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欠点に気づけば才能は磨かれる

こんにちは! 才能心理学協会・認定講師の澤田浩一です。

前回でも言いましたが才能心理学では、才能は「心を突き動かす感情を行動に移した結果、生み出された能力」のこと、つまり、皆さんが「本当にしたいことが何か」を見つけ、そのことに集中することで磨かれていく能力のことと定義付けています。

そういう意味では才能はその人だけが持つオリジナリティ、とんがりのようなものです。

ですが自分の能力に特化して、とんがりを磨くということはとんがり以外の他の面は捨てるということ、そしてその捨てた面が、ときに世間では、その人の欠点として見られることがあります。

例えば「清掃はやさしさ」(ポプラ社)の著者・新津春子さん。 

彼女は日本空港テクノ株式会社の社員さんで、羽田空港のターミナルの清掃に携わっている方です。

1997年に最年少でビルクリーニング技能競技会の一位に輝き、同社でただ一人の「環境マイスター」として羽田空港全体の環境整備に貢献するとともに次世代のマイスターを育てる活動を行っています。
彼女が活躍する羽田空港は2013年、2014年に二年連続「清潔な空港世界一」に選ばれました。

新津さんのお父さんは中国残留日本人孤児です。
新津さんが育ったころの中国は、学校で抗日戦争映画が毎日のように上映されていて、自分が日本人の子どもとわかった途端、いじめられたそうです。
そしてお父さんの希望で一家そろって日本に渡りますが、日本語も十分話すことができず、生活費を稼ぐために出会ったのが清掃の仕事でした。 

日本の高校にも通いますが、そこでは逆に「中国人」ということでいじめられたそうです。

そのときに彼女が思ったのが「人に負けない何かが欲しい」「自分の力になる技術や知識を身につけたい」という強い感情です。 

清掃は日本で若者がしようとは思わない仕事。誰もやらないからこそ彼女はチャンスがあると思い、「人に負けないもの」「自分の力になるもの」を身につけるために清掃の技術を次々と身に着けて行きました。

そしてその能力は「全国ビルグリーニング技能競技会」に出場するまでに磨かれます。

彼女はお世話になった上司のため競技会で1位を目指します。それが彼女にとっての至上命題でした。
なぜなら彼女の能力の基になっている強い感情は「人に負けない」ということだからです。

ところが最初に受けた競技会では銀賞に終わります。周囲からすれば銀賞も立派なものですが、彼女自身は1番でなければならなかったので、悔しくて泣いたそうです。 

そして大会の次の日、彼女は上司のところに行き、どこが悪かったのかを尋ねます。
そのときに言われたのが、「君にはね、やさしさが足りないんじゃないか」という言葉でした。 

彼女はハッと気がつきました。いつも少しでも早く効率的に清掃作業を終わらせることばかり考えていたので、自分の顔の表情は硬かったことを。
そして通路にしろ、洗面所にしろ、まず自分の作業のことが頭にあり、空港を利用されるお客様に対して心の奥でむしろ掃除の邪魔だと思っていたことに気がつくのです。

「人に負けたくない」「自分の力になるものを身につけたい」、そういう彼女の強い気持ちは清掃の技術を身に着け、彼女の能力を磨いていく源泉でした。
ところが空港のような、清掃中も絶えずお客様が利用するような施設では、お客さん様の視点にいかに立って清掃業務をしていくかが大事になります。

「お客様のために」という気持ちは、「人に負けたくない」「1番になりたい」という気持ちとは真逆のものです。彼女が自分の能力を伸ばせば伸ばすほど、お客様視点の無さは評価では欠点として表れてきます。

 新津さんはそのことに気付き、笑顔の練習から始め、お客さまからも美しく見える道具の持ち方や姿勢、歩き方にも気を配るようになりました。
そしてその結果、競技会に再挑戦し、最少年で1位に輝きました。 

才能は「こうしたい」という自分の強い感情によりとんがりとして磨かれます。
ですが才能は世間から評価されてナンボのもの。
新津さんの事例をみて、自身の才能を伸ばすときに捨てたものが何かに気付くことが才能をより伸ばす秘訣のように思いました。

執筆者:
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澤田浩一

澤田浩一

認定講師一般社団法人 才能心理学協会
精神科ソーシャルワーカーを経て、経理・総務・人事等の業務に従事後、2001年より計測器メーカー㈱サワダ製作所を経営、中小企業経営者のパートナーとして才能心理学、TOC、NLPを使った組織作り支援を展開。 才能心理学「無料動画セミナー」の登録はこちら