先日、「才能と強みの違いは何ですか?」という質問をいただきました。 確かに、2つの明確な違いを理解している人は少ないのではないでしょうか。しかし、その違いを知らないと才能を開花させることや、稼ぐ力が下がる場合もあるのです。
そこで今回は、2つの言葉の違いをわかりやすく説明します。
私は才能開発と心理学の専門家で、才能についての本を2冊出版。20年間で小学生からビジネスパーソン、経営者まで1万人以上の才能開発と目標達成を支援してきました。その経験を元に解説しますので、参考にしてください。
強みとは?
まずは強みの説明から。
強みは一言でいえば、あなたの武器。
「この武器を使えば、確実に成果を出せる」とほぼ見通しがつくもののことです。
たとえば、
「私の武器は提案力です」
「 私に提案させてもらえれば、2人に1人は契約してくれます」
「私の武器はプログラミングです」
「私に頼んでもらえれば、今の業務を1/10の時間でできるプログラミングを作ります」
「私の武器は場を盛り上げることです』
「パーティーに呼んでもらえれば、盛り上がること間違いなしです」
つまり強みとは、現場で使えるスキルの中で「成果を保証できるもの」のこと。
ですので強みがはっきりすれば、それを材料に商談をしたり転職活動をしたり、給料アップの交渉をしやすくなります。
逆に、才能はあるのにお金に変えられないのは、自分の才能を「○○な成果を保証できる能力」として上手にプレゼンできていないから。
才能ディスカバリー・オンラインスクールでは受講者に才能プレゼンワークという課題に取り組んでもらっていますが、完成度の高いプレゼンを作ると強みが明確になるので、その後、受注増や転職に成功する方が多いです。
才能とは? 3つの意味
では、才能は強みとはどう違うのでしょうか?
実は、才能という言葉は使うシーンによって3つの意味があります。
1)他の人には真似できないすごい能力
1つ目は、才能が「他の人には真似できないすごい能力」という意味の場合。
たとえば大谷翔平選手。彼のような二刀流の選手は他にはいないので、「大谷翔平選手には素晴らしい才能がある」という時、「他の人には真似できないすごい能力を持っている」という意味になります。
この場合、才能は「ある一定の成果を保証できる能力」であり、かつ「その予想を上回る成果を出す可能性も秘めている」という意味も含んでいます。そのためより多くの報酬を得られる可能性があります。
2)才能とは可能性
2つ目は可能性を意味する場合。
たとえば、少年野球の監督が「あの子にはバッティングの才能がある」という時は、「素晴らしいバッターになる可能性を秘めている」という意味です。
つまり、この少年には才能(可能性)はありますが、現時点で確実にヒットを打てる選手かどうかはまだわからない。けれど練習を積み重ねれば、そういうバッターになれる可能性を感じています。この場合は、あくまで可能性なので、それが開花するまでは報酬には反映されにくいでしょう。
3)一般的な基準よりも上回っている能力
3つ目は一般的な基準よりも上回っている場合。
たとえばあなたがwebデザイナーだとしましょう。あなたが作ったサンプルを見て、上司が「君、才能あるね」と言ったとします。この場合は、同年代や同レベルの他の人よりはうまいという意味が多いです。
上手かどうかという判断基準だけではなく、多くの人は苦手意識を持っているのに、あなたには全く苦手意識がなく楽に取り組めるのが素晴らしい。他の人なら大変だと思うことを、あなたは苦にせず自然に上手にできるのば素晴らしいという評価として使われたりします。「才能とはあなたが自然にできること」と説明されることがありますが、それはこの場合です。
ただ、他の人より上手にできたり、楽しみながらできても、「他の人には真似できないすごい能力」というレベル感があるわけではないので、必ず大きな評価や報酬につながるわけではありません。その才能を買ってくれる上司や会社なら、報酬を上乗せしてくれる場合もあります。
強みの意味は1つですが、才能には3つ意味があるので相手がどの意味で使っているのかを把握することが大切です。
才能と強みのまとめ
ここまで説明した才能と強みをレベル順にまとめると、
レベル1:才能2(可能性レベル)
レベル2:才能3(一般的な基準よりも上回っている能力レベル)
レベル3:強み(成果を保証できる能力レベル)
レベル4:才能1(他の人には真似できないすごい能力レベル)
となり、「強み」は才能1と才能3の間にあるイメージです。
最後に 才能開発の基本戦略
才能開発戦略という点でいば、
- 才能2の「可能性」と才能3の「一般的な基準よりも上回っている能力」を見つける
- その才能に現場で使えるスキルを掛け算して強みに変え、「成果を保証できるレベル」に伸ばす
- 長期的な視点で、強みを才能1の「他の人には真似できない能力レベル」に変えていく
が基本戦略になります。
今、あなたは1−3のどの位置にいるでしょうか?
現在地を把握して、才能開花に向けて次のアクションを取っていきましょう。