そう聞かれたら、あなたはどう答えますか?
ほとんどの人は「才能はすごい能力」だと思っています。しかし16年の経験と才能開花させた人を分析・研究してわかったのは、才能は単にすごい能力ではないということ。では、才能とは一体なんなのでしょうか?
私はこう考えています。才能とはあなたの心を最も突き動かす感情を行動に移した結果、生み出される能力のこと。シンプルに言えば「才能=感情×行動×能力」です。
ファッション業界で活躍した2人のデザイナーを例に説明しましょう。
事例1)クリスチャン・ディオール
クリスチャン・ディオールは世界的に有名なデザイナーの一人です。
彼は裕福な家庭に生まれ、何不自由なく成長しました。子供の頃からデッサンが好きでカーニバルの様子や、ファッションのスケッチをしていたそうです。
お金持ちの出身で、本物の贅沢を知っていた彼が追求したのは、合理的・機能的なファッションではなく本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためのファッション。バストラインとウエストのくびれを強調。スカートのシルエットはふんわりとさせ、丈は長めの服をデザインしました。そのため贅沢が許されなかった第二次世界大戦中は物議を醸しますが、戦後、豊かになったアメリカで大ヒットします。
彼の理想はフランスの古き良き「ベル・エポック時代の美」。そのコンセプトを戦後のニーズに合わせてリニューアルしたデザインは「ニュー・ルック」と呼ばれました。
彼は大好きだったデザインとベル・エポック時代の美しさ、エレガンスを追求し、デザイナーとして成功したのです。
事例2)ココ・シャネル
同じく、世界的に有名なデザイナー、ココ・シャネル。
彼女は10歳の時に母親が病死したため修道院に預けられ、孤児になりました。貧しさと不自由さから一刻も早く抜け出し、自立と自由を手に入れたかった彼女は修道院を出た後、仕立て屋で住み込みデザイナーとして働き始めます。
シャネルは女性がフランス人形のようなドレスを着ていた時代に、体をきつく縛るコルセットから女性を解放する斬新なデザインを発表。伝統的なファッションを一瞬で葬り去った彼女は「皆殺しの天使」と呼ばれたほどです。
彼女がデザインしたのは動きやすく機能的なデザイン。クリスチャン・ディオールとは真逆です。シャネルは「自立した自由な女性のためのファッション」を作り、男性のお飾りだった女性を目覚めさせ自立に導きました。
ちょうどその頃、第一次世界大戦が始まり男性は戦場へ。代わりに自立して働かなければならなくなった女性にとってシャネルのデザインはまさに求めていたものでした。
動きやすい機能的なデザインに美を施すのがシャネルの理想のスタイル。自立した自由な女性こそ、美しいと考えていたからです。
彼女は子供時代にもらえなかった自由と自立を追求し、デザイナーとして成功したのです。
二人が才能を開花させたのは、心を最も突き動かす感情を行動に移したから。
つまり、感情が才能に変わったのです。
人間であれば誰にでも感情はある。
だから、誰にでも才能はある。
もちろん、あなたにも才能があります。