こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者向けコーチの澤田浩一です。
先日のニュースで福岡に立ち飲み屋と宿泊施設を融合させた施設「STAND BY ME」がオープンするという記事を読みました。
“酔ったらすぐ眠れる”ホテル 福岡・ブルースカイ 立ち飲み屋に宿泊機能
施設を開設するブルースカイさんによると、立ち寄りやすく、お客さん同士の距離感が近い立ち飲み屋に、海外からのバックパッカーが集まるホステルをオンすることで、「とにかく元気がない」日本の若者を外の世界(海外)に向けさせ、元気にすることが狙いだとか。
これを見て面白いなと思ったのは、人と人との交流でこの施設にいろいろな情報が集まり、それがまた拡散していくということ。
バックパッカー同士や現地の若者との立ち飲み屋での交流で「こんな店が福岡にあるよ」「この場所はいいね」と情報が輪のように広まり、そこを訪れる人が増え、その人たちが元気になり地域が活性化していきます。
この記事を見ながら私は、東京千代田区にある「未来食堂」を思い出しました。
「未来食堂」の理念は「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」。
創業者の小林せかいさんは幼稚園のころから本人は「ふつう」に過ごしているつもりでも「なぜ〇〇?」と聞かれることが多々あったそうです。
食事にしても例えば普段の食事がポップコーンだけだったりとか、ざるそばとシリアルだけ食べて1年過ごしたりとか、ヨーグルトだけの昼食を食べ続けたとか。
でも本人からしたら「ふつう」のことです。
そういう彼女が「お店を持つんだ」と決めたのは15歳のとき。初めてひとりで喫茶店に入り、そのときに「家庭での自分」でもなく「学校での自分」でもない、そのままの「自分」を受け入れてくれた空間があると感じたことに衝撃を受けたそうです。
なので未来食堂には、誰もが「ふつう」でいられる工夫がいっぱいあります。
昼はメニューが1種類だけなので、「ふつう」に座るだけでご飯が出てくる。
夜は冷蔵庫の在庫リストが張り出してあり、それを見て自分好みのオーダーメードができる「あつらえ」。
お金がなくても50分お店を手伝えば、温かいご飯が食べられる「まかない」。
そしてせかいさんは「ふつうでいられる場所」を広めるために創業前からブログや本の執筆を行い、
「なぜこのようなことをするのか」
「どうやって実現化したのか」
「なぜこのようなふざけたネーミングなのか」
といった内側の事情を発信し、事業計画書や月々の収支まで掲載しています。
せかいさんのブログや本を見て行ってみたいなと思い、カウンター席わずか12席のお店を訪れて「ふつう」でいられる体験をして元気になり、それが更にまた口コミで広がっていく、そんなせかいさんの世界が広がっています。
「STAND BY ME」も「未来食堂」も人と人とがつながり、交流が生まれ、拡散していく世界の中のハブのような存在です。
ところでみなさんは「ペイフォワード」という映画をご存知でしょうか?
ミミ・レダー監督の2000年制作の映画で、主人公は12歳の少年トレバー。彼は社会科の授業で担当の先生から「もし君たちが世界を変えたいと思ったら何をする?」と問いかけられ、ひとつのアイデアを思いつきます。
それは他人から受けた厚意をその人に返すのではなく、周りにいる別の人に贈っていくということ。
彼自身もそれを実行し、自分ではうまくいかなかったと思いますが、実はそれは本人も知らないところでムーブメントとなり、全米に広がっていくという話です。
考えてみれば、わたしたち経営者の二代目の役割は引き継いだ会社を継続させること。
継いだ直後は特にそうなのですが、継続させなければならないという使命感ゆえに、それは大きなプレッシャーとなります。
そしてトップであるが故に誰にも打ち明けることができず、先代と違ったことをやろうと思ったことも周りからの理解を得られず、ますます殻に閉じこもってしまうことがあります。
当たり前のことかもしれませんが、会社を継続させるとはお客様の信用を積み重ねるということです。
それは「ペイフォワード」のように目の前にいるお客様のニーズに誠実にお応えしていくだけでなく、「STAND BY ME」や「未来食堂」のようにその輪を広げていくこと。
もし二代目であるあなたが行き詰りを感じているなら、まだあなたが見えないお客様を考え、その輪を広げていくために、今、目の前の出来事に対して何ができるのか、自分はそこでどのような才能を発揮すれば良いかを考えてみてはどうでしょうか?
打破するためのヒントがつかめると思います。