「子供が落ち着きがなくて困っている」
先日、知り合いが子供を見ながらため息をついていました。一生懸命子育てをしているのに、思うように子供が育たないとため息も出るもの。ただ、子供の才能を伸ばすという点からいえば、このため息にはリスクが潜んでいます。
彼はどちらかというと真面目なタイプ。「親や先生や上司の言う通り、きっちりできることが大切」と思っている人で、本人も親や上司の期待にきっちり応えて評価を得てきた人。
子供にも同じ資質を身につけさせれば、子供が将来、会社に勤めた時に役立つでしょう。しかし、子供の素質がそういう働き方や生き方に合っていなければ、窮屈な人生を押し付けてしまうリスクもあります。
誰もがそうですが、人は自分で知っている範囲内でしか良いこと・悪いことを教えることはできません。そのため、自分の成功体験を他人や子供にも当てはめて判断しがちです。それが子供に合っていれば問題ありませんが、合っていなければ子育てに悩んだり、子供の才能を伸ばすチャンスも逸してしまうリスクがあります。
私はどちらかといえば落ち着きのない子供でした。子供の頃から習い事はすぐ飽きてコロコロ変えては、親から「お前は何も続かない」「落ち着きがない」と叱られました。家庭教師からもじっとしてなさいと言われ、社会人になって転職も4回しました。(笑)
親に無駄なお金を使わせてしまったと反省することもありますが、その無駄を経験させてもらえたおかげで、好きなことを仕事にして毎日楽しく働けているのだと感謝しています。
「でも、そういう働き方ができる人は例外でしょう?」と思う方もいるかもしれませんが、これからはますます自分に合ったワークスタイルを選ぶ人が増えていきます。それは時代が変わったからです。
私の親の世代は「1つの場所で努力すればうまくいく」が成功法則でした。自分に合ったワークスタイルを選べる環境が整っていなかったからです。けれど、今は働き方の選択肢が増えた時代。「自分を活かせる場所を自分でみけて働ければうまくいく」も成功法則に加わりました。
じっとできる子供、先生のいうことを聞く子供は、上司や会社の命令を聞き、職務を果たす。これは「答えが決まっている」、「誰かが正解を教えてくれる」という前提で有効なスタイルです。
しかし今は正解がない時代。無数にある答えの中から、自分に合ったモノを選べば幸せになれる時代です。そういう環境では、好奇心の強い子供、ネガティブに言えば落ち着きがなく、目移りする子供には最適解を見つけるチャンスがたくさん溢れているとも言えます。
もちろん組織はなくなりませんから、先生や上司の指示をきっちりとこなす人材はこれからも求められます。
大切なことは「じっとしている子はいい」、「落ち着きのない子はダメ」という短絡思考ではなく、「じっと座って取り組める子に向いているのはこれ」、「落ち着きのない子は好奇心の強い子供」「だったらこれをすればいい」という選択思考を持つことです。
時代が変われば、答えも変わります。
私は才能心理学を作ってから、親の言う通りにできる子供でも、親の言う通りにできない子供でも、どんな子供にも才能はあると思うようになりました。才能とは人との違いだからです。
子供の才能を見つけられない、伸ばせないとしたら、その子の才能を活かすことよりも、親や教師が考える正解の人生を生きることを望んでいるからではないでしょうか。
1つの正解に子供の未来を当てはめる時代でもありません。
子供の才能を活かしたいと思うなら、親や教師がその子の特質を活かせる勉強やスポーツ、仕事を思いつくかどうか。子供にチャンスを与えるには、親も古い時代の価値観から抜け出し、子供を枠にはめるのをやめて、選択思考をすることです。