・ディオールも、ココ・シャネルもデザイナー。二人とも素晴らしいデザイン能力を持っていました。しかし、それぞれのデザインや顧客はまったく違います。
クリスチャン・ディオールは合理的・機能的なファッションではなく本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためのファッションを作り、ココ・シャネルは自立したいと思う女性のために機能的で美しいファッションを作りました。
感情の違いがセンスの違い、能力の違い、商品や顧客の違いを生み出しています。才能ある人が独自のポジションを確保し、ファンから愛さるのはそのためです。
人生経験の違いが、感情の違いを作り、才能の違いに変わる。
才能はたんに優れた能力ではなく、「才能=感情×行動×能力」この3つで決まるのです。
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