お気に入りのスコップで土を掘る。
使い込んだ万年筆で、手紙を書く。
長年愛用している包丁で、食材をザクっと切る。
そんな時、私たちは道具をただの「モノ」とは思っていません。道具が自分の手足の一部になっている感覚があるからです。
この手応えを、心理学では「所有感」と呼びます。自分の意志が、道具を通って世界とつながる。その「手応え」があるからこそ、道具を使っても、「自分の力で成し遂げた」と感じられます。
この観点で、今のAIの使い方を振り返ってみるとどうでしょうか? 自分の一部として使えている実感や、AIから返ってきたアウトプットに「手応え」を感じているでしょうか?
もし手応えがなければ、一瞬で返ってきた「非の打ち所がなさそうな回答」には、あなたが試行錯誤した痕跡も、プロセスも反映されていないということです。
「自分が苦労して耕すはずだった土地を、夜のうちに誰かが重機で真っ平らな更地にしてしまった」ようなものです。ありがたいことですが、そこに自分の足跡は一つも残っていません。経験も知識も蓄積されずに、ただ作業時間だけが過ぎています。
だとしたら、それはあなたがやった仕事ではなく、AIがやった仕事ということになります。もし、そんなAIの使い方をずっと続けていたら、3年後、あなたの中に、何が残っているでしょうか?
AIを「自販機」から「愛弟子」へ
AIを「ものにする」コツは、何でも出してくれる便利な「自動販売機」として扱うのをやめることです。代わりに、「色々スキルはあるけれど、勘所を掴んでいない部下」「まだあなたのこだわりを知らない部下」だと思って、徹底的に「自分のこだわり」や「型」を仕込むこと。
職人が道具を愛するのは、そこに自分の「癖」や「こだわり」が染み付いているから。AIも同じです。
明日、自分にこう問いかけてみてください。
「AIが出したこの案、正解だけど面白くないよね。どこに『あえて自分のこだわり』や『型』を仕込もうか?」
AIが出した80点の回答に、あなたの「こだわり」を少し入れる。その試行錯誤が経験となり、知識や知恵となります。AIに付加価値をのせるスキルも磨かれます。そうすれば、「成果物の所有感」も湧いてきます。
やったことのある人ならわかると思いますが、AIに自分のこだわりを教え込むは手間がかかります。時間もかかります。
けれど、あえてやってみる。AIが出してきた「それっぽい回答」に対して、「この一行を書き換えるとしたら……?」と10秒考えてみる。
これを積み重ね続けると、AIは、あなたの才能を増幅させる「無二の武器」に変わります。
もし、思いつかいないのであれば、経験不足だということ。上司や先輩に、「あなたなら、AIの回答に何を付け足しますか?」「逆に何を引きますか?」と聞いてみましょう。大きな学びになるはずです。
もし、思いつかいないのであれば、経験不足だということ。上司や先輩に聞いてみましょう。
「あなたなら、AIの回答に何を付け足しますか?」
「逆に何を引きますか?」
大きな学びになるはずです。



