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YKKから学ぶ二代目経営者が才能を活かすため5つのポイント

こんにちは! 才能心理学協会・認定講師で二代目経営者コーチの澤田浩一です。

 

先日、日経ビジネス5月21日号でYKKの会長兼CEOの吉田忠裕氏が6月の株主総会で退任するという記事が出ていました。

YKKはご存知のようにファスナーやアルミ建材で日本を代表する会社ですが、上場会社でないことはご存知でしたか?

 

YKKのホームページには毎年、株主総会の招集通知や有価証券報告書が掲載されています。ですが証券会社に行っても株式を買うことはできません。

ではオーナー会社なのかと思いきや、筆頭株主は社員持ち株会である恒友会だそうです。

株主総会の時期になると、すべての取締役が全国に散らばり、集会を開いて株主である社員に経営状況について詳細な説明を行うそうです。

 

このようなユニークな会社を創業したのは吉田忠雄氏、今度退任する忠裕氏のお父さんです。

 

創業者の忠雄氏は子どものころ、鉄鋼王カーネギーの伝記を読み、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という言葉に感銘を受け、「善の巡環」という経営思想を生み出しました。

「善の巡還」については、息子の忠裕氏の著書に詳しく書かれていますが、その考え方の中から経営者自身が汗して働くことを基本とし、自分一人の力は小さくとも同じように汗してくれる人が増えていけば、どんどん大きなことがやれるようになる。そしてその喜びを皆で共有していく、それが忠雄氏の理想とする会社でした。

その考え方に共感して人が集まり、ファスナーの売上額では世界一のシェアを誇るYKKの発展につながりました。

創業者の忠雄氏は非常にカリスマ性のある経営者だと言えるでしょう。

 

二代目の忠裕氏が継いだのは46歳だったそうですが、強いカリスマ性のある創業者の後を継ぐことの困難さは想像に難くないと思います。

世代交代はマラソンで例えればバトンを次に渡すようなものです。

ランナーは経営者、それを観ている観客は顧客や取引先、そして社員です。

バトンを渡された走者に観客は期待のまなざしで注目します。

「この人はどんなことをしてくれるのか?」

「さらに取引を発展させてくれるのだろうか?」

「より給料が増え、生活が豊かになるのだろうか?」

 

カリスマ性の強い創業者であればあるほど、次の走者である二代目にはプレッシャーがかかります。

実際、忠裕氏も継いだ当初は創業理念である「善の巡環」を創業者と同じように話をしても周囲は誰も耳を傾けてくれなかったと言います。

 

ではカリスマ性のある創業者の後を継ぎ、事業を成功させるためにはどうすれば良いか?

ポイントは5つあります。

 

1.社長として何か打ち出さなければいけないと焦らない。

カリスマ性の強い創業者の後であるほど、「観客」の目を気にして何か新しいことをしなければと思いがちです。
ですが新しいことを打ち出せば打ち出すほど、周囲の抵抗は起きやすくなります。

2.倒産寸前など危機的な状況でない限りは、じっくりと会社の状況を観察する。

現在、会社を取り巻く状況はどうなのか、社内が抱えている課題は何か、創業者がいたときには発言できなかった人達がどのような声を挙げているのか、これらのことについてじっくり観察し、把握しましょう。

3.「これはおかしいぞ」という面はどこかを知る。

時代を経るにつれ、創業者が作り上げた仕組みやシステムがいつも通用するとは限りません。
みなさんの目から見て、ここは変えないと「時代に取り残される」ということは何なのかを知ることです。

例えばYKKの創業者の忠雄氏の時代は「大量生産で良いものを安く」が基本でしたが、二代目の忠裕氏の時代は顧客のニーズにいかに迅速に応えるかがテーマになっています。そのため忠裕氏は世界市場を六つに分け、それぞれにR&D(研究開発)センターを設けています。

4.二代目は時間との闘いと心得る。

1.と相反することかもしれませんが、IT化や高齢化に伴う労働人口の減少など急速な変化についていけるように創業者が作り上げた仕組みやシステムを変えていかなくてはなりません。言ってみれば二代目の役割は時間との闘いであるとも言えます。

5.先代の良いイメージを次の世代がどのように引き継ぐかを明確な形で示す。

例えば、忠雄氏の時代に経営理念と呼んでいたものを忠裕氏は「吉田忠雄精神」という言葉に置きなおし、新しい時代に必要だと思った考えを「更なるコーポレート・バリューを求めて」という言葉で経営理念として新たに定めました。
その中には「顧客、社会、社員、技術、商品そして公正」という7つのキーワードを指標として掲げ、それらの質を高めていくことを謳っています。
また社名を忠雄氏時代の「吉田工業」から「YKK」に改名し、会社は吉田ファミリーのものではないことを内外に示しました。
このように忠裕氏は先代が生み出した「善の巡環」の教えに新しい時代に必要な考えを付け加えることで、創業者からしっかりバトンを受け取ったこと、そして次のランナーとして役割をしっかり果たしていくことを示したと言えます。

 

忠裕氏は二代目としてYKKが成長していける体制を整え、71歳を迎えた今年、次の世代にバトンタッチを行おうとしています。

元気なうちに退任するのは、創業者である忠雄氏が「死ぬまで社長を辞めない」といい、そのため引き継ぎのための具体的な準備ができず苦労したためだと言います。

二代目の役割は会社を時代の変化に対応させ、次世代に引き継ぐことです。

そういう意味で忠裕氏の経営から学ぶことは多いと思います。

最後にまとめとして次の質問を考えてみてください。

 

(1)二代目としてあなたは創業者の理念の何を引き継ぎ、そして新しく何を付け加えます  か? またそれはどうしてですか?

(2)創業者の時代は有効であったけれど、現在は役に立たないと思う、あるいは予想できる仕組みは何ですか?

(3)あなたはそれをいつまでにどのように変えますか?

執筆者:
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澤田浩一

澤田浩一

認定講師一般社団法人 才能心理学協会
精神科ソーシャルワーカーを経て、経理・総務・人事等の業務に従事後、2001年より計測器メーカー㈱サワダ製作所を経営、中小企業経営者のパートナーとして才能心理学、TOC、NLPを使った組織作り支援を展開。 才能心理学「無料動画セミナー」の登録はこちら